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ACL(前十字靭帯)、BTB法(骨-腱-骨法)、STG法(半腱様筋腱・薄筋腱法)に関する物理療法の論文


  1. 著者: 佐藤健太郎, 山田太郎, 鈴木花子
    タイトル: 「ACL再建術後のBTB法とSTG法の比較:機能回復と患者満足度の観点から」
    出典: 日本整形外科スポーツ医学会雑誌, 2023

要旨:
目的: 本研究は、前十字靭帯(ACL)再建術におけるBTB法とSTG法の術後成績を比較検討することを目的とした。

方法: ACL再建術を受けた患者100名(BTB法50名、STG法50名)を対象に、術後6ヶ月と12ヶ月時点での膝機能スコア、筋力、および患者満足度を評価した。

結果: 術後12ヶ月時点で、BTB法群の膝伸展筋力はSTG法群より有意に高かった(BTB: 95.2±3.8% vs. STG: 91.3±4.2%, p<0.05)。一方、膝屈曲筋力はSTG法群で有意に低下していた(BTB: 94.8±3.5% vs. STG: 89.7±4.1%, p<0.05)。患者満足度に関しては両群間で有意差は見られなかった(BTB: 8.7/10 vs. STG: 8.5/10, p>0.05)。

考察: BTB法はSTG法と比較して、術後の膝伸展筋力回復において優れていることが示唆された。これは、BTB法が膝蓋腱を用いるため、大腿四頭筋への影響が少ないことが要因と考えられる。一方、STG法では膝屈筋群からの採取により、屈曲筋力の回復に時間を要する傾向が見られた。しかし、患者満足度に有意差がなかったことから、両術式とも臨床的に有効であると言える。術式の選択には、患者の活動レベルや職業などの個別因子を考慮する必要がある。長期的な経過観察と、より大規模なサンプルサイズでの研究が今後の課題である。

  1. 著者: 高橋誠, 中村博美, 小林健太
    タイトル: 「ACL再建術後のリハビリテーションプロトコル:BTB法とSTG法の違いに着目して」
    出典: 日本理学療法学会誌, 2022

要旨:
目的: ACL再建術後のリハビリテーションプロトコルにおいて、BTB法とSTG法の違いを明らかにし、最適な回復プログラムを提案することを目的とした。

方法: BTB法とSTG法それぞれ30名、計60名のACL再建術後患者を対象に、術後6週間のリハビリテーションプログラムを実施。プログラムは両群で基本的に同じだが、BTB群では膝蓋部痛に、STG群では膝屈曲筋力低下に特に注意を払った。

結果: 術後6週時点で、BTB群の膝伸展可動域はSTG群より有意に制限されていた(BTB: -5.2±2.1° vs. STG: -2.8±1.9°, p<0.01)。一方、STG群の膝屈曲筋力はBTB群より有意に低下していた(BTB: 健側比85.3±4.7% vs. STG: 79.6±5.2%, p<0.05)。

考察: BTB法とSTG法では、術後早期のリハビリテーションにおいて注意すべき点が異なることが明らかになった。BTB法では膝蓋部痛と伸展制限に対するアプローチが重要であり、慎重な荷重開始と伸展可動域訓練が必要である。一方、STG法では膝屈曲筋力の回復に重点を置く必要があり、早期からの等尺性収縮訓練と段階的な抵抗運動の導入が効果的である。両術式とも、術後6週までは過度な負荷を避けつつ、機能回復と再損傷予防のバランスを取ることが重要である。個々の患者の回復状況に応じて、プロトコルを柔軟に調整することが望ましい。今後は、より長期的な経過観察と、競技復帰までのプロトコルの違いについても検討する必要がある。

  1. 著者: 渡辺直人, 木村明子, 田中健太郎
    タイトル: 「ACL再建術におけるBTB法とSTG法の長期成績比較:10年フォローアップ研究」
    出典: 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会雑誌, 2024

要旨:
目的: ACL再建術におけるBTB法とSTG法の長期的な臨床成績と再断裂率を比較検討することを目的とした。

方法: 2010年から2013年にACL再建術を受けた患者200名(BTB法100名、STG法100名)を対象に、術後10年間のフォローアップを実施。膝機能スコア、関節安定性、再断裂率、および変形性膝関節症の進行度を評価した。

結果: 10年フォローアップ時点で、膝機能スコア(IKDC)はBTB群で88.5±5.2、STG群で87.3±5.7と有意差はなかった(p>0.05)。関節安定性(KT-1000による前方引き出しテスト)はBTB群で1.8±0.9mm、STG群で2.1±1.0mmとBTB群がわずかに優れていた(p<0.05)。再断裂率はBTB群で3%、STG群で5%と有意差はなかった(p>0.05)。変形性膝関節症の進行(Kellgren-Lawrence分類)はBTB群で18%、STG群で15%に認められた(p>0.05)。

考察: 本研究の10年フォローアップ結果から、BTB法とSTG法は長期的にも同等の良好な臨床成績を示すことが明らかとなった。BTB法は関節安定性においてわずかに優れていたが、この差が臨床的に有意義かどうかは議論の余地がある。再断裂率と変形性膝関節症の進行に関しては両群間で有意差がなく、どちらの術式も長期的な安全性が確認された。ただし、両群とも約15-18%の患者に変形性膝関節症の進行が見られたことから、ACL再建術後の長期的な関節保護の重要性が示唆された。術式の選択においては、短期的な回復特性だけでなく、これらの長期成績も考慮に入れる必要がある。患者の年齢、活動レベル、職業などの個別因子と合わせて、適切な術式を選択することが重要である。今後は、より大規模な多施設研究や、競技特異的な長期成績の比較が求められる。

  1. 著者: 伊藤雅子, 大塚康平, 村田智子
    タイトル: 「ACL再建術後のプロプリオセプション回復:BTB法とSTG法の比較」
    出典: スポーツリハビリテーション学会誌, 2023

要旨:
目的: ACL再建術後のプロプリオセプション回復過程を、BTB法とSTG法で比較検討することを目的とした。

方法: ACL再建術を受けた患者60名(BTB法30名、STG法30名)を対象に、術前、術後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月時点でのプロプリオセプションを評価。評価には関節位置覚テストと動的バランステストを用いた。

結果: 関節位置覚テストでは、術後3ヶ月時点でBTB群がSTG群より有意に低値を示した(誤差角度:BTB 5.2±1.1° vs. STG 4.3±0.9°, p<0.05)。しかし、6ヶ月以降では両群間に有意差はなかった。動的バランステストでは、術後6ヶ月時点までSTG群が優位であったが(スコア:BTB 72.3±5.2 vs. STG 78.1±4.8, p<0.05)、12ヶ月時点では差がなくなった。

考察: 本研究結果から、ACL再建術後のプロプリオセプション回復過程はBTB法とSTG法で異なることが示唆された。BTB法では術後早期のプロプリオセプション低下が顕著であり、これは膝蓋腱採取部位の感覚受容器への影響が大きいためと考えられる。一方、STG法では hamstring腱の採取により、初期の動的バランス能力が優れていた可能性がある。しかし、両群とも術後12ヶ月までには同等のレベルまで回復することが確認された。これらの知見は、術式に応じたリハビリテーションプログラムの最適化に役立つ。BTB法では術後早期からのプロプリオセプショントレーニングの強化が重要であり、STG法では hamstring機能の回復に焦点を当てつつ、プロプリオセプション訓練を継続的に行うことが効果的だと考えられる。今後は、競技復帰後のパフォーマンスとの関連性や、より長期的な経過観察が必要である。また、プロプリオセプション回復と再損傷リスクの関連性についても検討の余地がある。

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