vol.7 100年後の人口は、半分に。――人口減少がもたらす悪循環
皆さんこんにちは!今日もお越し頂きありがとうございます。
前回、前々回は、供給側の「準完全競争」、需要側の「準需要飽和」についてお話ししてきました。まだお読みになっていない方はコチラから👇
今回は、需要側と供給側、その両方の問題にいっそう輪をかける「人口減少」についてお話ししていきます。
100年後、日本の人口は半分に?
皆さんは、日本の人口事情を知っていますか?まずは、こちらのグラフを見て下さい👇
これは、日本の総人口の将来推計を表しているグラフ です(『関経連レポート』より抜粋、URL上記)。
目を引くのは、グラフ右側の山。今はピークを越え、下り坂を辿っているところですね。
2010年10月の総人口1億2,806万人を基準として推計すると、約40年後には、人口が現在の3分の2規模まで減少することになります。
さらにこの仮定を2100年まで延長すると、人口は現在の2分の1以下、4,959万人まで減少することが推計されているのです。
次に、こちらの図表を見てください👇
こちらは、2020年、2065年における日本の年齢別人口を表している図表です(国立社会保障・人口問題研究所作成「人口ピラミッド」より引用)。
2020年の「つりがね型」から、40年後は「つぼ型」の形をとっていることがわかりますね。総人口が減少するにも関わらず高齢者は増加していく・・・。
これにより、労働力人口(生産年齢人口)と消費人口の減少という大きな問題が生まれます。
簡単に言えば、労働力人口=供給側の人口、消費人口=需要側(すなわち市民)の人口を表していますが、私たちは、働き、消費するため、どちらにも属しているということになります。
そして、人口減少(=労働人口の減少と消費人口の減少)により、日本の経済活動が鈍化し、GDP(国内総生産)が低下します。
GDPとは、国内総生産のことで、一定期間に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値のことを表しています。
人口減少が直接的にGDPの低下に関わるわけではありません。しかし、労働力人口は、稼ぎ手であると同時に、消費の担い手でもあります。そのため、人口減少により、企業は国内需要の減少を見越して、新たな投資を控え、経済成長率が鈍ってしまうのです・・・。
また、社会保障費が減少することも大きな問題です。給料が減って、消費が減ると、税収が減りますよね。つまり、道路や水道など、インフラにかけられる整備費用も減ってしまうのです。
国の公共財を維持するための費用すら減っていく。先進国と呼ばれるこの国で、そのような問題に直面していることを危惧しなければなりません。
人口減少がもたらす悪循環。
「人口減少」が「準完全競争」や「準需要飽和」の問題に拍車をかける。
流れを追ってまとめていくと、次のようになります。
➊総人口が少なくなると、消費人口が少なくなる。つまり需要が減少するため、企業の売上もそれに伴って減少し、利益が下がる。
❷利益を上げるための費用削減によって、労働者所得が下がる。そうすると全体の消費が減少し、一層成長の余地がなくなる。
❸減少した国内消費を埋め合わせるために海外輸出・海外事業展開を行うと、利益が海外からもたらされて一時的には回復するかもしれない。しかし、中国、インド等新興国の成長拡大により、国際競争力は低下する一方である。
同じように先進国といわれるアメリカやイギリスにおいては、人口が今後100年は伸びていく試算です。これらの国のように、経済成長が前提にあるのならいいのです。しかし、日本経済社会は、もはや「成熟」しています。それなのにまだ、英米をモデルとした株主優遇政策を続けているのです。
日本は、成熟社会に適応した政策を取り入れ、企業が創出した付加価値を適切に分配しながら、成長を目指していく必要があると主張します。
次回👇