心不全療養指導士 試験対策問題 心不全の概要編
心不全療養指導士資格試験の勉強をしながら、スマホでもデータで残しつついつでも勉強できるようにしたいと思ったことをきっかけに作成した試験対策問題です。
全10問のオリジナル問題(無料版)となります。
少しでも参考になれば幸いです。
問題1
心不全療養指導士の役割として誤っているものはどれか。1つ選べ。
1 心不全の発症・進展の予防の重要性を理解し、その予防や啓発のための活動に参画することができる。
2 心不全の概念や病態、検査、治療について理解し、それをもとに病状などを把握することができる。
3 心不全の進展ステージに応じた予防・治療を理解し、基本的かつ包括的な療養指導を実施することができる。
4 医療機関あるいは地域での心不全に対する診療において、医師や他の医療専門職と円滑に連携し、個人的な医療の推進に貢献することができる。
5 心不全患者に対する意思決定支援と緩和ケアに関する基本的知識を有している。
【解答】 4
【解説】
個人的なスキルも必要であるが、あくまでチーム医療の推進を目指す。
問題2
次の記述のうち誤っているものはどれか。1つ選べ。
1 心不全や心房細動をはじめとする心疾患患者は増加の一途である。
2 現在までの死因のトップは癌だが、高齢者では第2位の心疾患と第3位の脳血管障害とを合わせた循環器病による死亡数は癌に匹敵し、後期高齢者に限ると癌を上回る。
3 50歳代で循環器病の患者数は癌の患者数の半分であり、後期高齢者では同等となる。
4 国民医療費は年々増加の一途をたどり2018年度には43兆円を超えた。
【解答】 3
【解説】
3 50歳代で循環器病の患者数は癌の患者数と同等となり、後期高齢者では約2倍になる。
問題3
次の記述で誤っているものはどれか。1つ選べ。
1 国民医療費は傷病分類別にみると、「循環器系の疾患」に20.1%と最も多くの医療費が使われており、第2の「新生物」14.4%を大きく引き離している。
2 循環器病は患者数が多いうえに、入退院を繰り返すことも多く、医療費の面でも大きな問題となっている。
3 平均寿命と健康寿命との間には男性で9年、女性で12年ほどの乖離がありこの期間は寝たきりなどの介護が必要な期間であり、そしてその原因のトップが癌であり、心疾患と合わせると20%強である。
4 わが国において心不全患者は120万人いると言われているが、少なくとも2035年までは増え続け132万人程度になると推定されている。
【解答】 3
【解説】
3 平均寿命と健康寿命との間には男性で9年女性で12年ほどの寝たきり等の介護が必要となる乖離期間があり、その原因のトップは脳卒中であり、心疾患と合わせると20%強となる。癌はわずか2.4%である。
問題4
次の記述で誤っているものはどれか。一つ選べ。
1 団塊の世代が全員75歳を以上となる2025年には心不全患者はさらに増加し現在の診療体制では多くの病院が心不全患者であふれるのではないかと危惧されている。
2 心不全の5年生存率は60%程度でありステージIIの胃癌と変わらない。
3 心不全患者急増の第一の原因は超高齢化である。
4 急性心不全患者は適切な治療により症状を改善できるため、たとえ再入院しても前回入院時と状態はほぼ変わらない。
【解答】 4
【解説】
急性心不全患者は適切な治療により症状を改善することができるが、それは症状がとれただけであり、心不全が治ったわけではなく発症後はそれ以降慢性心不全の状態となる。退院後はかかりつけ医で診療は継続するが急性増悪を発症し再入院する。そして、前回入院と比べると状態は一段階低下しており下り坂をたどる。
問題5
心不全についての説明で正しいものはどれか。2つ選べ。
1 血液検査でBNP値の上昇を認めたため心不全と診断できる。
2 心不全を診断するには症候や徴候に加えて何らかの方法で心機能障害を捉えることが重要である。
3 LVEFが基準値より低い数値であったため、心不全と診断できる。
4 心不全は進行性の臨床症候群であり、一般向けの定義では「心臓が悪いため息切れ等が生じ、だんだん悪くなる病気」と表現される。
【解答】 2、4
【解説】
心不全の定義と特徴についての問題である。
「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」において、心不全は「なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/
あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されている。また、LVEFやBNP値のみで短絡的に心不全の判断をするべきではなく、総合的に評価して判断する必要がある。
問題6
心不全についての記述で正しいものはどれか。1つ選べ。
1 原因となっいる心疾患自体の評価はそれほど重要でない。
2 心不全は単一の疾患で成り立っていることが多い。
3 ある人は心不全として指導し、またある人は心不全でないと考えて接すると一貫した療養指導にならない。
4 様々な立場の人が共同して指導にあたるにはどんな人を心不全患者として接し、どのような病状にあるのか、何を必要としているのか、共通した認識が必要だがその際に定義や分類などはあまり参考にならない。
【解答】3
【解説】
心不全の診療では診断を含めて、①原因となっている心疾患自体の評価②どこがどれくらい破綻しているのか、重症度を含めた病態の評価③代償破綻を引き起こした誘因の評価が重要である。
心不全は単一の疾患でなく多様性を示す臨床症候群であるため、立場の違う職種同士が一貫性のある療養指導を行うためには心不全の定義や分類など共通した認識が重要となる。
問題7
下記の組み合わせて正しいものはどれか。2つ選べ。
1 HFrEF ー 左室拡張障害が主体でLVEFが低下した心不全
2 HFpEF ー 左室収縮障害が主体でLVEFが保たれた心不全
3 HFmrEF ー LVEFが軽度低下した心不全
4 HFrecEF ー 治療経過とともにLVEFが改善してHFpEFに移行した心不全
【解答】 3、4
【解説】
1 HFrEFは左室収縮障害が主体でLVEFが低下した心不全
2 HFpEFは左室拡張障害が主体でLVEFが保たれた心不全
問題8
下記の組み合わせで正しいものはどれか。2つ選べ。
1 HFuncEF ー 経過を通じてLVEFに大きな変化を認めない心不全
2 HFmrEF ー 治療経過とともにLVEFが改善してHFpEFに移行した心不全
3 HFrecEF ー 治療経過とともにLVEFが改善してHFrEFからHFmrEFないしHFpEFに移行した心不全
4 HFrEF ー 左室拡張障害が主体のLVEFが保たれた心不全
【解答】 1、3
【解説】
HFrEF : 左室収縮障害が主体のLVEFが低下した心不全
HFmrEF : 軽度LVEFが低下した心不全
HFpEF : 左室拡張障害が主体のLVEFが保たれた心不全
HFrecEF : 治療経過とともにLVEFが改善してHFrEFからHFmrEFないしHFpEF、あるいはHFmrEFに移行した心不全
HFworEF : 治療経過とともにLVEFが低下してHFpEFからHFmrEFないしHFrEF、あるいはHFmrEFからHFrEFに移行した心不全
HFuncEF : 経過を通じてLVEFに大きな変化を認めない心不全
問題9
Forrester分類についての説明で誤っているものはどれか。1つ選べ。
1 血行動態指標である心係数と肺動脈楔入圧とで4群に分けられる。
2 急性心筋梗塞における急性心不全の予後を予測する目的で作成されたものである。
3 心係数2.2以上かつ肺動脈楔入圧が18以上であればIIに分類される。
4 心係数2.2以上かつ肺動脈楔入圧が18以下であればIIIに分類される。
【解答】 4
【解説】
4 この問題文であればIに分類される。
問題10
心不全の進展ステージで誤っているものはどれか。2つ選べ。
1 心不全ステージAでは器質的心疾患のないリスクステージであり、心不全徴候はない。
2 心不全ステージBでは器質的心疾患のあるリスクステージであり、心不全徴候はないが心不全の既往がある。
3 心不全ステージCでは器質的心疾患・心不全徴候があり、心不全の既往がある。
4 心不全ステージDでは器質的心疾患・心不全徴候があり、治療抵抗性のない心不全ステージである。
【解答】 2、4
【解説】
2 心不全ステージBでは器質的心疾患のあるリスクステージであり、心不全徴候がなくまだ心不全の発症がない。心不全が発症するとステージCへ進展する。
4 心不全ステージDでは器質的心疾患・心不全徴候があり、有効性が確立されている全ての薬物治療、非薬物治療について治療ないし治療が考慮されたにも関わらず、NYHA心機能分類III度より改善しない入退院を繰り返している心不全ステージである。