「やってみよう」の気持ちを大切に。
今回、「宣伝会議賞」にチャレンジする。
そもそも「宣伝会議賞」とは?ということをざっくり解説すると、
「1962年に創設されて、今年60周年を迎えるコピーライティング・ラジオCM・TVCM企画の公募賞」である。
審査員の方を始め、応募者の方でもそうそうたる方がいる。応募開始前から課題を予測して1,000本も書いている次元の違うフィールドにいる超人や、初挑戦の方でも「1,000本以上目指します!」と仰っている方…。熱量が中途半端じゃない。「その熱量で鉄溶けるんじゃないですか?」と思うぐらい、みんなアツいのだ。
正直、ビビッている。コピーライティングの経験は皆無に等しいし、企画の経験だってない。RPGで初期装備の丸腰のまま、ラスボスに挑むような無謀なチャレンジだとは思う。とはいえ、伝説の勇者だって、最初は初期装備からはじめてスライムを倒すとか、いろんな経験を重ねた結果、伝説になれたのだ。一度やると決めたのであれば、色々課題に向けて結果はどうあれ、自分なりにまじめに課題に向き合ってやれるところまでやろうと思う。
思えば、熱量を持って何かに挑む、ということはあまりなかった。今回は、挑む心が折れそうになったとき「そうそう、こういう気持ちで挑戦しているんだった」ということを思い出せるように、
・なぜやろうと思ったのか
・このチャレンジを通してどうなりたいのか
を備忘録として書いてみる。
どんな形でも書くことが好きだと気づいた
すこし重たい話から入るが、今年の3月から7月まで、心身のバランスを崩して会社を休んでいた。転職してから約半年、思っていたように仕事ができず、それでもなんとか結果を出さなければ、という焦りが空回りしてしまっていた。気負いに加え、つまらないプライドが邪魔をして、聞くべきことも聞けず、周囲とコミュニケーションを取れていなかった。自分起因で勝手に負のスパイラルに入ってしまい、悩みも仕事も雪だるま式に膨れ上がった結果、倒れてしまった。
休んでしばらくは何もする気も起きず、ぼーっとして空を見るか、岡崎体育さんの「なにをやってもあかんわ」を無限ループで聞いていた。
そんなある日、仕事でお世話になっていた会社の先輩から連絡が入った。仕事でご一緒したことがきっかけで、部署は違えど休む前も色々と相談にのっていただいていた稀有な方である。状況を風の便りで聞いたらしく、状況を心配してくださっていた。(なんとありがたい…!)
お礼と共にどうすればいいのか分からない、と素直に気持ちを吐露すると、
「どんな状態の自分が好きか(自分らしく、いきいきしているか)を、考えてみるとよいよ。それから、常に自分らしくて好きな自分でいられるようにするには、どうしたらいいかを考えていく、ってやりかたもあるの。今のあなたには、こっちがおすすめ。自分が好きだと思える「わたし」を思い出してみるとたのしいよ。」とアドバイスをいただいた。
ー自分らしく、いきいきしてたことってなんだっけ。
これまでのことを思いかえしてみたとき、一つの結論にいきついた。
あぁ、そういえば、文書を書くことが好きだった。知られていなかったカフェを伝えるための記事やSNSは楽しんで書いていた。仕事でもリリースのタイトルを考えることは楽しかったし、クライアントから喜んでもらえたことが多かった。何か仕事じゃなくても、書くことを楽しんでやれる場を見つけよう。先輩のおかげで大事なことに気づくことができた。
コピグラとの出会い
気づいた後の行動は速かった。Twitterのアカウントを作って、そこで知ったライティングの講座を受けたり、宣伝会議主催のコピーライティングの無料講座を受講して、コピーライティング基礎講座を受講するか悩んだり、と色々試行錯誤をしていた。そんなとき、なにげなく「コピーライティング」とTwitterで検索していたときだったと思う。(記憶は曖昧だが、コピーライティング講座を受講されている方は普段、どんなことに関心があるのかな、と思い受講者の方のツイートを見ていたときだった、気がする。) #コピグラ というハッシュタグが目に留まった。
最初は正直、何かの大喜利集団かと思ったが(ゴメンナサイ)、流れを追うと、「お題に対してコピーを期限内に書く。そしてその中で最も良いコピーをグランプリとして表彰する」という、いわゆる「Twitter上でのコピーライティング大会」だった。お題も考えさせられるものばかりだし、なにより書いている参加者の方々の楽しそうな雰囲気がタイムライン上で伝わってきた。
ーへーおもしろそう!ハードルそんなに高くなさそうだし、やってみよう。これがコピグラとの出会いだった。
無謀なる挑戦 - コピグラ数回からの宣伝会議賞-
それからは、時間のあるときにゆるくコピグラに参加した。参加した、といっても、片手で数えられるほんの数回しか参加していない。それでも書くときは割と真面目にどういう切り口がいいのだろう、と無い知恵をしぼってあーでもない、こーでもない、とやっていた。結果は全然でていないが、それでもコピーを考えて書いた時間は楽しかった。
また、コピグラを通じて出会った方々は、書くことに対して本当に貪欲だし、アツかった。社会人になって仕事外で且つ自分の好きなことでつながることが出来たのは大げさかもしれないが、第3の居場所みたいなものが出来た気がして、嬉しかったと同時に前向きになることができた。
時間は流れ8月の中旬、仕事に復帰することが出来て、少しずつ忙しくなりコピーから少し距離が出来ていたころ、オンラインでコピグラの皆様にお会いする機会があった。「コピグラ100回記念&S賞直前決起集会」というお題の通り、話題はコピグラ100回目の話にはじまり、S賞(宣伝会議賞)のことで盛り上がった。
正直、参加した時点で宣伝会議賞に応募するモチベーションは低かった。
(じゃあなんでお前はあの場に参加したんだ!って怒られると思うが)
コピグラにもあまり参加できていないし、結果も残せてない中、参加ってなんか違うんじゃないか。そもそも仕事も忙しくなるだろうし、来年参加できたらしようかなー、その参考に出来たらいいなー、とどこか他人事として捉えていた。しかし初参加の方の熱意ある質問や、どうすればよいコピーが書けるか、などの話から、過去応募された方々の経験に裏打ちされたお話を聞くうちに、「参加してみたい」と気持ちのボルテージは少しずつ上がっていった。一方で「いやーでもなー、まだ全然コピグラ参加してないし、結果も出せていない人間が参加しちゃっていいの?無謀じゃない?」と二の足を踏む自分もいた。しかし、退出寸前に聞いたコピグラ主催者の方の言葉が「参加してみたいけど」を「やってみよう」モードに切り替えさせてくれた。
「どんどん失敗していいんですよ、その分経験値が増えて次に活かせる」
ーたしかに。かの有名なトーマス・エジソンも似たようなことなこと言ってたよね、『失敗すればするほど、我々は成功に近づいている』って。
別に失敗してもライフが0になって天に召されるわけでもないし、結局は自分にやらない言い訳をつけてただけだよね。
寝る直前だったがその言葉が頭から離れず、しばらく眠れなかった。
ダメ押しだったのは、100回目のお題で「コピグラ参加者全員でコピーを目指したくなるコピー」で表彰を受けたコピーの数々だ。本当に素敵なコピーばかりで、自分の背中を押してくれた。「いつやるの?今でしょ!」って某予備校の有名講師ばりに自分の心に訴えかけてくるのだ。
よし、やろう。もう何も余計なことは考えずにやろう。
そうして、私は宣伝会議賞に挑むことを決めた。
考えたことを素直に書く。そして書ける幅を広げる。
その後は、自分の住んでいるエリアの近いコピグラの方々と実際にお会いして、オフラインの決起集会に混ぜていただいたり、課題が掲載されている宣伝会議9月号をオンラインで先行注文したりして、挑む気持ちがブレないように、やる気を高めた。
9月がはじまり、もうすぐ1週間がたつ。
正直、全然書けていない。現状はひたすらリサーチに時間を費やしていて、ある課題のみ10本程度スプレッドシートにかけたレベルである。
全然まだまだだなぁって思うし、最初に書いた通り、怖がっている。一方で不思議と少し落ち着いている自分もいる。
創作活動は自分との闘いだ。正直、全然こんなクオリティのものを出していいんですか?とか焦るし、書けないときもあって苦しいなぁ、と落ち込むこともある。でもコピグラの方々も(憶測の域をでないが)悩みの濃淡はあれど、自分と闘った結果、良いコピーを生み出してきたはずだ。まだ多少時間がある中、今から落ち込んでいては今後ますます書けなくなるだろうし、たいして経験もないのに、今から凹んでるのはちゃんちゃらおかしい気がする。「凹む気持ちはわかるよ?でもさ、凹む前にまずは書こう?ね?」と弱い自分をなだめつつ、ゆーっくり自分の背中を押して、バテることなく粘って書くことが多分今の自分に必要だな、と考えている。
今回、私が目指したいのは「考えたことを素直に書く。そして書ける幅を広げる」ことだ。「ぬるい!ぬるすぎるよ!協賛企業賞をX本とりたいです!ゴールド目指します!とか目標にしないでどうするんだ!」とか喝が飛ぶかもしれないが、それだと自分の性格上、書けないスランプに陥ったときめちゃくちゃ心折れるのは目に見えている。とはいえ、挑戦するなら漫然とではなく、「この賞に挑戦することで、どういう自分になりたいのか」という目標は持っていた方が、自分のためにもなるし、コピーとの向き合い方も変わってくると今は思う。考えたことを素直に言語化することは、本当に難しい。カッコつけたくなるし、蛇足もつけてしまうこともある。その結果、何を言いたいのか全く分からないものが出来て「あれ、自分こんなことを言いたかったんじゃないんだけど…」と頭を抱えてしまう。だからこそ、自分の思いや考えたことを素直に、わかりやすい言葉で相手に伝えられるコピーを書けたら、とっても気持ちいいと思う。同時に今まで出来ていなかったことが出来る、という観点で見ると自分を超えたことになるので、自信につながっていくと思う。かたくなりすぎず、着実に課題に取り組んでいきたい。
また宣伝会議賞が終わった後、色々見えてくるものがあるかもしれない。
そのときはまた備忘録でnoteを書けたらと思う。