見出し画像

クライバーンコンクール:クォーターファイナル2日目、そして結果発表へ

クライバーンコンクール、クォーターファイナル(2次予選)は2日目にして最終日。18名のうち残り9名が40分ずつのリサイタルを披露したのち、日本時間の6/7(火)昼12時30分~13時頃には、12名のセミファイナリストが発表されるはずです(現地の進行による)。

この日のトップバッターで、日本時間の6/6(月)深夜=6/7(火)0時から登場するのが、田所光之マルセルさん(フランス/日本、28歳)。1次の演奏はこちら。

田所さんのクォーターファイナルでのプログラムがこちら。

クープラン:クラヴサン組曲第4巻より「空想にふける女」
シマノフスキ:変奏曲 変ロ短調 Op.3
ラヴェル:夜のガスパール

1次でも、新曲作品のあと、ラモーの典雅と素朴が同居する美しい小品からスタートしましたが、クォーターファイナルではクープラン、そしてセミでは再びラモーと、フランスバロックの気品あふれる小品で幕を開けるこだわりは一貫しています。日本でも人気のあるシマノフスキの初期のロマンティックな「変奏曲」を経て、メインはラヴェル「夜のガスパール」全曲。フランスの雰囲気を色濃く出した聞きごたえたっぷりの選曲は楽しみです。

クォーターファイナルともなると大曲が並びます。中でも目を引くのは、Federico Gad Crema(イタリア、23歳)のショパン「24の前奏曲」一本勝負。彼はショパンコンクールにも出場しており、今回も要所でショパンを選曲。注目です。

ショパンコンクール(2015)3位のKate Liu(アメリカ、28歳)は、ベートーヴェンのソナタ31番とフランクの「前奏曲・コラールとフーガ」という、彼女らしい精神性の深いプログラム。1次ではシューベルトとプロコフィエフのコントラストが非常に印象的でした。


クォーターファイナルのトリを飾るのは、最年少のYunchan Lim(韓国、18歳)。1次では、新曲の後、クープラン、モーツァルト、ショパンのOp.2の変奏曲と、技巧に頼らない音楽性がむき出しになるプログラムで挑み、見事な演奏を披露しました。2次では、やはりバッハとスクリャービン2番で繊細に幕を開け、そしていよいよベートーヴェンのエロイカ変奏曲で一歩を踏み出します。この後、彼がセミファイナルのリサイタルに準備しているのはリストの「超絶技巧練習曲全曲」。言わずと知れたヴィルトゥオジックな作品の頂点のひとつです。1次から徐々に音楽性やポテンシャルのイメージが拡張していく印象的な選曲の全貌は、どこまで見られるでしょうか。


以下に2日目のタイムテーブルと選曲を再掲します。9人の熱演のあと、セミファイナリストが発表されます。


第4セッション

0:00 Marcel Tadokoro 田所光之マルセル(フランス/日本、28歳)
クープラン:クラヴサン組曲第4巻より「空想にふける女」
シマノフスキ:変奏曲 変ロ短調 Op.3
ラヴェル:夜のガスパール

0:45 Federico Gad Crema(イタリア、23歳)
ショパン:24の前奏曲 Op.28

(20分休憩)

1:45 Honggi Kim(韓国、30歳)
シューマン:謝肉祭 Op.9
リスト:ハンガリー狂詩曲第9番 「ペストの謝肉祭」

第5セッション

4:30 Kate Liu(アメリカ、28歳)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番 変イ長調 Op.110
フランク:前奏曲、コラールとフーガ

5:15 Jinhyung Park(韓国、26歳)
メンデルスゾーン:前奏曲とフーガ ホ短調 Op.35-1
ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ Op.24

(20分休憩)

6:15 Dmytro Choni(ウクライナ、28歳)
プロコフィエフ:サルカズム Op.17
ドビュッシー:映像 第2集より「そして月は廃寺に落ちる」
ドビュッシー:喜びの島
リスト:巡礼の年第2年「イタリア」より「ダンテを読んで -ソナタ風幻想曲-」

第6セッション

9:30 Changyong Shin(韓国、28歳)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第28番 イ長調 Op.101
ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.36 (1931年版)

10:15 Ilya Shmukler(ロシア、27歳)
メトネル:回想ソナタ Op.38-1
ドビュッシー:映像 第1集
スクリャービン:幻想曲 ロ短調 Op.28

(20分休憩)

11:15 Yunchan Lim(韓国、18歳)
J.S.バッハ:「音楽の捧げもの」BWV1079 より 「3声のリチェルカーレ」
スクリャービン:ピアノソナタ第2番 嬰ト短調 Op.19 「幻想ソナタ」
ベートーヴェン:エロイカの主題による15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 Op.35

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?