見出し画像

いわゆる新規感染者数は、その日に新型コロナに感染した人の数ではありません

   新型コロナウイルス感染拡大と算数  (1)

なんであれ
数字で表されているのは、
人が何かを測ったものです。

「何をどのように計ったのか?」

によって
その数字が表す意味は
変わってきます。

でも
そこのところが
あいまいなまま
数字が一人歩きすることが
けっこうあります。

新規感染者数 ≠ 新たに感染した人の数

たとえば、
最近は毎日聞かない日がない
新型コロナウイルスの新規感染者数
も、その一つです。

2021年9月6日21時00分に
グーグルで

「新型コロナウイルスの感染者数」

を検索してみたら、
下記のようなグラフが出てきました。

9-5コロナグラフ

東京都の新たな感染者数を
毎日棒グラフにしたのが水色で、
太い青線は7日間平均とのことです。

そう思ってこのグラフを見れば
最近の感染のピークは、
そこに数字が出ているように、

「8月21日あたりで
一週間平均で4719人くらいなんだ」

と思われるかもしれません。

「なるほど、
今回のいわゆる第5波は
8月21日頃に山を超えて、
減り始めているんだ。」

と思いませんでしたか?

でもそれは間違いです。

なぜなら、
このグラフのもとにされている

「新規感染者数」

は、その文字から思い浮かべるような

「その日に感染した人の数」

ではないからです。

「その日に
 PCR検査が陽性だ
 とわかった人の数」

なのです。

感染してから確認されるまでに何日かかるのか

何らかの症状があったり、
濃厚接触者だったりして
PCR検査を受けた人

無症状だけど
不安だからお金を出して
PCR検査を受けた人

そんな人達のうちで
陽性だったとわかった人の数なんです。

決して
8月21日に4719人の人が
新たに新型コロナウイルスに
感染したわけではありません。

まず
感染してから検査するまで
何日たっているのかは、
人によって違います。

検査してから
結果がわかるまでも
人によって違います。

さらに
結果がわかってから
報告が関係機関に届くまでも
違います。

もっと言うと
そもそも検査をした数も
日によって違うのです。

7日平均してもズレは残る

だから
7日間平均のグラフも
重ねてあるのでしょう。

でも、
検査数の違いの原因は
曜日だけとは限りません。

他にもいろいろ原因はあります。

病院の忙しさだって
新型コロナウイルスだけでは
決まりませんからね。

つまり、このグラフは、
新型コロナウイルスの感染の広がりと、
まったく関係ない
とまでは言わないまでも
他の要素もいろいろ混じって
できあがったものなのです。

にもかかわらず、
政府もマスコミも、
新規感染(確認)者数ばかりを
公表し続けています。

そして

「今日は、昨日より増えました」

とか

「一週間前とくらべてこうです」

みたいな話ばかりをしています。

元々の数字が誤差だらけなので
あやふやな印象しか浮かばないのにね。

どういう数字で考えるべきなのか?

本当はもう少し、
感染の広がり具合がわかる数字があります。

それは
「発症日別の感染確認者数」
です。

しかしこの数字は
あまり公表もされていません。

どうしてなんでしょうね?

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?