アーティストとともに、「産む」にまつわる価値観を問い直す。プログラム参加者募集!
一般社団法人公共とデザイン(以下、公共とデザイン)では、公益財団法人日本財団の2022年度助成で「地域とそこに暮らす市民と共に行う持続可能な都市づくり」事業が採択されました。本プロジェクトでは、不妊治療や特別養子縁組などをふくむ「産む」にまつわる価値観と選択肢をテーマに、当事者と協業しながら、リサーチ・ワークショップ・作品制作・作品およびプロセスの展示等を行っています。
本プロジェクトにて、9月〜11月で開催する全4回相当のワークショップに参加していただける一般参加者の方を最大16名募集しています。
基本的には
①将来子どもを持ちたいと考えている方または
②将来子どもを持ちたいと考えているカップル・パートナー関係のペア
での参加となります。
「数年以内に子どもを持ちたいという」方も、「まだ具体的には考えたこと無いけど、いつかは子どもがほしい」方も大歓迎です。女性の方が身近に感じ自分ごと化しやすいテーマですが、女性だけではなく男性にも参加していただきたいテーマだと考えています。
以下、プロジェクトの詳細および今回の募集について、簡単にまとめています。ご関心ある方はぜひ、読んでいただけると幸いです。
プレスリリースも出しています。こちらも参照ください。
「産む」にまつわる価値観を問い直す。
本プロジェクトは、不妊治療や養子縁組などの「産む」に徹底して向き合った経験をもつ当事者の方々と協働しながら「産むことの社会的イメージ」「存在するさまざまな選択肢」を問い直し、産むにまつわる重圧・悩みを固定化する社会に向けて提示することで、ひとりひとりが固有の産むにまつわる向き直しを促すためのプロジェクトです。
このプロジェクトは不妊治療・養子縁組の当事者の方々や、医師や看護師、本テーマにまつわる事業を推進されている専門家の方々へのヒアリングを経て、得られた発見をふまえ、これからの「産む」について考え直す作品制作へつなげます。
現在、リサーチまでを終え、これから制作へ入っていく予定ですが、今回はこの「制作フェーズへの参加」をいただく方を募集しています。
なぜ、このプロジェクトやっているのか
実際に、不妊治療や特別養子縁組の当事者の方々、専門家の方々にヒアリングを行っています。そこから、産むに対する価値観を考えるにあたり「プレコンセプションケア」が重要な視点の一つであることがわかりました。
プレコンセプションケアとは、「将来子どもを持つことを考えながら、自分のカラダやココロの状態を知り、日々の生活や健康と向き合うこと」。まだ出産を本格的に検討していない若い男女が、自身のキャリアを含めた人生プランの中で、子供を産むこと・育てることについて、自分なりの道を検討することです。
簡単に妊娠できることを前提としていた場合、いざ妊娠したいと望んでもなかなか子供が授からないかもしれません。「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないこと(1年が一般的な基準)」が不妊の定義であり、実際に妊娠のための行動を起こしてはじめて、当初想定していなかった不妊という未知の問題に遭遇することとなります。
こういった家族像をもつ方/もっていた方は多いのではないでしょうか。何を隠そう、このプロジェクトを行なっているわたしたち自身がそうなのです。
しかし、一体、いつからこうした願いをもっているのか、わかりません。そもそも、これが本当にわたしが「願う」家族像なのかもわからない。なぜなら、「産むこと・子供をもつこと」について、これまで深く向き合ったり考えたりする機会もなかったから。
この家族イメージには当然、そのふたりの子どもが不妊治療を経たり、特別養子縁組による、そんな想定は含まれていません。しかし、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は18.2%=約5.5組に1組の割合とかなりの確率で不妊に悩む人がいる事実もあまり知られていません。(※2015 年社会保障・人口問題基本調査 <結婚と出産に関する全国調査>より)
どうしたら「わたしがどうしたいのか」「わたしとパートナーがどうしたいのか」を、不妊をはじめあらゆる可能性に想いを馳せながら、向き合うことができるでしょうか。
女性を「産む機械」のように話す政治家がいたり、出生率は気にするけど生まれた後の子育てはとんでもなく大変だったり、いろんな難しさは不安定な社会だからこそ余計に感じざるを得ないのが現状です。ひとりで考えすぎても気が重くなり、気持ちが沈んでしまいそうになります。しかし、「産む・子供を家庭に迎え入れる」ことを語りあう機会はほとんどありません。
さまざまな可能性を想像しながら「子供を産むこと」「子供を育てること」について自分なりの価値観を形成できる環境が整っていないことに、強い課題意識を持っています。
わたしたち公共とデザインは、全員30歳。パートナーもおり、子供をもつことも検討しています。そんなわたしたち自身が、何よりこのプロジェクトを通じて、産むことに向き合いたかった。それを、より多くの人にも共有したい。そんな想いから、このプロジェクトを行なっています。
ワークショップについて
今回のプログラムをナビゲートするのは、わたしたち「公共とデザイン」の3名です。公共とデザインは、「多様な人々による<わたしたち>の公共」を目指すソーシャルイノベーション・スタジオです。これまで、行政との協働や社会課題の当事者との共創といった多くのプロジェクトデザインを実施してきました。ワークショップや大きなプロジェクトの進み方は、わたしたちがナビゲートしますので、テーマに詳しくない方でも強い関心があれば安心してご応募ください。
今回の全4回のワークショップでは、
の3者を交えたチームをつくり、異なる3つの立場から、テーマに対する可能性を見出したり、もやもやを深めていき、作品制作につながる種を見つけていくことがゴールです。また、ワークショップ後、アーティストが12月〜3月で作品の本制作を行う際に、意見交換や議論を通じたフィードバックのご提供に参加していただく場合がございます。
ワークショップの中身は鋭意、準備中ですが、例えば、「親に"なる"プロセスとはどういうものか?」「産める性-産めない性での分かち合えなさとは?」といった問いを、チームで探索・対話しながら作品の種を見出します。
プロセスでは以下を特徴としています。
point1|不妊治療や養子縁組を経験した、当事者とともに考える
「産む」ことのさまざまな可能性には「産めない」ことや「産まない」ことも含まれます。想像しえないことがらを経験し、協働してくれる不妊治療経験者や養子縁組の経験者の方々と場をともにし、対話をしながら自身の内省や、社会に打ち出していく方向性の模索を深めていきます。
また、これまで重ねてきたインタビューをもとに、対話を行いやすくするゲームやツールを制作し、ワークショップで活用することを検討しています。
point2|多様なフィールドで活躍するクリエイター、アーティストとともに考える
また、多ジャンルのクリエイター・アーティストにプログラムに伴走いただきます。 現時点では、以下の方々との協働が決まっています。
美術作家|碓井ゆい
https://yuiusui.com/
建築コレクティブ・GROUP|大村高広・齋藤直紀https://sites.google.com/groupatelier.jp/group/
プロダクトデザインスタジオ・ふしぎデザイン|秋山 慶太https://www.fushigidesign.com/
デザインデュオ・TAK STUDIO|土田恭平・TSUBASA KOSHIDE
https://takstudio.tokyo/
それぞれのクリエイター・アーティストの視点から、テーマについての考えや表現を照らしてもらい、ともに探索をしていきます。
美術家 | 井上 裕加里
https://www.inoueyukari.net
1991年広島出身。成安造形大学芸術学部芸術学科現代アートコース卒業。アジアの近現代に潜在する歴史認識、文化観の差異や関係性、地域性をテーマに映像・立体作品を制作している。主な展覧会に『個展 Women atone for their sins with death.』(2022年・Kunst ARZT・京都)、『Soft Territory かかわりのあわい』(2021年・滋賀県立美術館・滋賀)、『Kyoto Art for Tomorrow 2020―京都府新鋭選抜展―』(2020年 京都文化博物館・京都)
こんな方をお待ちしています!
以下のような方々に参加していただきたいと思っています。センシティブなテーマだからこそ、これを機会にしっかり向き合いたい、そんな方々のご応募をお待ちしています。
募集要項
<募集タイプA>1人での参加, <募集タイプB>カップル・パートナー関係のペアでの参加の2つの参加方法で募集を行います。
募集タイプA:1人での参加
募集人数 8人程度
都内近郊にお住まいの、将来子供を望んでいる方
学生・社会人不問
今現在子どもがいらっしゃらない方
都内開催の4回(予定)のワークショップに参加できる方
募集タイプB:カップル・パートナー関係のペアでの参加
募集人数 4組程度
都内近郊にお住まいの、将来子供を望んでいるカップル・パートナー関係のペア (性別・婚姻関係は問いません)
今現在子どもがいらっしゃらない方
都内開催の4回(予定)のワークショップに参加できる方
プログラムの詳細はこちら
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公共とデザインについて
公共とデザインは「多様な人々による<わたしたち>の公共」を目指し、企業・自治体・共同体と実験を共創するソーシャルイノベーション・スタジオです。
住民との協働や生活者起点のリサーチ、実験やワークショップ等に基づく事業創出など、社会課題の当事者との協働からのプロジェクト創出に取り組んでいます。