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猫が来た☆心を閉ざした、あおの気持ち

猫、猫と言ってたけど猫には娘がつけた名前があって「あお」という。
あおい空、あおい海の「あお」。

ホームステイ先の友人宅で試した猫が落ち着く成分が出る拡散器は友人宅の猫達には敵面だった。
あおも心なしかいつもよりおとなしいという事でこれはいけるね!と
ホームステイを終了し娘の所に帰ったあお。

だがしかし
またその夜から「アオアオ」の雄叫びは始まった。
偶然とはいえ自分の名前を雄叫ぶあお。
娘が録音した雄叫びを友人に聞かせたら
「何この声⁉︎ウチではさすがにこんな声では鳴かなかった」と。
もう何で⁉︎
何でなの⁉︎
そう思ったのも束の間、私は悲しくて切ない思いにどっぷり浸ることになる。

娘の会社の人が「猫の翻訳アプリ」を教えてくれたとラインがきた。
「猫の翻訳アプリ⁉︎」
な、なんと胡散臭い。
しかし、あおの鳴き声を翻訳した画面のスクショが娘から送られてきたのを見て息をのむ。

あおは元々、飼い猫だった。
飼い主さんが施設に入る事になり置いて行かれてしまい、その後エサ場に来るようになって野良猫達とエサをもらうようになった猫。

胡散臭いなんて言えないほどつじつまが合ってしまう。
あおは元飼い主さんを求めて鳴いていたんだ。

友人があおの肉球を見て、ずっと疑問に思っていた事があった。
「あおちゃんさぁ、外にいたわりには肉球がぷにゅぷにゅなんだけど…。」

そして私と娘が不思議に思っていた事がある。
あおは外にいたわりに動きが重く身体能力があまりに低い。

あおは突然居なくなってしっまった元飼い主さんの帰りを一緒に過ごした
家の敷地内で、ずっと待っていたのではないか。
エサ場に来る時以外、そこを動かずに。
だから猫のくせに身体能力もない。外にいた猫のくせに肉球が柔らかい。

あおは普通の時はめちゃくちゃ甘えんボーイで撫でて撫でてと要求してくる。
何をされても全然嫌がらずシャンプーも爪切りも獣医さんでの診察も
「どーぞどーぞ」で全くの無抵抗。
でも私達は感じていた。
あおは心を閉ざしている事を。

猫の分離不安症というのがある。
この症状を抑える手段として他にも室内に猫がいると、いくらか不安が解消されるらしい。
だから友人宅にいた時は鳴きはするものの「雄叫び」ではなかったんだ。
あおのいたエサ場にも沢山の野良猫がいた。

友人にあおの翻訳アプリを見せたら「切ない」って泣いてしまった。

あおは元飼い主さんに本当に愛されていたんだ。
幸せだったんだね。
だから何でいなくなってしまったのか
なんで前みたいに愛して撫でてくれないのか
なんでお家に入れないのか 
なんで迎えにきてくれないのか

あおには理解できなくて心を閉ざしてしまったんだね。

最初は、なんでこの子がウチに来たんだろうって思った。
一人暮らしの娘が猫が欲しくて、せっかく迎えた子が、こんなに狂ったように雄叫びまくって、何でよって正直思った。

でもこの翻訳を見て、いっきにそんな思いもかき消された。
あおの心が私達を受け入れてくれるまで待とう、そう思った。

あおが私達を家族だと受け入れてくれる日まで。

しかし、この翻訳機作った人、天才。

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