おとぎばなし
ある病院に五人の妊婦たちがいた。全員が同じ時に臨月を迎えた。そしてひとりずつ、破水が起こった。
ひとりめの妊婦は、松明を産んだ。松明は一通り泣くと、笑顔で眠った。
ふたりめの妊婦は、鎖を産んだ。鎖は一通り泣き、安心したように眠った。
さんにんめの妊婦は、盾を産んだ。盾は一通り泣き、松明と鎖を見て微笑み、そして眠った。
よにんめの妊婦は、剣を産んだ。剣は一通り泣き、母に笑いかけ、眠った。
ごにんめの妊婦は、毒麦を産んだ。毒麦は母を従えて旅に出た。
こどもたちが大きくなる。大きくなると、毒麦はテレビに映って、フェアリーテイルを語っていた。
男が蜘蛛を助けてあげたり、友のために走ったりする。それだけのフェアリーテイル。
何が面白いのかわからずに、世間は賞賛する。盃に泥水を注ぎながら。