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医療従事者には知っていて欲しい。聴くことでの回復支援。

私は理学療法士として病院に20年程度勤務していました。医療分野で働いていると、「傾聴」という言葉は頻回に出てきます。

傾聴の技術が本当に出来ているのか?

そもそも聴くことで何が変わるのか。

傾聴をすることの目的は何?

そんな疑問が出て、自分なりに調べ、考えてみました。


傾聴のイメージと一般論

私もカルテ内に「傾聴していく」などの文言を書いていた記憶があります。その当時は傾聴できていたのかというと全く出来ていなかったです。ただイメージのみでやっていたに過ぎません。
イメージ1.聞き役であれば良い
イメージ2.共感(同情に近い)する
イメージ3.自然に身についているもの

これは全くの間違いでした。
傾聴について少し調べると・・
「自分の価値観で判断することなく、相手のそのままを受け容れ、共感的理解をもって聴くこと」
「話の内容はもちろん、思いも理解しようとし、信頼関係を深め、本心が語れるようにするための聴き方」

聞いている時の頭の中を思い出してみると、
「後◯分で終わらなきゃ、その判断は間違っているなぁ、この人は自分のこと嫌いなのかなぁ」など相手を受け容れるどころか、自分の事ばっかり考えながら表面上の聞き役になっていた。

傾聴のテクニック

傾聴をどのようにすれば良いのか。
そのやり方やテクニックは様々なサイトで言われている。
・おうむ返し(聴いていますの証)
・肯定も否定もしない(自分の価値観で判断しない)
・相手の話すペースを守る
・適切な相槌や頷き
・適切な質問
・積極的な興味を持つ
・相手の目線になる
・思いや感情を聴く(事実確認よりも)
・適切な態度(興味がありますの表現)

この他にも、まだまだテクニックはある。

しかし、テクニックのみを知って使いこなせるだろうか。
どのテクニックがどの場面で適切に使用されるのか、同時に使いこなせるか、などテクニックのみの学習は応用に欠け、表面的であることが伝わることも多いかと。

このようなテクニックはどのようにして生まれたのでしょう?何かの目的があって、それを達成するために生まれたものだと思います。
つまり、傾聴(テクニックの総称みたいなものと考えています)の目的は何でしょうか?何のために傾聴が使われるのかを十分理解することが、テクニックの意味と応用をより深くし、様々なテクニックを使い分けることが出来ると思います。

傾聴することの意味・目的

傾聴の効果として言われるのは、
1.承認欲求が満たされる
2.自己肯定感が高まる
3.ストレスの軽減
4.満足感が高まる
5.信頼関係構築

他にも様々な効果が言われているが、自分なりに効果の要因を考えてみた。
本音を話すことが何故よいのか。
<聞き手側>訴えが明確になり、問題解決につながりやすい。
<話し手側>ストレス軽減、不安解消、気持ちの整理などが出来る。

なぜ話すとすっきりするのか、ストレス軽減や不安解消などに繋がるのでしょうか?

まず本音を出せないのはなぜでしょうか?
それは、自分を守るための保身行動だと思います。孤立したくない、傷つきたくない。なぜそう思うのでしょうか。大きな理由として、自分の価値を信じられない、自分は出来ない人だと思っており、自信が持てないということです。こんな自分を出したら、きっと・・・という考えですね。

では、本当の自分を出せるということは何が満たされるのでしょうか。それは自分の価値を感じること、自分に自信が持てることが出来るようになるということです。

皆さんは相手がどのような事をしてくれると、自分が価値ある人間だと感じられますか?自分に自信が持てるようになりますか?

自分の身になって話を聴いてくれ、否定せず、こちらが話したいことやタイミングを待ってくれたり、感情や思いを受け止めてくれたり、興味をもってくれ、想いを正確に把握したいために質問して確認してくれる。

こんな風に聴いてくれたら、「私は価値があると思われている。だから等身大の私を出しても大丈夫。こういう私でいいんだ」と思いませんか?気持ちも体もすっきりするような気がしませんか?そう、これは上記のテクニックですよね。

つまり
「傾聴は、相手が自分には唯一無二の価値があることを感じてもらい、自分らしく生きるのを支援すること」
と自分なりに解釈しました。

傾聴の技術を高めるためにすること

傾聴は相手に自分の価値を感じてもらうことだとすると、自分に価値がないと思っている人が出来るでしょうか?

自分に価値がないという想いを共感しやすいということがあるかもしれません。でもやっぱり自分の価値を信じられていないと、相手の評価が気になりますし、常識や善人という立場を取りやすくなると思います。つまり相手の話を自分に目を向けた状態でしか聞けない習慣がついています。

そのため、傾聴をより実践するために、自分の価値を感じ、確信できるようにしてみてはいかがでしょう?


能力があるから価値があるという考えよりも、唯一無二の存在のみで価値があること、存在のみで多くの人に影響を与えている事実を知ること。そして何より、心の中の自分の声は常に自分の価値を守ること、大事に扱うことです。
自分に価値がないと考えてしまうのは、自分で自分を否定していることが多いからです。特に能力面ではその傾向が強くなります。出来ていること、出来てきたこと、成功したことを大切に扱いましょう。自分の価値を自分で高めることが出来たら、相手にも与える事が出来るようになると思います。

傾聴の技術を高めるために、
まずは自分の価値を確信できるように高めましょう。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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