vol.4-2 日本の所得格差は”恐竜”で示される!?
皆さんこんにちは!今日もお越しいただきありがとうございます。前回は、世界の所得格差を示すエレファントカーブについて説明しました。まだ読まれていない方はコチラから👇
前回は、このエレファントカーブを用いて、
〇所得の増加した人々↓
・途上国や新興国
・先進国の中でも、さらに高所得層
〇所得の停滞している人々↓
・先進国の中/下位所得層
=先進国であり、経済は成長しているのに所得は伸びない。一部のお金持ちだけがどんどん裕福になっていく
という現状についてご紹介してきました。
ここで、疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれません。「世界は分かったけど、じゃあ日本の所得格差はどうなっているのか?」と。
そこで今回は、2つのグラフを用いて日本国内の所得格差について分析することにしましょう!
日本の富裕者層は、恐竜で示される!
世界の所得格差を示していたのは、”エレファントカーブ”。今回用いるのはコチラ👇
このグラフは、縦軸:金融資産の伸び率、横軸:各所得階級をとっています。
☆なお、ここでいう”各所得階級”とは、一番低い層を「金融資産3000万円未満」とした、いわゆる高所得者層に焦点を当てた階級を示しています★
金融資産:現金預金や株式、その他の証券など。一般に「ストック」型の資産。 (参考:EY新日本有限責任監査法人)
そして、日本国内の世帯を①マス層(金融資産3000万円未満)②アッパーマス層(金融資産5000万円未満)③準富裕者層(金融資産1億円未満)➃富裕者層(金融資産5億円未満)⑤超富裕者層(金融資産5億円以上)の5つに分類し、各層における所得の平均成長率を示しています。
グラフ右側に行くにつれて(つまり所得階級が上がっていくにつれて)伸び率が増加していて、その形はまるで恐竜のよう。そこから、このグラフを”恐竜カーブ”と名付けました。
こうして見てみると、日本国内の超富裕層の金融資産の伸び率は、他に比べて異様に伸びているのが分かります!
ここで、前回のエレファントカーブを思い出してください👇
世界規模で見たときも、超富裕者層(一番右)の所得が上がっていましたね。世界的に見たら所得の成長率が低い日本でも、”恐竜カーブ”を用いて、国内の所得格差を見てみると、ゾウの鼻先の部分と全く同じ現象、つまり富裕層の金融資産が異様に伸びている、という現象が起きているのです。
では、日本の世帯の大半を占める、いわゆる”マス層”(恐竜カーブの青色の層)の所得はどうなっているのでしょうか?先ほどの”恐竜カーブ”では「金融資産3000万円未満」をマス層としていましたが、そこをさらに細分化して見てみましょう!
大半の世帯では、所得が停滞している・・・
このグラフは、先ほどの恐竜カーブで「マス層」として青色で示されていた部分をさらに所得別に細分化して、1998年~2019年までの各所得別における所得の伸び率を示したものです。
赤色と橙色の線で示される、2001~2500万円と2500万円~の所得階級の伸び率が高いことがわかりますね。他の階層は停滞しているにもかかわらず、ここでも高い階層だけが成長している。
マス層全体の所得の伸び率をけん引していたのは、その中でも高所得者である2001万円以上の所得階級であることが明らかになりました。
さらにこのグラフは、給料、つまり「フロー」型のデータを基にして作成されているので、ここでのデータよりも実際の生活の苦しさの方が大きいといえます。
まとめると、日本国内の所得事情について、①日本の世帯の大半が、1998年から現在までにわたって、ほとんど所得が伸びていない、②高所得者や富裕層の資産・所得だけが増加している、ということになります。
いくら日本が先進国と言われていたって、企業が創出した付加価値は一部の富裕層や外国人投資家に流出するばかりで、国民の大半の所得は伸び悩んでいます。株主優遇政策によって、富のあるものがさらに富になる世界がつくられ、結果として国内の所得格差を拡大させてしまっているのです。
次回👇