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行政と民間の架け橋となる「PPPエージェント」!その公共空間活用のプロフェッショナルな事業創出の最前線!

公共空間活用のススメ、都市経営プロフェッショナルスクール受講生に聞く!シリーズ第3弾は、本スクールをきっかけに盛岡市職員を退職し、PPPエージェント会社「株式会社Gugusdada(グーグスダーダ)」を設立した長澤 幸多さんにzoomでお話をお伺いしました。

さて本題に入る前に、この聞き慣れない「PPPエージェント」とはいったい何なのでしょうか?

【PPPエージェントとは?】

一言でいうと、民間と市場性のある公民開発をしていく行政の代理人です。このPPPエージェントという役割は、1990年代のアメリカで広がりました。当時アメリカでは公共予算が大幅にカットされ、地方財政が悪化、そのような状況におけるまちの再生手法として活躍したのがPPPエージェントです。

なぜ、公共空間活用に「PPPエージェント」といった存在が必要なのでしょうか?その理由としてあげられるのは、行政と民間それぞれの、組織や考え方の違いが大きく、ゆえにそこをスムーズにつなぐ架け橋となる役割が必要だからです。

行政と民間は、その団体の存在理由や目的の違いにより、そもそも共通言語が少なく、お互いに話が噛み合わないといった経験を持つ方も多いのではないでしょうか。そのため互いの言葉を翻訳、調整し、プロジェクトを推進する役割が必要となってきます。

例えば、民はスピード感ある開発が求められますが、公においては、予算がないとなにもできない、議会承認が必要といった組織的違いもあります。また、財政が厳しい状況下の行政側としては、行政のみの思考では、公共空間を活用して効果的な投資効果を生み出すには限界もあります。両者の価値観や課題、目的を調整し、最大限に効果を生み出す役割が必要となるのです。

PPPエージェントは、公と民の間に立ち、行政と地域がよりよい良くなるように、時に厳しく、時に柔軟に、公と民もコントロールしていく役割を担うプロフェッショナルといえるでしょう。

【長澤さんのご紹介】

あらためて、長澤幸多さんのプロフィールを紹介します。
現在長澤さんは、株式会社Gugusdada 代表取締役、株式会社もりおかパークマネジメント 事業開発リーダー​を務められています。

本スクールにおいては、以下の2課程を受講されました。
公民連携プロフェッショナルスクール 第2期生(2016年)
都市経営プロフェショナルスクール 公園専門課程(2019年)

長澤さん資料より

【木伏(きっぷし)の公民連携のプロジェクトの成功を通して、PPPエージェントの重要性を知る】

長澤さんは、1993年玉山村役場に土木技術職として入庁。2006年平成の大合併で盛岡市職員となり、道路整備部署を経て2012年から公園部署に異動。2012年から盛岡市動物公園再生事業に取り組んでこられました。しかし、行政内だけでは思うようにプロジェクトが動かないことに悩み、2016年に師匠となる岡崎正信氏と出会ったことをきっかけに、公民連携プロフェッショナルスクールを受講されました。しかし、当時は硬直的な行政組織の中では、思うような成果が得られなかったと振り返ります。

契機となったのは、2017年の都市公園法改正です。これをきっかけに、2018年に「木伏(きっぷし)プロジェクト」に着手、その成果が成功体験となりました。

この木伏プロジェクトは、JR盛岡駅北口から徒歩4分にある一級河川、北上川の緑地帯(約200メートルの帯状の公園)を、「公募設置管理制度(Park-PFI)」を利用し、民間と行政が管理運用するという方法で新たなプラットホームに生まれ変わらせたプロジェクトです。(2019年9月~)


木伏プロジェクト」 のホームページはここをクリック(kippushi.jp)


長澤さん資料より

この木伏プロジェクトのプロジェクトのスキームにこそ、PPPエージェントが活躍したプロジェクトメイクでした。
北上川の緑地帯を中心としたエリアビジョン、コンセプトを描く。それに基づき、スピード感を持った金融機関による資金調達。行政と民間事業者の間で様々な調整を行い、建築、不動産の専門家と連携してプロジェクトをディレクションし、新しいプラットフォームを実現されました。

実のところ、このPPPエージェント方式によるプロジェクトスキームですが、盛岡市が大手を振って進めたものではなく、あくまで「木伏公園のトイレ整備」の予算ベースに進められていたそう。結果的に、長澤さんたちのコアチームが、PPPエージェントとして民間を巻き込んだプロジェクトメイクによって、単なるトイレ整備から、緑地帯のエリアリノベーションにつながっていったそうです。プロジェクトを投資ベースでみると、行政側はトイレ整備の約1400万円の支出に対して、民間は金融機関等の資金調達により、約2億円の投資が行われました。

結果的に、木伏緑地エリアは、多くの人でにぎわうスペースに生まれ変わり、行政としても財政的には、最小限の税投資で、大きなリターンを得たことになったわけです。

このプロジェクトが、もしすべてを行政主導の税金による投資で行った場合、コンサル会社に事業計画を発注し、行政思考で費用対効果や議会での説明を考え、入札やプロポーザルにより複数年の期間をかけて、民間事業者を選定し、公平性という名の全体性が失われる発注方式が採択され、建築物が建てられ、事業のコンセプトが骨抜きになっていく。。その結果を想像すれば、このような木伏のような「場」は生まれないのではないでしょうか?

民間が持つクリエイティビティと稼ぐ力を活用し、スピード感を持って、公共空間に新たな価値を生み出す。これが公民連携であり、それをプロジェクトメイクするのが、PPPエージェントの存在です。

【都市経営プロフェッショナルスクール公園専門課程を受講し、PPPエージェントとして生きることを決める!】

長澤さんは、この木伏プロジェクトが実現していく過程で、PPPエージェントという役割に可能性を見出す一方、自分の立ち位置に満足していないか?自己成長しているのか?という気持ちが湧き上がり、再度、2019年都市経営プロフェッショナルスクール公園専門課程を受講されたそうです。この心意気も凄いですが、やはりそれだけこのプロフェッショナルスクールで生まれる公民のネットワーク、人脈形成のメリットは、現職でも役立つ貴重な財産となることが大きいといいます。(これは受講生、皆さんが口をそろえて言われます)

一緒に受講した仲間から刺激を受け自己成長につながっていく一方で、よりモヤモヤとしてくるのは、市の職員の立場から見える市民本位ではない行政運営。新たな取組やリスクが発生することを良しとしない行政組織では持続可能な都市経営を実現できないことを痛感し、2020年3月に盛岡市役所を退職されたそうです。

【投資するPPPエージェントとして、自らの会社で事業投資をしながら、第3セクターの盛岡動物園再生も進める】

市役所を退職後、現在の株式会社Gugusdadaを設立し、正式にPPPエージェント会社として事業を進められている最中です。現在、取り組まれている一つとして、盛岡市の中央公園、盛岡市中央公園 ビバテラス (bebaterrace.com)の事業を現在の会社で受託運営されています。自らの会社で投資を行い、公園管理運営事業をしながら、これまでの活動で得られた独自の民間事業者ネットワークを活かし、自治体からのPPPエージェント相談を受けたり、公民連携プロジェクトをされています。

BEBA TERRACEの全体イメージ(長澤さん資料より)

さらに、前職でも関わっていた盛岡市動物園の再生についても、盛岡市が出資する第3セクター、株式会社もりおかパークマネジメントに在籍し、事業開発リーダーという立場で、動物園再生にも取り組まれています。
盛岡市動物公園 ZOOMO

まとめ~自ら投資を行い事業をすることに

公と民の間に立ち、行政と地域が良くなるように時に柔軟に、時に厳しく行政と民間もコントロールしていくプロフェッショナル「PPPエージェント」。公共空間活用において、これから必ず必要となる人財であることは間違いありません。しかし、まだまだ、公民連携プロジェクトの中でも、PPPエージェントの存在の偉大さは、理解されているとは言えません。長澤さん曰く、PPPエージェントと、いわゆるコンサル会社との違いは、「自ら投資し、事業をしているかどうか?」だと言います。
自ら、事業を計画、資金を調達し、プロジェクトをするからこそ、行政側、民間側両方の視点をもちつつ、PPPエージェントとしての役割を最大限に活かすプロとしての仕事ができるのかもしれません。
今回のインタビューでは、淡々とした口調でアグレッシブなお話をされる長澤さんがとても印象的でした。公・民両方の視点を持ち、自らも投資しながら、多様なネットワークづくりと公民連携スキルを兼ね備えた「PPPエージェント」の長澤さんのこれからがさらに楽しみです!

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