ハダシ
垂れる血が美しかったから、眺めることを求めた。腹が減ったからパンを食べるのと同じだろ? 何が悪いのかわからない。でも、色取り取りの黒い「モヤ」が、謝れと騒ぎ立てるんだ。誰に? どうやって? わからないから問うた。「モヤ」は散った。
私は彼のためを思って言っているんです。だって、おかしいじゃあないですか。なんで当たり前のことがわからないの? って言うとね、彼なんて答えたと思います? 「アタリマエッテナンダ?」ですよ。もう話す気も失せちゃった。
彼は可哀想な人です。被害者ですよ、言うなれば。彼の気持ちにもっと寄り添ってあげなければ、彼を正常に戻すことなんて出来ませんよ。本当に可哀想ですよ、誰にも理解されなかったでしょうね。私の元で治療を受けていただけたら、彼はきっと「正常」になりますよ。