左足の土踏まずが痛いんだけど
部屋でくつろぎながら、本を読んでいた。
手のひらに収まる紙束の上では、高校生の女の子が好きな人を思い浮かべながらトランペットを吹いている。
学校の教室の窓から、校庭に向かってトランペットを吹く姿は眩しくて切なくて本当にmiwaだった。
青春は眩しい、キラキラしてる。
当事者だった頃は全然分からなかったその感性をごく普通に抱く自分にも、慣れてきた頃だ。
青春はキラキラしてる。部活に励む高校生を見ると、なんとも切ない気持ちになる。
自分の高校時代は、こんなにもキラキラしていたのだろうかと過去に思いを馳せた。
その時、ピリッとした緊張感が身体に走る。
このピリピリは、左足の土踏まずからだ。
まるで小人の兵士がその小さな剣で私の足の裏をチクチクと刺しているような痛み。
兵士と目が合ったらどうしよう、なんて考えながら足先を見るが、そこにはいつも通りの私の足。
いつも地面に着かない部分だから、土踏まず。
いつも地面に着かないから、皮膚も薄くて、痛みに敏感だ。
やっぱり、左足の土踏まずが痛いのは見えない何かにチクチクやられているに違いない。
左足。土踏まず。チクチク。
ひだりあし。つちふまず。ちくちく。
ちくちく。