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生まれる前に面接しよう!

子どもは親を選べない。
どう頑張っても選べない。
努力が大切だなんて出生においては綺麗事でしかない。
それでも悲しいことにこの瞬間もどこかで人は産声を、人生初の魂の咆哮を思いっきり轟かせるのだ。
もしかしたら人が、赤ちゃんが産まれてくる時に泣き叫びながら生まれてくるのはこの世が地獄だということにハッと気づいて絶望しているからではないか。
だから産声というのは、無力で小さな体をしている赤ちゃんから繰り出される力の限りの抵抗なのだろう。
せめてもの雄叫びを上げて、この世界に抵抗の意思を示しているのだろう。
それでは赤ちゃんの『赤』の由来は新生児が多血症気味となり、皮膚が赤く見えることから来ているらしいが、多血症なのは真っ赤に沸る生に対する怒りの血潮ということなのか…⁉︎
そして、そこで僕は思ったのだ。
子どもが生まれる前に、可哀想なことに生まれてきちゃう前に親になるであろう人と面接できたら多少はマシになるのではないかと。
かの大文豪、芥川龍之介も河童という小説で書いていたらしいから、この思想は悪くはないだろう。
そもそも出産というのが残酷だ。
純粋無垢な子どもに無許可でこのような現世とかいう地獄へ無理やり連れて行こうとすること自体が邪智暴虐で悪辣非道だ。
少し極端な言い方をすれば、天界で優雅に暮らしていたであろう天使を誘拐したともとれる。
この世にまた一人、また一人と犠牲者を増やす。
それがヒトの生存本能に組み込まれているらしいのだから、悲しさの連鎖はそう簡単に止まらないだろう。
生まれてこない方が幸せだった人生があるはずなのに。
だから思った。
生まれる前に親となる人と面接しようって。
色々と親側にも事情があって一人とか複雑な三角関係もあるかもしれないが、面接で生まれる前に合否を付けられるのだから今のシステムよりは断然マシなはずだ。
生まれた後は親に主導権を握られるだろうが、この出生面接で舵を取れるのは赤ちゃんだ。
子作り動機は?出産前に力を入れたことは?長所と短所は?今までで一番苦労したことは?尊敬する人は?どんな才能があるか?育つ地域は?収入は?学歴は?教育方針は?どんな大人に育てたいか?あなたの強みは?最後に質問はありますか?って。
出生面接、うーん悪くない。
人生に最も大きく関わるのだ、きっと質疑応答は尽きないだろう。
それでも親になるであろう人や待遇が嫌だったら不合格にして蹴ればいい。
いい感じに妥協したり満足したら合格にして無事に生まれて好きな人生を送ってくれればいい。
まあ、出生面接が本当にできたらの話だが…

実現が不可能という点に目を瞑れば、このシステムは至って革新的さ。

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