嘘つきは正直のはじまり
家に帰るのがいやな子供だったと思う。よくあの頃の気持ちを思い出せないけど、「外」という非日常の場所から「家」という日常に戻りたくなかった気がする。苛立ったり優しかったりする母に心をついていかせるのが子供ながらにつらかったのかもしれない。時間を忘れるように自分を仕向けていた。「あ、もう帰る時間だ」と自覚したくなかった。気付いたら遅くなってたんだ、私は悪くない、そう言い聞かせては、幾度となく「時間を守れない子」として叱られた。叩かれたり外に出されたり、今思えば酷かったな。
子ど