ホークス完敗 その裏で 〜僕がサラリーマン人生を肯定できた奇跡の夜〜
福岡に住む30代サラリーマンが、1億貯めるまでの記録、38投稿目です。今回は、友情エッセイです。
まずひとこと、、、
く、悔しいです!!!!
日本シリーズ第6戦、福岡ソフトバンクホークスが横浜DeNAベイスターズに完敗し、日本一を逃しました。
福岡に転勤し2ヶ月が経ったにわかファンの僕でも、勝ちは確信していました。
しかし、結果は2連勝からの、4連敗。。。
これは、ホークス完敗のその裏で、友情の仕切り直しをした30代サラリーマンのちっぽけな物語だ。
10/29深夜、中洲の屋台が店じまいを始めていた。
綺羅びやかなネオン輝く中洲。
ベイスターズファンの親友は、日本シリーズ応援のために東京からわざわざ来福していた。
この日、ベイスターズは日本シリーズ初勝利。
青いユニフォームを着た親友は、意気揚々とタクシーから降りてきた。
時刻は24時を回ろうとしていた。
中洲の屋台でご飯を食べることを楽しみにしていた親友だが、もう時すでに遅しであった。
「磯丸水産でハイボールしばくで!」
大学時代、アホみたいに宅飲みしていた僕ら。
正直、飲めれば場所はどこだって良かった。
中洲屋台の道挟んですぐにある磯丸水産でどかっと腰を下ろし、ハイボールを4杯注文。
外国人店員がせっせと運んできたアルコールを、僕らはゴクゴクと水のように飲んで、プハーッと声を合わせた。
いつまで「夢」語ってんの?「やれよ!」
就活生の頃からだろうか、僕らは「夢」を酒のつまみに飲むことが多くなった。
「将来こんなことをやりたい」
「夢叶えたら、しこたま飲もうぜ」
「いつか一緒に起業できたら、それ以上幸せなことないよな」
妄想を捗らせながら酒を煽り、果てる先は二日酔いとほのかな高揚感。親友との“語らい”は、僕にとって特別な時間だった。
5年前。そんな親友が起業した。
創業前夜、東京駅ビルのおでん屋さんで飲んだ時「一緒にやろうよ」と声をかけてくれた。
しかし、家庭を持ち間もない僕は、安定したサラリーマンを辞める決心をするには至らなかった。
親友は残念そうにしてくれたが、その後自分の道を突き進んだ。今では数十名の社員を抱える企業の社長だ。
彼との特別な時間を久々に過ごしたいと思い、「最近の夢はなんなの?」と聞くと
「もう夢っていう概念、無くなったんだよね。俺の中で夢としていたものは、もう“目標”になってる。遠いものじゃなくなったんだ」
愕然とした。
もうお前とは生きているレベルが違うと言われたような気もして、恥ずかしい気持ちにすらなった。
「例えば、なんか今の夢ってあるの?」とまっすぐな目で聞かれ、「脚本家になりたいと思ってた時期はあったよ」と言うと
「この議論の答えは至ってシンプルなんだよね。いつまで夢語ってんの?やれよ。それしか俺には言えないし、手助けできない」
ハイボールをぐいっと飲み干し、席を立つ親友。なんとなく居た堪れない気持ちを抱えながら、「ここは俺が払うよ」と会計を済ませた。
滅多に泣かない親友が泣いた。
磯丸水産を後にした僕らは、二軒目へ。
お酒も回り始め、少しお腹も空いたので、近くの寿司屋へ滑り込んだ。
少し話題を変えようと、20代の時、僕が親友との思い出を綴ったブログを久々に見せた。
そこには、学生時代から2人でそれぞれの“夢”を語り、切磋琢磨してきた歴史が克明に記されていた。
すると突然、親友が目頭を押さえた。
「ちょっとヤバいわ」
そう言って、眼を真っ赤にしている。
僕はビックリして言葉を失った。
ずっと尊敬してる。自信もてよ!
しばらく何が起こったか分からなかった。
ブログの内容が、彼の心のどこに響いたのか。彼のどんな琴線に触れたのだろうか。
きっと起業してから相当苦労もあったろう。
たくさんの人と付き合いもあったろうし、何遍も頭を下げてきた。
忙しく身を粉にして働き、頑張ってきたんだろう。
今では立派になっちゃったけど、駆け出しの頃と変わらない自分がいたことを思い出したのかもしれない。
一方、僕も僕で新卒から10数年、サラリーマンとしてしっかり働いてきた。
今では中堅。責任の重い仕事も任されるようになってきた。
子どもが生まれ、家庭優先になって付き合いが悪くなり、親友とたくさん語れる時間も限られてきた。
2人の特別な時間は、思い出の中に閉じ込められてしまっていた。
そんな折の日本シリーズきっかけの親友来福。久々の会合。かつて2人の間にぎっちり結ばれていた友情を示すブログの文章。
親友の中で何か零れ落ちていた感情が呼び醒まされたんだろう。
眼を赤くしたまま、彼が言った。
「お前が夢の話をするから、さっきは強く言ったけど、お前は頑張ってるし、すごいし、ずっと尊敬してる。」
「自分の“好き”を仕事にしたいって言って就活して、サラリーマンとして10年以上、一流で頑張ってる。もっと自信もてよ!」
僕の心の内の“何か”が、すっと消えた
そんな言葉を彼からもらえるとは思っていなかった。
高校で知り合った時から大人びていて、勉強もスポーツも万能で、僕にとってずっとお兄ちゃん的な憧れの存在だった親友。
夢を2人で語っている時だけは対等でいられる気がしていて、そんな時間が特別だった。
だけど、最近はあまり深く話すこともなくなって、どこか劣等感や後ろめたさすら感じていた…。
そんな親友が僕のことを認めてくれていた。尊敬してると、目の前で言ってくれたのだ。
そのことがすごく嬉しくて嬉しくて、たまらなかった。
酒が進んだ。それはもう、酒が進んだんだ。
酔いが絶頂に達する瞬間、僕はこれまで言葉にできなかったことを、“自信を持って”親友に伝えた。
「俺は俺で頑張ってる!お前はお前で頑張ってる!お互いにこれからも頑張ろう!」
30代半ば、これまでのサラリーマン人生にやっと自信が持てた親友との夜。
その後、親友が応援するベイスターズが日本一になりホークスは負けてしまうというなんとなく皮肉な結果にはなったけれども、あの奇跡の夜を僕は生涯忘れない。
おわり
いかがでしたでしょうか?
YouTube等で金持ち経営者がメッセージ性の強い発信を多くする昨今、サラリーマンで居続けることを少し否定的にとらえる世間の雰囲気を感じることがあります。
でも、決してそんなことはない。
サラリーマンとして働く僕らは、頑張っている!自分を、家庭を、支え守っている!
そんなことが伝わったら嬉しいです。
ちなみに、僕の夢、改め目標は、
「家族と幸せになる人生」!
普段はこういったエッセイ・コラムや、総資産月報などお金・FIREに関する記事を書いてます。
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