【論稿掲載予定】音楽を教える「個人教師」のキャリアとジェンダー規範のかかわり

 協力研究員の松川亜矢です。私は、音楽大学での学びとその後のキャリアのかかわりについて研究しています。

 このたび、音楽教室や自宅などで個人レッスンをおこなう職業音楽家(厚労省は「個人教師」と呼んでいます)に注目して、そのキャリアプロセスを検討した論稿が、日本音楽教育学会の学会誌『音楽教育実践ジャーナル』に掲載されることになりました。

 国勢調査で「個人教師」の人数の推移をみてみると、総人数や年代構成は調査年ごとに変動があるものの、その9割が女性であることは長年変わっていません。職業音楽家としての生活と、家庭生活・・・。音楽を学び、仕事にしていく過程にはジェンダー規範が横たわっていることが、これまでも社会学的に指摘されてきました(吉原2013など)。そこで今回の論稿では、音楽大学を卒業し「個人教師」となった女性にインタビュー調査をして、なぜ「個人教師」になるのか、ジェンダー規範がそのキャリアプロセスにどのようにかかわっているのか、の2点を検討しました。今回の検討事例から重要な知見を得ることができましたが、キャリアプロセスは本当に多様ですので、今後も多くの方々にご意見をいただきながら、理論を磨き上げたいと思います。

【参考文献】
吉原真理(2013)『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?人種・ジェンダー・文化資本』アルテスパブリッシング.


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