コーディネーショントレーニングで運動神経がよくなる! 効果的な練習方法を紹介します
いま、コーディネーショントレーニングが注目されています。トレーニングというと、筋トレのような筋肉を鍛えるトレーニングを想像しがちです。しかし、コーディネーショントレーニングは違います。神経に刺激を与えるトレーニングなのです。
「子どもの運動神経をよくしたい!」と考える親御さまは少なくないはず。ぜひ、コーディネーショントレーニングをとり入れてみてください。今回は、「コーディネーション能力をアップさせる方法」をたくさんご紹介します。
コーディネーションの「7つの能力」
コーディネーション能力は、「定位能力」「反応能力」「連結能力」「識別(分化)能力」「リズム化能力」「バランス能力」「変換能力」という7つの能力に分けられます。この7つの能力は、それぞれが個別なものではありません。何かの動作や運動をするときは、7つのうちのいくつかの力がお互いに連動して、体を自分の思ったとおりに動かしているのです。
それぞれの能力をひとつずつ確認していきましょう。
◆定位能力
相手や味方、ボールなどと自分の位置関係や距離を感じる力、把握する能力
ボール投げであれば、相手が1メートル先にいるのと、5メートル先にいるのとでは、必要な力が変わってきますよね。その判断をする力が定位能力です。
(例)縄跳びで回る縄を跳び越す、人とぶつからずに走る
◆反応能力
合図にすばやく、正確に対応する能力
音や人の動きなどの情報をすばやく察知して、正しくスピーディーに動き出す力です。
(例)短距離走で合図と同時にスタートがきれる、速いボールに対して体が動く
◆連結能力
関節や筋肉の動きをつなげ、スムーズに動かす能力
いくつかの異なる動作をスムーズにつなげて、流れるような一連の動きにする力でもあります。
(例)移動して、ボールを取り、そして投げるまでの動作がスムーズにできる
◆識別(分化)能力
手や足、用具を意のままに操作する能力
力を入れる、すっと力を抜く、徐々に力を入れるなど、必要なときに必要なだけの力を出力する “器用さ” のことです。
(例)バットやラケットをコントロールする、ボールを速く投げたりゆっくり投げたりする
◆リズム化能力
タイミングを計ったり、動きをまねしたり、イメージを表現する能力
目で見た動きを、自分の体でできる力です。この能力がないと動きがぎこちなくなってしまいます。
(例)パスがタイミングよくできる、縄跳びで一定のリズムで跳べる
◆バランス能力
必要な体勢を保つ能力
体勢が崩れたときに、立て直すことができる力であり、不安定な物の上や空中で体勢を保ち、動ける力です。
(例)スノーボードに乗る、空中でボールをキャッチして乱れずに着地する
◆変換能力
状況に合わせてすばやく動作を切り替える能力
急な変化に対して、適切な動きをとれる力です。状況判断、身体操作、定位能力、反応能力などが複合的に関わっています。
(例)並走している相手がダッシュをしたら自分も速度を上げられる、バウンドが変わったボールを捕球する
次項では、7つの能力すべてをアップさせるコーディネーショントレーニングを紹介します。
コーディネーション能力をアップさせる遊び
コーディネーション能力は、遊びのなかで伸ばすことができます。7つのコーディネーション能力すべてをアップさせる遊びとして、「キャッチボール」を挙げています。
たとえば、相手やボールとの距離感を測るのですから「定位」が含まれますし、タイミングよくボールを離さなければなりませんから「リズム化」も含まれます。安定したフォームで投げるには「バランス」が必要ですし、ボールやグラブといった用具を使うには「識別」の力も必要。ほかにも「反応」や「連結」の力も鍛えられますし、相手が投げたボールがそれるようなことがあれば、「変換」の力も必要でしょう。
野球ボールだけでなく、ドッジボールやビニールボールなど、いろいろな大きさのボールを使うと効果がアップするそうです。「えー! ただのキャッチボール!?」なんて言わずに、お子さまと一緒にコーディネーショントレーニングをしてみてくださいね。
効果抜群! コーディネーショントレーニングメニュー
次に、それぞれの力を向上させるコーディネーショントレーニングをご紹介します。以下の注意点に気をつけながら、コーディネーショントレーニングを実践してみてくださいね。
親が最初にやってみせるなどして、子どもが動きを正確にイメージできるようにする。
同じ動きが続くとマンネリ化するので、「より正確に」「より速く」「より大きく動く」など、常に新しい刺激を脳に与え続ける。
メニューをどんどん変える。
1回のトレーニング時間は30~40分。1週間に数回で十分。心身がフレッシュなときに行なう。
■物や人との位置関係を把握するトレーニング【定位能力】
<ボールを見よう>
大人が転がしたボールをジャンプして飛び越える
すぐにボールを取って大人に投げ返す
もとの場所に戻って仰向けに寝る
大人が投げたボールを上半身を起こしてキャッチ
※5回ほど繰り返す
■合図にすばやく正確に対応するトレーニング【反応能力】
<鏡になろう>
大人と同じ動きをすばやく正確にまねをする
20~30秒間続ける
※大人はわかりやすい大きな動きをする
■身体をスムーズに動かすトレーニング【連結能力】
<ボール運び>
仰向けに寝た状態で両手を伸ばしてボールを持つ
両手両足を上げて、手のボールを足で挟む
両手両足を上げて、足のボールを手で挟む
※1~3を3回ほど繰り返す
■手足や用具を操作するトレーニング【識別(分化)能力】
<紙コップでキャッチ>
小さなボールを上に投げる
紙コップでボールをキャッチする
※紙コップを下にスッと下げてボールの勢いを殺すと◎
■動きをまねる、タイミングを計るトレーニング【リズム化能力】
<お手玉>
左右の手に1つずつお手玉を持つ
右手でお手玉を上に投げる
左手のお手玉を右手に移し、左手でお手玉をキャッチする
■体勢を保つトレーニング【バランス能力】
<バランスがとれるかな>
両腕を横にまっすぐ伸ばした状態で、片足で立つ
そのまま目を閉じて30秒バランスをとり続ける
■状況に応じて動作を切り替えるトレーニング【変換能力】
<ハンドテニス>
ふたりで向かい合う
なるべくワンバウンドで、手でボールを打ち合う
コーディネーショントレーニングは、子どもが「楽しい!」と思うことが一番大切です。うまくできない子どもを見ていると、つい「どうしてできないの」「そうじゃないでしょう」などと言ってしまいがちですが、否定の言葉では子どもの能力は引き出せません。
また、子どもの年齢や体力、現在のコーディネーション能力によって、コーディネーショントレーニングは変わります。無理に難しいコーディネーショントレーニングに挑戦させるよりも、いまのお子さまが楽しめるメニューを提案してあげてください。
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