クライバーンコンクール:モーツァルトの協奏曲を若手俊英の演奏で予習する
現地時間の6/8(水)夜の部(=日本時間6/9午前)からいよいよ始まるヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール、セミファイナル。60分のリサイタルとモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏する過酷なラウンドです。
モーツァルトのピアノ協奏曲は、以下のような一覧から1曲を選択することになっています。
◆セミファイナル
以下のモーツァルトのピアノ協奏曲から1曲を選び、ニコラス・マギーガン指揮フォートワース交響楽団と演奏する。
セミファイナリスト12名の選択は、第20番が6名。やはり圧倒的な人気です。それ以外の6名は、第9番、第19番、第21番、第22番、第25番、第27番が1名ずつと、こちらは見事にバラけました。
少し馴染みの薄い作品も含まれていますので、過去の国際コンクールでの若いピアニストたちの熱演で、これらの協奏曲を予習してみませんか。
第9番 変ホ長調 K.271 「ジュノーム」
Uladzislau Khandohi(ベラルーシ、20歳)選択曲
若い番号の作品の中では知名度が高い「ジュノーム」。オーストラリアで開催される有数の国際コンクール、シドニー国際ピアノコンクールで2016年に優勝したアンドレイ・ググニンの演奏で。阪田知樹さんや森本隼太さんも学んでいるコモ湖国際ピアノアカデミーにも学んだピアニストです。
第19番 ヘ長調 K.459
亀井聖矢(日本、20歳)選択曲
亀井聖矢さんは、少し演奏頻度が少ない19番を敢えて選択し、入念な準備をしてきました。ここでは、昨年のショパンコンクールで優勝したブルース・シャオユー・リウが、2016年のパデレフスキ国際ピアノコンクールで演奏した映像をご紹介。
第21番 ハ長調 K.467
Clayton Stephenson(アメリカ、23歳)選択曲
地元アメリカのスティーブンソンが選んだのは、前回のクライバーンで優勝者のソヌ・イェゴンも選択していた第21番。ここでは、2019年のパデレフスキ国際ピアノコンクールで、先日ダブリンでも見事に第2位に入賞した古海行子さんが披露した演奏を。
第22番 変ホ長調 K.482
Yunchan Lim(韓国、18歳)選択曲
1次・2次ともに最後の演奏者として登場し、最年少18歳ながら鮮烈な演奏を披露したユンチャン・イムが選択したのは、充実した書法を持つ第22番。この曲といえば、ヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクールで森本隼太さんが瑞々しい演奏を披露していました。こちらも、17歳。
第25番 ハ長調 K.503
Anna Geniushene(ロシア、31歳)選択曲
唯一の女性セミファイナリストであるアンナ・ゲニューシュネの選択は、第25番。カデンツァには、一部自作のものも織り込む可能性をインタビューでは示唆していました。以下の動画は、前回のクライバーンの第2位受賞者ケニー・ブロバーグの、シドニー国際での演奏から。
第27番 変ロ長調 K.595
田所光之マルセル(フランス/日本、28歳)選択曲
日本の田所マルセルさんの選択は、モーツァルトの協奏曲の中でもひときわ澄んだ世界観を持つ第27番。同じくフランスのパリ音楽院に学んだ務川慧悟さんがエリザベート王妃国際コンクールで入賞した際に披露した演奏から。
小編成のオーケストラとのモーツァルトは、アンサンブル能力や音楽理解があらわになる課題。ソロで超絶的な技巧を披露してきた俊英たちが、また違った魅力を披露してくれることでしょう。モーツァルトの協奏曲ラウンドに要注目です。