私が原子力発電に反対する理由
私は、原子力発電所の稼働、建設に反対です。
人と原発について話すことになった時、なぜ私は反対の立場を取るのか、をうまく伝えらたことがないので、この文章を書いて、予行練習?をしようと思います。
原発の利点は、少ない原料で、大きなエネルギーをうめること。また、火力発電は二酸化炭素を排出しますが、原発はそれがなく環境に優しいとも言われています。
中学の社会かなんかで、習って植えつけられた知識ですよね?たしか。
でも、これらの利点を消し去るような欠点があると思うから、私は原発はあるべきではないと思うのです。
まず原発は地震大国である日本には向いてない発電だと思うこと。
福島第1原発事故の際も、津波と地震による影響で事故が起きました。日本は地震が起きても、「あー これはまだ震度3か4だな」とか、そういう会話が繰り広げられるくらいの地震大国です。そんな国で、また大きな地震と津波が来ないとも限らないし、というかいつかは絶対に来るし(それは私たちが死んだ後かもしれないけれど)、例え防波堤を高くしても、それを乗り越える津波が来ないとも限らない。現に、昔、これで大丈夫だと思われ建てられていた防波堤を、3.11の津波は優に超えていった。
だから対策がいくら万全だと思われていても、(相手は自然で、こちらは人間だし(チェルノブイリの事故は人災ですしね))万全なんてことは全然なく、このまま日本に原発があればきっと近い将来もしくは、遠い未来に同じことが起こる。
反対する理由のもう一つは、事故が起こり、放射能がばらまかれたとき、その原発事故はわたしたちの土地を奪うことになる ということ。
福島第1原発事故では、事故の後、国は最大で半径30キロ圏内に避難指示を出しました。そして、下の図のように現在でも帰還困難区域に指定されている地域があります。
出典:経済産業省作成の資料をもとに福島県が加工したもの
事故に関するドキュメンタリー番組では(ソースがわからなくて不甲斐ないのですが)、事故前に避難区域で酪農農家をやっていた人が、牛を移動させられるわけもなく、泣く泣くそのままに置いていって餓死させてしまったり、家族同然の犬や猫を置いていってしまい、迎えに帰ってはいけなかったりという姿を見ました。子供への影響を気にして避難指示が解除されても、帰らない若い世代は多く、もと通りにはならないし、いくら帰りたい思いが強くても、帰還困難区域に指定されていたら、自分が生まれ育った愛着のある家に、土地に、帰れません。こんなに不憫なことがありますか? 住みたいところに住む自由を奪われるのです。愛したペット、家族と、離れ離れになるのです。
人の幸せを奪ってまで自分が幸せになることって、本当に幸せなことなんでしょうか?
私達は、確実に原発の恩恵を受けていて、そしてその原発は確実に誰かを悲しませている。私はその事実に耐えられません。
『もの食う人々』で辺見庸さんは、チェルノブイリ原子力発電所の事故の影響で、一時は避難区域に指定され、その後解除された地域に住む老人たちを訪ねています。その一つで印象的なシーンがあります。
「キノコは危ないらしいね」
私がつぶやくとマトリョーナは力なく笑う。
「昔から食べてるんだ。なーに、サマゴン(自家製酒)を飲みゃだいじょうぶ」
老人たちはみなそう信じてる。現地の学者の幾人かも信じている。ウォッカや赤ワインは放射能を洗う、と。だから、よく飲む。
けれども、サマゴンを作るには、これまた危ないと言われているりんごを材料に使わなければならない。
「私も毎日チビチビやってるんだよ」
おばあちゃんが赤子でも抱くように自家製の瓶を持ってきた。
「あんたも男だったら一リットルは飲まなきゃ」
おばあちゃんと二人して宴会になる。雪見酒。五十度だという酒を彼女はクイクイ飲んだ。シイタケに似たキノコ入りスープをすすり、ワレーニキ(ウクライナ風水餃子)をつまみ、豚のレバーの串焼きを食った。豚を飼っている。キエフにいる息子がせんだって来て、殺した、そのレバー。
右腕が時々握手も辛いほどしびれると老婆は言った。
「歳のせいか放射能のせいか、神様にしかわからないね」
人生観と科学がごっちゃに語られる。このあたりでは皆そうだ。私にもその傾向がある。諦めで疑いを乗り切る。今日の日をそうしてつなぐ。そのような生き方もある。けれど、私には結局割り切れなくて、火のような酒で喉を焼く。ペチカ(暖炉)も燃える。
わたしたちはまだ、諦めで疑いを乗り切る段階にいません。そして、今、このコロナ流行と混乱の真っ最中に、東北の女川原発2号機がひっそりと再稼働されました。
私は、クリーンエネルギーの開発にお金をかけ、原発からは徐々に撤退していくべきだと思います。そんなふうに思う私にできることは、選挙で原発に反対している候補者・政党に票をいれること。そして、私の意見を人に伝えること。これがその一環になれてたらいいなぁ。