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車椅子のシーティング(フィッティング)のやり方-快適な座位姿勢を獲得する-

車椅子のシーティングとは、いわゆるフィッティングみたいな感じです。
フィッティングはものすごく大事で、「自分の身体にとって明らかに小さい車椅子」「座面が低くて立ちにくい車椅子」「家が狭いのに大きな車椅子」などなど、合わない車椅子を使っているといろんな弊害が生まれます。

姿勢が崩れたり、立ち上がりや乗り移りがしにくかったり、漕ぎにくかったり...ですね。それを改善するために、座面や足置きの高さを調節したり、タオルやクッションを使ってより良い座位姿勢の獲得を図る必要があるんです。

これらを全て含めて「車椅子のシーティング」と言います。今回はそのシーティングについて書いていきます。

車椅子シーティングの考え方

車椅子シーティングですが、実は意外と難しい。車椅子に座るその人によってやり方が大きく変わってくるし、住宅環境も含めて考えていく必要があるんです。

なので大事なことは「評価」。その人の身体のサイズ感を把握し、身体の歪みを知り、また普段の生活も知る必要があります(よく自分で動く人なのか、食事の時には車椅子のままなのか椅子に移るのかetc)。

この評価を行なった上で実際にシーティングを行い、そして再評価をする。こういった一連の流れの中で、少しずつより良い車椅子ライフを送れるように工夫を重ねていくわけです。

そしてもう一点。
人の身体は時間が経てば変わっていきます。さらに高齢者の場合は急に動作能力が変わる場合があります。そういったときに車椅子のシーティングも変えていく必要性が生まれてくるので、一度行ったら終わりではなく、常に気をつけておく必要があります。

シーティングの流れ

流れについてはいろんな考え方がありますが、スタンダードなところで書いていきます。

1,マット上の評価(臥位評価)
2,端座位の評価
3,車椅子に乗って評価
4,車椅子の工夫(高さ調整やタオルの使用など)

1,マット上での評価(臥位評価)

車椅子のシーティングで大事なことは、マット上での評価(臥位評価)です。ここで下肢の長さや姿勢を評価しておきます。

ここの長さで座面の長さを合わせるようにして(実際の現場では調整は困難ですが、あまりにもズレる場合は車椅子の変更を考慮)、膝から下の長さで座面の長さを考えるわけです。

写真ではセラピストが足を持ち上げてますが、この際骨盤が動かないように注意です。股関節が硬くて骨盤が動くようだと、仙骨座りといって前滑りしていく可能性が高くなります

この足の角度が90度あれば、車椅子の足の面のセッティングは普通にやって大丈夫。この角度が90度いかない場合(もしくは骨盤がどうしても動いてくる場合)、車椅子の背もたれを倒し気味にしたり、フットレスト(足置き)の位置を調整することが必要になります。

ベッド上の評価ではもう一点、真上から見て、全体的な姿勢の歪みをチェックします。この時、骨盤の位置をまっすぐにしておくことが大事です。骨盤を中心として姿勢を考えていくわけですね。ここの姿勢をみておくことで、座ったときに身体が歪む場合「身体そのものが歪んでいる」か「座った時の座位保持能力のなさで歪んでいる」かがわかるんですね。

2,座った状態での評価

次にベッドの脇に座った状態で姿勢をみてみます。その姿勢が、その人の基本的な座位姿勢。この状態とさっきの寝た状態の姿勢を比べながら、車椅子のシーティングに入っていきます。

加えて座位での評価でもう一点。万歳などをして腕を上げてみます。言い換えれば、腕の支えをとるということ。これで、座っている姿勢の安定性をみることが出来ます。
安定性が高いなら、座面のクッションは少し固めにしても大丈夫。
逆に両手をあげて動揺があったり、そもそも座位保持自体が不安定な場合はクッションを柔らかめにするとよい
です。「安定しない」ということは、自分で身体をコントロールする力が乏しいということ。自分で動く能力が低いため、床ずれのリスクを減らすために柔らかめのクッションを選ぶ形です。

3,車椅子に乗って評価

今までの評価と、実際の車椅子での様子のギャップを探します。ここは...かなり個別性が強くなるので、この記事では飛ばします。

4,車椅子の調整

ようやく車椅子の調整です。調整すると良いポイントは

・バックレスト(背もたれ)の角度
・フットレスト(足置き)の高さ
そして車椅子自体の評価として、
・ブレーキが硬すぎないか(たまに左右差がかなりあって片方だけ動きにくいケースがあるので注意)
・座面の高さ

あたりが基本ですね。

まずバックレスト。調整出来るタイプの車椅子なら「もたれてもらう」→「調整」→「もたれてもらう」を何度も繰り返します。ちょうど良いと思っても、ちょっと角度を変えるだけで結構変わるので気をつけて実施します。
ちなみに、調整するときはビニールシート(ゴミ袋など)を挟むと調整しやすいです。一番上を仮止めして、下から順番に止めていくとうまくいきます。


フットレストの高さは、ひざ下に指が1~2本入るぐらいの高さが理想。
ブレーキは硬ければゆるめましょう。
座面の高さは、低すぎればクッションの高さを調整したり、クッションの下にバスタオルを畳んで挟むと良いですね。高すぎる場合は調整が難しいので、車椅子の交換がスタンダードです。

あとは「姿勢の歪みに対するタオルやクッション使用での調整」ですね。ここはその人に合わせて試行錯誤していくしかないのですが...

一つだけ例を出すと、右に傾く人の傾きを止める場合、身体の右側にクッションを入れる場合が多いですが、それだけだと不十分。左のお尻が浮いてくる可能性があるので、バランスを取るために左のお尻部分にも軽くクッションを挟むと良いですよ。

バスタオルをクッション代わりに使う場合もよくありますが、その場合はバスタオルをラップで包むと良いです。普通に畳むだけだと畳んだ形が崩れていってしまいますが、ラップで包めばその形が維持できますよ。

その他

背もたれの調整のため、車椅子を分解することもよくあります。背もたれの調整が出来ないタイプの車椅子でも、工具を使ってネジを外していくことで角度を変えることが出来たりします(説明書にはそうやって角度変更可能と書かれていることもあります)。

また、定番ですが腕の力のない人はブレーキをかけたり外したりするのが大変だったりします。その場合はブレーキのところにラップの芯とかを被せると、てこの原理でブレーキをしやすくなります。

と、いうことで今回の記事は
「 車椅子のシーティング(フィッティング)のやり方-快適な座位姿勢を獲得する-」でした!
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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N(訪看事業所の所長→事務さん)
あなたのためになったんだなと思い、幸せな気分でビールを飲みます!ありがとうございます。