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膝蓋上嚢の癒着に対する超音波治療

膝蓋上嚢の癒着に対する超音波治療について、メカニズムと具体的な方法をご説明します。

  1. 治療メカニズム:
    膝蓋上嚢の癒着に対する超音波治療は、組織の柔軟性を高め、血流を促進することで効果を発揮します。超音波エネルギーが組織に吸収されると、微細な振動が生じ、これにより以下の効果が得られます:

a) 組織温度の上昇:局所的な温度上昇により、コラーゲン線維の伸展性が向上し、癒着部位の柔軟性が増します。
b) 微小マッサージ効果:超音波の振動が組織を微細にマッサージし、癒着を物理的に緩めます。
c) 血流増加:温熱効果と振動により局所血流が促進され、炎症物質の除去と治癒促進因子の供給が行われます。

これらの効果により、癒着組織の伸展性が向上し、膝蓋上嚢の可動性が改善されます。

  1. 具体的な治療方法:

a) 時間設定:一般的に5〜10分間の照射が推奨されます。ただし、患者の状態や治療の進行に応じて調整が必要です。

b) 周波数(ヘルツ)設定:

  • 深部組織(約5cm以上)へのアプローチには1MHz

  • 表層組織(約1-3cm)へのアプローチには3MHz
    膝蓋上嚢は比較的表層にあるため、多くの場合3MHzが適しています。

c) 強度設定:

  • 急性期:0.5-1.0 W/cm²(低強度)

  • 亜急性期〜慢性期:1.0-2.0 W/cm²(中強度)
    患者の痛みや不快感に応じて調整します。

d) 照射方法:

  • ゲルを十分に塗布し、プローブを皮膚に密着させます。

  • 円を描くように、またはジグザグに動かしながら照射します。

  • 1か所に留まらず、膝蓋上嚢全体をカバーするように移動させます。

e) 注意点:

  • 骨突起部や金属インプラント近傍での長時間照射は避けます。

  • 患者の感覚をこまめに確認し、不快感がある場合は強度を下げます。

  • 照射後は、他の理学療法(ストレッチングなど)を組み合わせるとより効果的です。

f) 代償動作の防止:

  • 治療中は患者にリラックスしてもらい、不必要な筋緊張を避けます。

  • 膝関節の位置を適切に保持し、不自然な姿勢にならないよう注意します。

これらの設定と方法は、一般的なガイドラインです。個々の患者の状態や反応に応じて適宜調整することが重要です。

出典:

  1. Cameron MH. Physical Agents in Rehabilitation: From Research to Practice. 5th ed. Elsevier; 2018.

  2. 日本理学療法士協会. 理学療法ガイドライン第1版. 2011.

  3. Watson T. Ultrasound in contemporary physiotherapy practice. Ultrasonics. 2008;48(4):321-329.

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