八面山をもっと面白くするワークショップ【PUBLIC CROSS】
中津市八面山エリアにある「八面山荘」で2日間にわたり『地域課題とその解決策をデザイン思考で考えるワークショップ【PUBLIC CROSS】』を実施しました。
【PUBLIC CROSS】とは?
エリアの課題を行政の中でも横断的なメンバー、住民、ステークホルダーとなる事業者などが本質的な地域課題を多面的に捉え、新たな公共サービスの見直しや創出をデザイン思考で課題解決していくワークショッププログラムです。
【八面山エリア】とは?
中津市のシンボルでもある八面山周辺のエリア。
「八面山」は四方八方どの方向からみても同じ形に見えることからこの名前が付いたと言われています。
山頂からの景色がとてもよく日本夜景遺産にも登録されていたり、紅葉をはじめとする四季折々の植物を楽しめる「四季の丘公園」があります。
公共施設として「八面山荘」や「野外音楽堂」「勤労者野外活動施設跡地」などがありますが、エリア全体のビジョンが明確になっておらず、十分に活用できているとはいえない状態です。周辺にお店や休憩スポットがないため、訪れた方が滞在してもらえるようなコンテンツが不足している点もエリアの課題です。
今回はこの「八面山エリア」の課題と魅力をデザイン思考で整理し、解決策を考えるワークショップを開催しました。
ファシリテーターの紹介
川原田 昌徳
川原田 昌徳(クリエイティブディレクター)
大分県出身。明治大学理工学部電気電子生命学科生命理工学専攻卒。医療福祉ロボットのインターフェイスを研究する。その傍ら、社会学や人類学の講義を聴講し、地域に固有かつ普遍的な価値創造の魅力に取り憑かれる。在学中、常に好奇心を刺激される環境に身を置くため、グローバルに展開する「FabCafe」に加わり、その後ロフトワークに入社。デザイン経営に関連する事業も多数手がける。
福田 まや
星庭 代表
アートディレクター、デザイナー
1985年生まれ、奈良県出身。Inter Medium Instituteで学ぶ。印刷会社、関西・東京での広告代理店勤務などを経て、2012年に大分県・耶馬渓へ移住。森の中の、セルフビルドの自宅兼事務所でデザイン漬けの毎日。
家族は、夫と二人の娘、大型犬。田んぼと畑も借りて半自給暮らし。
西田 稔彦
株式会社 地域科学研究所
公共イノベーション&サポート事業部
創生デザイナー・公共不動産ディレクター、総務省公会計・公共施設マネジメントアドバイザー
大分県竹田市出身 九州、沖縄、中四国を中心に約120自治体が運用する公共不動産データベース、GISシステムの開発運用を手掛けつつ、ローカルの公共不動産の可能性を広げ、新しい価値を生み出すをテーマにしたプロジェクトメディアPUBLIC+の活動を行っている。
デザイン思考について学ぶ
1日目のはじめにデザイン思考についての講義がありました。
デザイン思考とはユーザーの視点から、本質的な課題・ニーズを発見し課題を解決するためのアイディアを生み出す思考法です。今回はそんなデザイン思考における1つのキーワードである「ダブルダイヤモンド・モデル」について説明いただき、実践しました。
気付いたことや課題をとにかくアウトプットする「発散」、そこから分野別に分類したりしながら課題を絞り込む「収束」。
その次に課題に対しての解決策のアイディアをたくさん「発散」し、これらの可能性を最終案に絞り込んでいく「収束」を繰り返します。
講義では難しく感じた「デザイン思考」でしたが、2日間のワークショップではファシリテーターの方の素晴らしい導きにより楽しく「発散」と「収束」を繰り返し、課題の特定と提案を行うことができました。
雨の中のフォトウォーク
気になるところを写真にとる、地域を歩く、隠れた課題を見つけるため、3つのエリアをフォトウォークしました。
フォトウォークでは、スマートフォンカメラを使って歩く目線で、その場の良さや課題を見つけるワークです。
あいにくの雨で遠くの景色など見ることはできませんでしたが、それでもとても素敵な場所だなと感じました。
・八面山荘周辺
八面山荘からでも中津市内を見下ろすことができ、とても開放的な景色を堪能できます。
また「四季の丘公園」には地域おこし協力隊の方々が手作りした可愛らしい小屋がたくさんあったり、チューリップがたくさん咲いていたりと
子ども連れやカップルでも楽しめるスポットです。
・大池周辺
大池の周りには遊歩道があり、散策も楽しめます。昔はキャンプ場があったようでその名残も見ることができました。
・展望所エリア周辺
新しくきれいな展望台が整備されており、晴れた日には絶景を見ることができます。
車でアクセスできるため、夜景を楽しめる場所でもあるそうです。
箭山神社まで「天空の道」を通って行くこともできますよ。
「フォトウォークアプリ」で場所と気づきをその場でシェア!
今回は初めての試みで各自撮影した写真はフォトウォークアプリへアップロードしました。
各自の携帯へQRコードからアクセスし、フォトウォーク内で利用します。
アップロードされた内容はこちらから見ることができます。
コメントとともに地図に落とし込まれるため、後から振り返ることが可能です。みなさん思い思いのコメントとともに写真をアップロードしてくれました。
とにかく気付いたことや課題を「発散」!
フォトウォーク後、昼食をはさみ、午後のはじめの時間はとにかく「発散」します。
拡大印刷した「八面山荘散策マップ」を囲んでフォトウォークで発見した事実や課題などを付箋に書いて出し合います。
ファシリテーターの盛り上げ方がとても上手なので、付箋を張る場所がなくなるくらい意見がでました。
「発散」のあとはインフラに関する課題や情報に関する課題などカテゴリ別に付箋を集めます。
その中で特に重要な課題に「収束」し、絞り込みました。
アイディアがどんどんでてくる!
2日目は1日目に絞り込んだ課題に対し、解決のアイディアを付箋に書き出していきます。
途中で「1万円でできることを出し合いましょう!」や「ぶっ飛んだアイディアを1分間で8個だしましょう!」などお題がでて、とても盛り上がりました。
普段使わない部分の脳みそをフル回転させている感覚でした。
たくさんでたアイディアをカテゴリ別に集め、「これいいね!」と思ったものに投票をしていきます。
投票の結果、アイディアをより具体的に形にするため試作品を作ってみたり、実際に現地に行って体験してみたりします。
最後に各グループごとにプレゼン発表を行います。
プレゼン発表も一風変わっており、寸劇やマップ作り、イメージ映像、4コマ漫画風などよりアイディアをイメージをできるよう各班工夫を凝らした発表でした。
ワークショップを通して”企画者”に
参加者の皆さんが楽しそうに積極的に参加されていたのが印象的でした。
フォトウォークをすることでユーザー視点に立ち、実際に訪れたときに何がしたいか、何があったらうれしいか想像しやすかったです。
2日目には「参加者」ではなく全員がそれぞれが主体的に取り組める「企画者」になっていたように思います。
八面山エリアの魅力的なところがたくさん見つかり、今回でたアイディアなどを実践していけばきっとさらに素敵な場所になるでしょう!
中津市ではエリアマネジメントを通して、公共施設活用の具体的な効果がでるようエリアの再生を進めていく予定です。
今後の八面山エリアが楽しみです!
written by Maho Fujimoto