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第4腰椎椎体骨折ケーススタディ


  1. 患者情報

    • 年齢、性別:72歳、女性

    • 診断名:第4腰椎椎体骨折

    • 手術:保存療法(手術なし)

  2. 現病歴
    患者は2週間前、自宅で階段を降りる際に足を踏み外し転倒。腰部に激痛を感じ、動けなくなったため救急搬送された。X線およびCT検査にて第4腰椎椎体骨折と診断。保存療法が選択され、2週間のベッド上安静後、コルセット完成に伴い離床開始となった。

  3. 既往歴

    • 高血圧症(5年前から内服加療中)

    • 骨粗鬆症(3年前から内服加療中)

  4. 社会背景

    • 夫と二人暮らし(夫は健康)

    • 2階建て一戸建て住宅、寝室は2階

    • 趣味:ガーデニング、週1回のゲートボール

    • 退職前は小学校教師

  5. 理学療法評価(コルセット完成時、離床開始日)

    • 疼痛評価:安静時NRS 2/10、動作時NRS 5/10(特に体幹前屈時)

    • 関節可動域検査(右/左):
      股関節屈曲 100°/100°、伸展 10°/10°
      膝関節屈曲 130°/130°、伸展 0°/0°

    • 徒手筋力検査(右/左):
      腹筋群 2、背筋群 2
      股関節屈曲 4/4、伸展 3/3、外転 3/3
      膝関節伸展 4/4

    • その他の評価:

      • 浮腫:両下肢に軽度浮腫あり(下腿周径差:右>左 1cm)

      • 歩行能力:歩行器使用にて10m可能、軽度体幹前傾位

      • バランス:Berg Balance Scale 32/56点

    • 日常生活動作(FIM):運動項目 52/91点、認知項目 35/35点

    • 詳細な動作分析:
      歩行分析:立脚期では体幹前傾位、骨盤後傾位を呈し、重心の前方移動が不十分。遊脚期では股関節屈曲角度が減少し、歩幅が狭小化。

  6. 問題点
    インペアメントレベル:

    • 腰椎周囲筋の筋力低下

    • 体幹可動性の制限

    • 疼痛による活動制限
      ディスアビリティレベル:

    • 歩行能力の低下

    • バランス能力の低下

    • ADL遂行能力の低下
      ハンディキャップレベル:

    • 社会参加の制限(ガーデニング、ゲートボール活動の中断)

  7. 理学療法プログラム

    • コルセット着用下での基本動作練習(寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり)

    • 体幹・下肢筋力強化練習(等尺性収縮から開始し、徐々に動的運動へ移行)

    • バランス練習(座位、立位)

    • 歩行練習(歩行器→平行棒→T字杖と段階的に進める)

    • ADL練習(トイレ動作、更衣動作など)

    • 疼痛管理(温熱療法、姿勢指導)

    • 患者教育(骨折予防、転倒予防、適切な活動量の指導)

  8. 考察
    椎体骨折後の早期離床とリハビリテーションの重要性が示唆されている(Katzman et al., 2010)。本症例では、コルセット完成後速やかに離床を開始し、段階的な運動療法を実施したことで、ADLの改善と疼痛軽減が得られた。

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