- 運営しているクリエイター
#小説
短編小説 真由はアンダルシアの夢を見る
「寒くなってきたから上着が欲しい」と言った事を覚えていたのだろうか。お母さんは真由にダウンジャケットをくれた。
焦茶色で、襟の部分にファーで縁取りがしてある古い型のダウンジャケットである。去年まではお母さんが着ていたダウンジャケット。お母さんは真由にお下がりをくれたのだ。
うちは母子家庭だが、貧乏な思いをしたことはない。修学旅行も行けたし、三食食べている。だが服に限ってはお母さんのお下がりしか
短編小説 放課後、アイスクリーム
小遣いは月五千円だから躊躇するかと思ったが、昂大は自分でもすんなりと受け入れた。今日の放課後、駅の近くにあるアイススタンドで優茉とアイスを食べて帰る。誘ったのは優茉で彼女も初めて行くのだそうだ。
授業は頭に入らなかった。女子と帰るのは初めてではないがデートだろ、と思うと昂大の顔は紅潮し頭から煙が出てきそうだった。優茉は可愛いタイプでは無かったが割と美人で気の利く女だった。昂大の好みとは少し