vol.8 成長企業の少なさが、『成熟』の証拠だ!
(※始めから学問的に知りたい!という方は、こちらの『関経連レポート』をお読みいただければと思います👇※)
皆さんこんにちは!今日も、お越しいただきありがとうございます。
前回まで、①企業が質の高い財やサービスを安く提供することで「準完全競争」の状態が達成され、②人々がそれらの財やサービスを享受し、欲望が満たされることで「準需要飽和」が起き、(しかし、そうすると企業には超過利潤が生じないから、努力疲弊が起きて成長しない現状があり、)③そして、「人口減少」によって、なおさら、成長機会がない。ということについてお話してきました。
そして本稿では、「準完全競争」「準需要飽和」「人口減少」、この3つこそが、成熟した経済社会の特徴であると主張します。
今回は、日本が「成熟経済社会」であることを証拠づける、あるマップの解説から始めます!
成熟した経済社会ってなんだ?
こちらのマップを見てください👇
(出典:https://howmuch.net/articles/the-worlds-unicorn-companies-2017、引用:『関経連レポート』URL上記)
カラフルなマルがたくさんで、今までお見せしてきたものとは一風変わった図表です。このマップは、ユニコーン企業の規模と世界的分布を視覚的に示したものです。
ユニコーン企業:未上場ではあるけれども企業価値は10億ドル以上(日本円にして1120億円以上)で、将来が期待される企業
身近なところでいうと、タクシー配車サービスのUberや宿泊シェアサイトのAirbnbも、ユニコーン企業の一つです。利用したことがある方も多いのではないでしょうか?
まず、ユニコーン企業というのは、何か法律で定められたステータスではなくて、単なるカテゴリーに過ぎません。
「上場するとしたら株価はいくらになるのか?」こうして値段をつけられ始めた企業群がカテゴライズされたものである、と認識していただければOKです。つまり、規模もそれなりに大きい企業で、上場したらこれくらいの株価だろう、と投資家が予想するに値するだけの企業です。
ここで、冒頭でお見せしたユニコーンマップをもう一度見てみましょう👇
マップからは、アメリカや中国、イギリス、インド、韓国、ロシアが大きな円を描いていることが見て取れますね。つまり、その国々にはユニコーン企業が多く存在し、その規模も大きいということ。
では、日本はどうだろう・・・?
目を凝らして確認しなければならないほどその規模が小さく、その分布も各国に比べてかなり少ない状況です。
ユニコーン企業が少ないということは、今から資本を得て上場していこう!と今後に成長を見込んでいる企業が少ないということ、つまり、日本の企業の多くが「成熟」段階に入り、成長段階にはないということを表しています。
まるで、熟れた果実のよう・・・
「成熟」とは、企業の長年の努力によってつくられた、安価に財サービスが消費できる生きやすい良い経済社会という意味もありますが、果実に例えるなら、熟れてしまって後は食べられるのを待つだけの状態、という意味もあります。
また、そもそも上場数の増加 の傾向を見たら、「成長していない」と一概にはいえないかもしれません(参考:東京証券取引所「上場数の推移」)。
しかし、ここでは海外との比較をしてみることが重要です。株主の立場からすれば、投資先に日本を選ばなければならないという理由はないのです。国際的な認識でも、ユニコーン企業というものが「成長」の一つの目安だという観点から見ると、やはり日本には成長の余地が少ないと言えそうです。
だからこそ、生まれた付加価値を適切に分配し、経済を循環させなければなりません。ここでいう「分配」とは、株主や投資家だけではなくて、企業で働く役員や従業員、事業そのもの・・・たくさんの関係者になされるべきものです。
利害関係者への適切な分配によって、経済の好循環をはかる。これこそ、”新しい資本主義の形”だといえるのではないでしょうか。
次回👇