「公園」も「エリア」も「事業者」もアップデート!東京都荒川発の造園業から公園と区民をハッピーにするプロジェクト!
都市経営プロフェッショナルスクール(公共空間専門課程)OBインタビューの第2回は、「公園」をテーマに当課程に参加された北部緑地株式会社 京極正国さんのインタビューをお送りします。
スクールに参加された動機、そこで取り組んだ公園プロジェクトについて、京極さんの熱い思いを伺ってきました!インタビューには、当スクールの講師の一人でもあり、グリーン大通り・南池袋公園の公園活用も実践されている公共R不動産の飯石さんも同席いただき、豪華メンバーでのインタビューとなりました。
【北部緑地株式会社 京極正国さんのご紹介】
京極さんは、東京都荒川区に事務所を構える北部緑地株式会社(受講当時は、社員)の社長をされています。北部緑地株式会社は、造園、庭造り、緑地保全、自然再生事業等を展開されています。
会社の取組詳細はホームページからぜひご覧ください!
⇒北部緑地株式会社 (hokubu-r.co.jp)
【公共空間の代表格、日本の公園について】
行政が所有する代表的な公共空間のひとつであり、住民にとっては身近な空間である「公園」。日本における公園の始まりは、1873年の明治6年太政官布告第16号において、上知令により旧社寺地等を接収して、公園としたのが営造物公園制度の始まりだそうです。この布告で1873年3月25日国内最初の5公園が正式に指定され、1887年(明治20年)頃までに約80ヶ所の公園が全国で設置されたそうです。
令和2年度末時点の統計データによると全国の都市公園等の整備量(ストック) 箇所数は、 112,716 箇所となっています。
(出典:国土交通省 都市局公園緑地・景観課 「公園とみどり 都市公園データベース」)
様々な形態のある日本の公園ですが、綺麗に管理されてはいるものの、あまり人がいない公園も多い印象もあります。一方で、パークマネジメント(公園管理運営)とは、国や地方自治体などの行政だけでなく、そこに住む市民、そして公園管理のノウハウを持つ企業が連携して、公園を運営していくという考え方も広まってきており、公園の周辺エリアの価値向上につながる運営方法も注目されてきています。
その背景には、これまで公園は、行政などが主導して設置することで計画を終えていた場合がほとんどでしたが、設置後の維持管理の負担は大きく、自治体経営を圧迫していたことが挙げられます。そのため、2000年代の国の民営化方針から公園においても「公設民営」(国や地方公共団体が設置し、民間が運営する)が進められ、指定管理者制度により民間企業が管理運営を行う事案が増えてきました。
【公園維持管理の視点が強い造園業界に対する危機感】
京極さんが、都市経営プロフェッショナルスクール(公共空間専門課程)に申し込みをされた動機は、造園業の「維持管理業務だけの仕事」に限界を感じられていたことが大きいと言います。
造園業は、下請けが中心の仕事が多く、当時荒川区で緑地の維持管理業務をすでに受託されていましたが、保全のみの視点が中心の造園業界自体に危機感を抱いており、その改革の上でも、ビジネスの新たな視点を欲していたそうです。そのようなタイミングで、このスクールを知り、参加してくださいました。
当時、北部緑地株式会社の本拠地である荒川区で、宮前公園の管理運営事業が公募される予定がありました。その宮前公園の公募に会社としてもチャレンジしたいということもスクールに申込をされた大きな要因だったそうです。
【参考リンク①】荒川区公式サイト 宮前公園の概要
【参考リンク②】宮前park Facebook 荒川区内での新設公園プロジェクト
【荒川区での新設公園プロジェクト、宮前公園の公募へのチャレンジから見えた新たな視点】
この荒川区での新設公園プロジェクト「宮前公園の公募へのチャレンジ」を実践プロジェクトとして、スクールに参加。オンライン受講を中心に、合宿などを経て感じたのは、やはり書籍では学べない刺激的な学びの要素が多かったこと、頭だけでなく、手を動かし、アクションにつなげる部分をコーチの皆さんに後押しされながら進めることができたことが良かったそうです。
宮前公園を荒川区の中心コンテンツとして、どう落とし込んでいくべきか?単なる公園の整備という視点ではなく、「エリア全体を俯瞰し、エリアの価値を向上させる」という視点で、公共空間専門課程に入って学んできたことを実践に移し、まずは荒川区のプレイヤーの方々と知り合っていくところから始まったそうです。今まで仕事では関わることがなかったマルシェなどを企画されている小売業の人たちや、公園近くにある病院の方々、さらに従来の維持管理業の中では築けなかった行政側との関係も、エリアを共によくしていこうという利害関係を超えた行政の方も増えていったそう。
この荒川区でのネットワークづくりや、公共空間専門課程をきっかけに広がった人脈づくりが、プライベートでも付き合える仲間となり、今でも京極さんの財産になっているとのこと。
岩手県紫波町で行われたスクールの最終プレゼンでは、宮前公園をどう地域と接続するか?公園と病院が近いことから、病院の受付と公園がつながり、関係性を創る場にすることを視点にいれたインクルーシブパークをコンセプトにプレゼン発表をされました。
公園業界においては知らない人はいないという公園マスターとの呼び声の高い元・国交省 公園緑地・景観課 緑地環境室長 町田誠さんの存在も大きく、町田コーチの現地でのアドバイスや、サポートも心強い存在だったそうです。
(参考:公共R不動産「〈前編〉公園マスターに聞く!」)
これらを受けて、荒川区の宮前公園のプロポーザルで、見事、1期エリアの公園管理運営事業を受託!につながりました!
現在は、3期エリアの宮前公園公募事業に向けて、これまでのネットワークを活用した提案を考えている京極さん。造園業から公園の在り方を変える!という実践を目の当たりにさせてくれています。ますます目が離せません!
「エリア価値の向上」の視点を持つことで、ビジネスの幅が広がる。
この一連のスクールでの経験から得られた知見は、これまで「保全」を中心とした造園業者の視点だけでは得られなかった考え方でした、と京極さん。
荒川区全体がより良くなるためには、「どうしたら公園を含むエリア全体が面白くなるか、エリアの付加価値が向上するか?」といった、まさにエリアマネジメントの視点で広く物事を捉え、考えることができるようになったことが一番の収穫だったそうです。
受講中に、偶然にも人生のターニングポイントとなる北部緑地株式会社の社長になることが決まりました。社長として、会社の事業の方向性を決めるなかで、「荒川発のプロジェクト」に取り組みたい、そのプロジェクト延長線上で北部緑地株式会社ができる事業を考え、「荒川の地域で立っていく会社になる」と宣言したそうです。
社長交代という会社のなかでも大きなターニングポイントにおいても、これまでにマルシェに参加したり地域の仲間づくりを進めていく京極さんの背中を社員の方々がみていたこともあり、社長交代劇のなかでも、社員の理解も自然に得られたそう。(なんてドラマチック!)
現在は、宮前公園開発の第3期の募集に向けた取り組みに限らず、荒川区の空き家利活用のプラットフォームづくりで商店街とのつながりを作っていったり、最近は、エリアの価値向上を視点で、「地域に四季の移ろいとコミュニケーションを」掲げ、荒川区の自治会向けに、区内の住宅の景観向上や、困りごと解決の視点から庭の剪定をエリア全体で請け負うサービスの展開も検討されているそうです。
まさに地域になくてはならない造園事業者として、エリアの価値向上に貢献する企業として発展していっている北部緑地としての取り組みが進められています!地域にこんな造園事業者が増えると、公園空間はもっともっと面白くなるかもしれません!
【まとめ】
公園というパブリックスペースにおいても、公園維持管理等を行う事業者も積極的に「公園づくり」関わることで、公園空間を魅力的にできるきっかけになり可能性が見えてきました。特に京極さんの会社のように、造園事業者の事業をアップデートできるかもしれないと感じたインタビューでした。
都市経営プロフェッショナルスクールでは、行政、民間の方が一緒になり、公共空間活用について考え、実践ができ、さらにさらに公共空間の専門家と一緒にプロジェクト伴走が可能です。みなさんのまちでもぜひ、一歩踏み出してみませんか?
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