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セラピストが心電図を勉強するメリット5選

こんにちは、インスタグラムで循環器系の投稿をしている理学療法士のゆう(@pt.cardiac.rehabilitation)です。

今回は心電図検定の季節ということもあり、受けた人も受けなかった人も今後受けてみようという人も見ていただきたい内容です。

まず心電図は一つのツールにしか過ぎず、今後AIの精度向上により徐々に判読の機会は減っていくと予想されています。

しかし、私は心電図の勉強自体は推奨されるべきと考えています。
そこで私が考える心電図自体のことや心電図の勉強のメリットとデメリットをまとめていこうと思います。


メリット

  • リスク管理が出来る

  • 循環器全体に強くなる

  • 運動負荷調節に使用できる

  • 多職種連携を取りやすい

  • 若手でも取り組みやすい

メリットを挙げると5つ程あります。
各々説明していきます。

01:リスク管理が出来る

心電図があって一番助かるのは急性期のセラピスト達だと思います。
刻一刻と状態が変わる時期でもあるので、早期発見早期対応の為には無くてはならないツールです。
時に心電図変化は症状の出現やその他のバイタルサインよりも先に変動することがあります。電解質異常や無症候性の心筋梗塞、意識レベルの低い症例での諸々の発症等々、早期の対応が必要な場面での早期判読と対応が必要となります。
そして基本的にフィジカルアセスメントのみで急性の症状を発見対応するのは困難を極めます。
継続してモニタリングが出来るモニター心電図はリスク管理を重視したリハビリを行う急性期のセラピストにおいて、なくてはならない相棒の様な存在です。
また、心電図を勉強し理解することには循環器を理解することが必要であり、一つの取っ掛かりになる点も是非初めていただきたい理由でもあります。

02:全ての疾患に強くなる

上記でも述べましたが、心電図を勉強することは循環器を理解することが必須であり、おのずと循環器全体の知識を習得することにもつながります。
例えば12誘導心電図の各誘導を理解するだけでも心臓の向きや大きさ、構造の理解が必要です。
そして波形の理解には刺激伝導系の様な解剖学や、活動電位といった基礎生理学が必要となります。
活動電位などの知識は脳神経系の疾患でも必要となりますし、その他の内部疾患でも活躍します。

03:運動負荷調節に使用できる

心臓リハビリテーションにおいて、運動負荷調節は嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold:AT)の少し前を目指しますが、測定には運動負荷試験が必要です。
運動負荷試験では普段の負荷量よりも大きな負荷をかけ実施するため、01の項で述べたようにリスク管理の面でも使用します。
また、狭心症に対するリハビリでは二重積という心筋の酸素需要を大まかに求められる指標を使いますが、その際には心電図変化が出るタイミングが重要となります。
心電図から持続的に得られる心拍数、波形の変動はリスク管理だけではなく適切な運動負荷をかけるうえでも必要となります。

04:多職種連携を取りやすい

心電図というツールはすべての職種に関係してくるため、特に病棟の場において連携時に伝達事項として必須です。
その項目を知っていることで円滑な連携をとることが可能です。
また、心電図を知っているセラピストであるだけで他職種からの信用度もかなり上がり仕事のしやすさが変わります。
かなりの偏見ですが、急性期の看護師さんの中には心電図や薬を知らないセラピストの事はあまり信用していない方もいると感じています。

05:若手でも取り組みやすい

セラピストの勉強は経験が大切です。
徒手技術は知識だけあっても難しく、手の感覚や症例数も必要となります。
ですが、心電図はある程度知識がつくことですぐに使用できる面もあり、
徒手技術と比較すると短期間での臨床応用が効く分野だと思います。
また、急性期のリハビリはリスク管理が大前提です。
リスク管理が徹底出来ていればその他の分野の勉強も安定して実施可能です。

デメリット

  • 難易度が高い

  • 臨床応用までに比較的時間がかかる

  • 心電図がない領域が多い→反映しにくい

メリットだけでは少し胡散臭さが出てしまうので、デメリットに関しても触れていこうと思います。

01:難易度が高い

メリットにおいて生理学・解剖学等の習得が他の疾患に応用できる旨を記載しましたが、逆に生理学・解剖学は取っつきにくく、難しい分野でもあります。
もちろん避けて通れない道ではある為、やらざるを得ないのですが…

02:臨床応用までに比較的時間がかかる

徒手技術と比較すると短期間での習得が見込まれますが、それでも勉強開始から臨床応用まではどうしても期間が必要となります。
どんな分野でもいえることですが、今日勉強したからと言って充分に明日から使えるものではありませんね。

03:心電図がない領域が多い

回復期、在宅領域ではまずモニター心電図自体が無い、または足りない施設も多くあります。
その場合、心電図を読めるだけでは使用不可な場合もあります。

色々デメリットを挙げましたが、正直勉強を進めれていくと、どんな場面でも使える知識だということが分かってくると思います。

不整脈も心電図以外から推測可能ですし、循環器全般の知識は全ての領域で必須です!
散々言っといて何言ってるんだ感はありますが、
勉強をして悪くなる事は基本ないと私は信じています。
もしこれから心電図を始める人、伸び悩んでいる人、やってみようかなという人にこの記事が届いてやる気に繋がってくれるといいなと思います。

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