イスマイリーヤ旅行記 7 死にたくなければ休め
2024年6月7日 14:46
頭を上から押さえつけられる
顔を細い紐で叩かれるかのよう
足に砂が触れるたび
火の上を歩くかのように熱い
紙が燃えるようなスピードで
体が枯れていき、眩暈がする
吸う息は熱く
吸った息が体の中を熱くする
砂漠のような農園には
水分をギリギリまで絞られた
オレンジが実っている
分厚い皮をナイフで剥き
かじってみると
干されたかのように
わずかに残された果汁に
甘みが凝縮されている
逆に喉が渇く
逃げるように家に戻る
汗はかいたそばから乾き
フライパンで焼かれるように
肌がジリジリと焦げていく
農園の豪邸でテレビを観て
紅茶を飲み、寝転がって喋る
外は42度
暑すぎてやれることは何もない
電波も悪い
停電もくる
働いたらすぐに死ぬ
ただただ日没を待っている
これがこの村の生き方だ