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アニメ「ラブライブ! スクールアイドル同好会」第12話「花ひらく想い」感想

こんにちは。

この記事ではアニガサキ第12話の感想を書きます。
当然ネタバレします。

11話までのポイント

- 「私の夢を一緒に見てくれる?」「いつだって私は歩夢の隣にいるよ」
- ちょくちょく見せる、侑が他のスクールアイドルに「ときめいた」ときの歩夢の反応
- 歩夢視点で、侑とせつ菜が通じ合っていること。このせつ菜は
  - せつ菜という個人
  - 歩夢自身の原点でもある、スクールアイドルの象徴としてのせつ菜
  の両面があると思います
- 侑が発案した、全てのスクールアイドルとそのファンのお祭り「スクールアイドルフェスティバル」に乗りきれない歩夢
- 夢を語ろうとする侑を抱きつき押し倒しで制止
- 「侑ちゃんだけのスクールアイドルでいたい。だから、私だけの侑ちゃんでいて……?」

これだけの下地から12話がスタートします。

変わっていくのは侑だけじゃない

12話では新たに「歩夢自身も変わっていっている」ということが提示されました。スクールアイドルの歩夢が好きだと言ってくれるファン。そんなファンを歩夢も大好きになっていっていることです。

振り返ればこれまで、同好会追加メンバーのうち愛・璃奈・果林には「スクールアイドルになる描写」がありました。一方歩夢には明示的な描写はありません。だからといって上記の変化が唐突とは感じられませんでした。

歩夢がファンを獲得しているのは、動画へのコメントや、1年生モブのことからわかります。
そしてファンを大切に思うのは、スクールアイドルならば自然なことです。この点はまた後で触れます。

歩夢の葛藤

上記の歩夢の変化と、せつ菜に吐露した心情を踏まえると、歩夢の葛藤は以下が大きいと言えます。
- 侑が自身の夢を見つけ、自分から離れてしまうこと
- 自分もまた夢のために、侑から離れざるを得ないこと

つまり、二人だけの世界で同じ夢を見ることができないことを恐れ戸惑っている。

歩夢の原点

歩夢の心情を聞いたせつ菜はこう答えました。

大好きなことはやめられない

ここで歩夢がスクールアイドルを始めた経緯を振り返ってみると、当のせつ菜のライブを見たことがきっかけなんですよね。
その後侑が「夢を追いかけている人を応援できたら……」と言うのに対して「なら私が夢を見るから」という動機もあると思いますが、それは後押しであって、原点は自身が感化されたことにあります。
そしてせつ菜のライブを見て感化されたということは、やはり「可愛いものが大好きという気持ちをみんなに伝えたい」からスクールアイドルを志したということになるでしょう。

11話では「侑ちゃんだけのスクールアイドルでいたい」と発言していますが、これが本心ならばそもそもスクールアイドルをやる必要はないんですよね。侑にだけ「可愛い」を見せていればよかった。
この発言は不安や葛藤から逃避する心が強く出たものと思います。

歩夢の変化について「ファンを大切に思うのは、スクールアイドルならば自然なこと」と書きました。
歩夢の原点は「侑だけのスクールアイドル」ではない。だから、ファンが大切なんですね。

終わる夢、始まる夢

せつ菜の言葉を受けての「止めちゃいけない」。これは1話でも言っていました。
自分の心に芽生えた思いを止めなかったから今がある。だから、侑との関係が変わるかもしれないけど、恐れず止めない。
……こうして書くと歩夢が主人公なんじゃないかと思えてきます。

自身の原点を再確認した歩夢は、ファンが大好きな自分を受け容れることができ、スクールアイドルとしての一歩をまた踏み出すことができました。ファンを大切に思う心が自身を成長させるというのはまさしくまごころ系スクールアイドルです。

さて、自分の夢を見つめ直すことによって、侑に芽生えた夢を受け容れることができた歩夢。
二人がそれぞれの夢を持つということは、二人で同じ夢を見ることの終わりを意味します。
歩夢の夢を二人で見ようとしたことが、その夢を終わらせる引き金になったというのは、皮肉とも言えますが、ここではやはり成長を強く感じました。

二人で同じ夢を見る―言葉にすると美しく感じます。しかし、侑と歩夢の関係においては、この「夢」は目覚める前に見るもの、閉ざされた世界で見るもの、花ひらく前に見るものという印象を受けます。
ずっと一緒にいた二人。二人だけの世界。でも本当は二人の外にも世界があり、二人にはそれぞれの人生がある。自分の人生は自分で生きなければいけないし、大切な人の人生もその人自身が生きなければいけない。
そんなメッセージを感じました。

さあこれからは それぞれの地図(マップ)
広げたら気軽に飛び出そう
夢見て憧れて また夢が見たいんだ
見たい、見たいんだ!

いつだって私は歩夢の隣にいるよ

互いの夢を確認した二人は「今までありがとう」と感謝を伝え……歩夢の歌の後「これからもよろしくね!」と続けます。そして、手を取り合って階段を登っていきます。
違う夢を追いながらも隣にいる。ここは同好会の「仲間でライバル」を侑と歩夢の関係に当てはめたものと見ました。

それぞれの夢を追い、それぞれの人生を生きながら、隣に、最も近くにいる。
これは二者関係として最も強くかつ健全なものだと思います。一方が他方の人生に寄りかかったり支配したりせず、並んで歩んでいく。
たとえ目指すものが変わり、二人の関係が変わっても、隣にいること。侑と歩夢ならそれができる。
そんな二人の絆が感じられました。

結び

12話の内容のうち、歩夢の心情にフォーカスした感想となりました。
これは自分が歩夢について整理しておきたかったからです。また、色々書きすぎると体力が尽きてしまうという理由もあります。

11話視聴時点では、「侑は歩夢と同じ夢を見ている証拠を示しつつ、歩夢は侑の夢を受け容れること」により問題が解決すると思っていましたが、見事に外れました。
というか、10話で「大好き」に関連して侑がピアノを見たとき「ピアノ→作曲→大好きな歩夢のため」と連想していたので、侑の夢は歩夢の夢と一致していると思っていました。
「ピアノ→作曲」はラブライブ! の伝統ですが、ピアノがまだ全然なのに、真姫や梨子のように作曲はできないということですね。

結果論的なところもありますが、侑が自分自身の夢を持ったことから、最終的に歩夢は侑に固執せずファンみんなを見ることができるようになりました。これにより無印から受け継がれてきた「スクールアイドルはファンを笑顔にさせるもの」およびかすみんの「ファンに喜んでもらえることなら、どれも正解」に帰着することができそうです。

以上、お読みくださりありがとうございました。

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