1. 胸郭の解剖と代表的疾患について

まず解剖について

1.胸郭と胸腔

をまとめたいと思います。

まず、人は呼吸を肺で行っています。
その肺がある胸の部分を胸郭と言います。
正式には、

肋骨と椎骨、並びに胸骨よりなる骨性胸郭とそれに付着する筋肉からなるもの

と定義されるようです。

※ちなみに
三学会合同呼吸認定療法士の試験の過去問で肩甲骨を胸郭に含めるか問われた問題で資料によっては「含める」とされていましたが、過去問では、「含めない」というのが正解だったと思います。

そして
胸郭の中で胸壁に囲まれた内部空間を胸腔と呼びます。

更に肺は壁側胸膜と臓側胸膜に覆われており、
肺門部でお互いに移行し閉鎖された空間、胸膜腔を形成しています。

絵心なくてすみません(笑)

大事なのが
この胸膜腔内は「常に陰圧である」ことが肺が形を維持するために重要なのです。

詳細に書くと安静吸気時-4〜-8cm H2O、呼気時で-2〜-4cm H2Oで保たれるようになっておりこれが陰圧を保てなくなると気胸のように肺が潰れます(虚脱)。

人は横隔膜や胸壁を構成する筋らの収縮によりこの胸腔内圧を変化させて呼吸を行うのです。

腹式呼吸(横隔膜中心)
胸式呼吸(肋間筋が加わる)

代表的なこの二つの呼吸は共に胸郭を広げ、胸腔内圧を陰圧へ導き肺実質が拡がることで呼吸が行われています。

さて、この胸膜疾患として有名なものは
気胸、胸膜炎というのがよく臨床で見られます。

気胸とは、何らかの原因で胸腔内に空気が流入し陰圧が保てなくなることにより
肺虚脱が生じた状態を言います。

正常
弾性力と陰圧の力が釣り合っており肺は膨らんだまま
気胸
空気が胸膜へ流入することで陰圧が保てなくなるため
肺が虚脱する。

気胸は原因によって
自然気胸、外傷性気胸、医原性気胸に分けられ、気胸が重症化すると緊張性気胸
呼ばれる危険な状態になることもあります。

実際の臨床では、COPDなど基礎疾患を抱えている患者さんでよく見かけることが多い印象です。

よく耳にする病名ですが、緊張性気胸のように命の危険を伴うものもあるため、COPDなどの気腫性病変を罹患されている患者さんに介入する際には、頭に入れておく必要があると思います。

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