アラズ

 不在通知が郵便受けに入っていた。私はそれを見て、再配達の依頼をした。指定時刻は明日の12時から14時までの間。その依頼の受付をスマートフォンで済ませてから、私は明日のお昼に、友達と食事に行く約束を取り付けた。相手は誰でも良かった。だから最近会っていなくて土日が休みの友達を誘った。

 来て欲しい。でも逃げたかった。だから両方を取った。ただ、それだけのことだった。

 翌日のお昼、インターホンが誰もいない部屋に響く。汗をタオルで拭う配達員は、内側の不可解な静寂と、外の不愉快な喧騒の板挟みになる。私にはわかり切っていたことなので、配達員のストレスは容易に想像出来る。しかし、配達員は私のことを理解など出来ないだろう。

 届け物の中身は熱帯魚だ。生き生きとした、色彩豊かな熱帯魚だ。多分、まだ生きている。熱帯魚を求めたのは、見たり見なかったりするためだ。

 友達は少し遅刻してきた。だから延々と責め続けた。そうしたら友達は激怒した。謝りたくなかったので帰ることにした。

 家に帰ると、不在通知が郵便受けに入っていた。

 

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