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【症例発表】重度脳出血例に対する理学療法介入の進め方-理学療法士としてできることとは-

先日、院内で症例発表を行いました。タイトルは重度脳出血例に対する理学療法介入の進め方としていますが、理学療法士としてもっとできることはなかったのか、について悩んだ症例となっています。

もし何かアドバイスなどございましたらコメントにお願い致します。

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本症例は高血圧性脳出血を発症した50歳代男性です。肥満体型で血糖コントロールも不良でありました。入院初日の全身状態は上記記載の通りです。

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CT初見では、側脳室-第4脳室まで脳室穿破を認め、ご家族の希望もあり、入院日に脳室洗浄ドレナージ術を施行しています。mid line shift は所見上、認めていません。一方で脳溝の消失を伴っていたため、脳ヘルニア状態にあると考えました。mid line shift については頭蓋内圧亢進により正中軸が保たれているものと考えています。皮質脊髄路の損傷は甚大でありましたが、脳幹部の損傷は比較的軽度で網様体自体は残存しているものと考えました。

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予後予測的な観点では、血腫のグレード皮質脊髄路の損傷の程度を考慮すると実用的な歩行や実用手の獲得は難しいものと考えられましたが、意識レベルの低下による影響が強いと判断し、血腫の吸収を待ちながら意識レベルの向上を図ることを最優先とし、理学療法プログラムの立案を行いました。

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理学療法では、全身の拘縮、DVTの予防を目的に関節可動域練習を、呼吸管理、全身的な廃用予防、覚醒向上を図るために全身状態の管理のもと、離床を進めることを2大テーマとし、理学療法を進めました。

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高血圧性脳出血で注意する点としては、血圧脳ヘルニア頭蓋内圧亢進があります(もっとたくさんありますが発表時間の関係からこの3点をピックアプしています)

血圧管理では、sBPを140-160mmHg以下に降圧することが推奨されており、リハビリを行う上では、160mmHgとし、離床後の血圧変動に応じて個別に主治医と話し、上限を設定することとしています。

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脳ヘルニアについては、上記に示すとおり、1〜2weekが脳浮腫の極期であるため、その期間での全身状態の変化には鋭敏に反応できるように確認する必要があります。また脳浮腫の程度や持続期間は血腫の大きさと相関するとされますが、本症例の血腫は27.95mlと決してめちゃくちゃ大きいわけではありませんでしたので、通常の吸収過程を辿るものと考えていました

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頭蓋内圧亢進では、出血部位の周辺は虚血状態になることを踏まえ、管理する必要性があります。また30°のギャッジアップは血圧の低下を来さずに頭蓋内圧を下げる効果があるとされているため、病棟生活では、可能な範囲でギャッジアップ30°での管理を行っていました。

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経過です。上記の通り、順調に血腫の吸収は行われました。一方で頭蓋内圧が下がったことでmid line shift は明瞭化して来ているように思えます。理学療法は上記の通り進めましたが、第4病日より熱発しており、離床ができずにベッド上での関節可動域練習やポジショニングのみの実施となる日が大部分でありました。その結果、第11病日に本症例は亡くなられています。

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介入を進める上での問題点として、まず血圧管理が不良でありました。時間帯によりムラはありましたが、積極的な離床は中止せざる負えない状況にあり、先述したとおり、関節可動域練習ポジショニングが主となっていました。

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また熱発も持続していました。こちらも時間帯により多少の変動はありましたが、平均的にみても38°を超えている日が大部分を占め、ポジショニング呼吸管理を目的とした介入を数回に分けて、行うことしかできない日もありました。

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最後になりますが、最初に立てた理学療法アプローチは展開できず、熱発や血圧、その他循環器症状などにより、積極的には理学療法を行うことはできない状況にありました。

このような全身管理は医者の範疇にあるように感じており(そういうわけではないのはわかっていますが)理学療法士として何が本症例にできたのか、日々悩んでいます。まだ答えは出ていません。

しかし、答えは出なくても患者さんは入院してきます。これが原因だ!これをやればいい!と言った答えはないかと思いますが、みなさまも似たような経験をされた方はいらっしゃらないでしょうか。

何かご助言などございましたら、コメントいただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。

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2021/12/06

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