交感神経の活性化は血流量が増加する?しない?
こんにちは、青木です。
「交感神経が優位=体に良くない」
最近、そのように考える方が
多いように思います。
ピラティススタジオに来店される
クライアント様の中にも、
「ストレスで交感神経が優位だから~」とか
「副交感神経が働いてないから~」とか
現状の症状に関して、交感神経が原因と
考える方がいらっしゃいます。
実際のところ、交感神経が優位であるために
出ている症状は多くあり、
現代がストレス社会であることを考えると
間違いではないと思います。
ですが、交感神経も体には必要なものであり、
「いけないもの」と捉えることは
正直違うと考えています。
今回はそんな交感神経が血流量に
与える影響についてまとめたいと思います。
女性の方は冷えや浮腫みで
悩んでいる方が多いかと思います。
一般的に、交感神経は緊張状態や
逃避行同時に働くと言われるので、
筋肉への酸素供給量を増やすために
血流量を増やすと思われます。
そう考えると、冷えや浮腫みを改善するには
交感神経を優位に働かせることは
重要だと考えられます。
では研究論文からはどのような報告が
なされているのでしょうか?
実際に見ていきましょう。
それではどうぞ。
結論
交感神経が活性化すると、
血圧と全身血管抵抗の増加を通じて
血流量に影響を与えるが、
特定の場面では血流に影響を
与えない可能性がある。
エビデンス
参考論文
「Sympathetic Nerve Traffic Activation in Essential Hypertension and Its Correlates: Systematic Reviews and Meta-Analyses(本態性高血圧における交感神経交通の活性化とその相関:系統的レビューとメタアナリシス)」
https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.118.11038
「Identification of human sympathetic neurovascular control using multivariate wavelet decomposition analysis.(多変量ウェーブレット分解分析を用いたヒト交感神経血管制御の同定)」
https://doi.org/10.1152/ajpheart.00254.2016
「Abstract P1122: Sympathetic Vasodilation Improves Insulin-Mediated Microvascular Recruitment in the Forearm of Obese Subjects(抄録P1122: 交感神経血管拡張は肥満被験者の前腕におけるインスリン介在性微小血管リクルートメントを改善する)」
https://doi.org/10.1161/hyp.74.suppl_1.p1122
交感神経の活性化が血流量へ与える影響
交感神経と血圧の関係性
一般的に交感神経優位では血圧が
高くなることが分かっています。
これは交感神経優位によって血管の収縮と
心拍数の増加が起こるためです。
そのため、血圧が上がれば血流量が
増加する可能性があると考えられます。
ただし、参考論文でもある通り、
持続的な交感神経の活性化は
本態性高血圧の要因となるため
注意が必要です。
交感神経と脳血流の関係
交感神経と脳血流に関しては
今でも議論が続いている領域になります。
参考論文では交感神経遮断薬を投与した群と
そうでない群に分けて、心拍数、血圧、呼吸数、
二酸化炭素濃度、脳血流量を測定したところ、
両群で有意差は見られなかったと報告しています。
他にも交感神経と脳血流についての
研究論文は多数ありますが、
交感神経を活性化させることで
脳血流量が減少したと報告したものもあれば、
増加したと報告したものもあり、
一貫性が見られていません。
交感神経が脳血流に影響を及ぼすことは
間違いなさそうですが、
血流量の増減については様々な要因が
関連していると考えます。
末梢血液循環との関連性
交感神経が末梢血液循環に与える影響も
一貫した結論は出されていません。
一般的には、交感神経活性化によって
血管収縮と血管抵抗増加が引き起こされ、
末梢部位への血流量が低下するという考え方が
有力視されています。
このことから、更年期に起こる冷えや浮腫みも
交感神経の過活動が原因である可能性も
見えてくるかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
正直、今回は交感神経と血流量に関して
ポジティブな結果が見れるのではないかと
考えていました。
しかし、ふたを開けてみると
そんなことはありませんでしたw
もちろん、交感神経は副交感神経との
バランスが重要になることは言うまでもなく、
悪者扱いは良くないとの考えは変わりません。
今後は副交感神経の働きについても、
論文をまとめていきたいと思います。
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