トリプルPの認定トレーナーになるまで
こんばんは。トリプルP認定トレーナーの香川です。
昨年の話になりますが、トリプルPの認定トレーナー資格を更新することができました(質の保証のため、2年ごとの更新制なのです)!
今回の記事では、認定トレーナーになるまでのことを振り返ってみようと思います。
そもそも、認定トレーナーとは?
まず、「認定トレーナー」とは、どのような資格なのか、紹介したいと思います。トリプルPに関する資格としては、「プロバイダー(もしくは、ファシリテーター)」と、「トレーナー」という資格があります。名称は似ているのですが、それぞれ役割が違っています。
プロバイダー(ファシリテーター)
保護者にトリプルPを提供する。トリプルPにはさまざまなレベルのプログラムがあるため、各プログラムの養成講座を受け、認定を受けたプログラムのみ、保護者に提供できる。
トレーナー
プロバイダーを養成する資格を有する。マシュー・サンダース教授らのトレーナートレーニングプログラムを受け、基準を満たすと、認定トレーナーとなることができる。品質保証のため、2年ごとの更新制で、設定された基準を満たす必要がある。
私がトレーナーになるまで
私は、もともとプロバイダーの資格を取っており、保護者向けのトリプルPは行っていたのですが、より日本にこのプログラムを広められたらと思い、トレーナー候補生として応募しました。しかし、トレーナーになるまでの道のりは、私にとって大きな試練となりました(今の採用プロセスとは異なる場合がございますので、ご了承ください!)。
当然ながら、すべて英語
まずは、トリプルPインターナショナルに、英語の履歴書を送ることからスタートしました。このとき知ったのですが、英語の履歴書って、写真の添付はしませんし、性別・年齢は記入しないんですよね。履歴書には、自分の学歴や職歴を記入し、カバーレターという志望動機や自己PRを記した文書を添えて提出しました。
履歴書を提出すると、その後、採用プロセスに移ることができます。
トレーナーになるためには、トレーナーになるためのトレーニングプログラムに参加することが必要ですが、そのための選考もあります。
選考では、英語でのトリプルPに関するプレゼンテーション審査があり、それに通過すると、採用担当者と、トリプルPインターナショナルのトレーニングの最高責任者との面接に進みます。
面接審査では、とにかく、最高責任者のトレーナーから”Anything else?(ほかには?)"と何度も聞かれて、何度もひねり出したのを覚えています。
面接に合格し、ようやくトレーニングプログラムに参加できるか!?と思うと、まだステップはあり、私をよく知る専門職2人から、推薦状をもらって提出する必要がありました。それもパスすると、ようやく、トレーニングプログラムへの参加を許可されました。
トレーナートレーニングプログラムへ
ここで、オーストラリアから、大量のトリプルP教材とトレーナートレーニングプログラム教材が届きました!!
これらを全部読み込み、期待と興奮、極度の緊張とともに、トレーニングへ参加しました(笑)。
トレーニングコースには、世界中から、トリプルPのトレーナーになることを志願する候補生が参加していました。オーストラリアはもちろん、フランス、ドバイ、ニュージーランド・・・と、さまざまな国から候補生が参加していました。10日間にわたるトレーニングで、講師は、トレーニング最高責任者と、トリプルPの開発者である、クイーンズランド大学のマシュー・サンダース教授です。教授は、子育てプログラム研究の世界的なリーダーであり、カナダ心理学会の名誉会長であり、オーストラリア心理学会会長賞など数々の賞を受賞、WHOやオーストラリア政府に助言を行っているような、雲の上のまた上にいらっしゃるような方です・・・。
そのような方から直接トレーニングを受けられることに興奮しつつ、座学だけではなく、それぞれの候補生が割り当てられた部分を全員の前で実演するなどの徹底的なスキルベースのトレーニングが行われました。
10日間のトレーニングは、当然、すべて英語ですので、まさにサバイバルでしたが、傷だらけになりながらも、何とかサバイブすることができました。
続く道のり、そしてトレーナーへ
トレーニングを無事修了してからも、まだ、「認定」されるまでの道のりは続きます。
認定されるためには、認定のための筆記試験(英語)と、オンラインのTriple Pコースの修了(英語)、そして、オーストラリアのトレーナーの養成講座への陪席と共同運営(もちろん英語)、実際のプロバイダー養成講座で、定められた回数、クイーンズランド大学が定めた基準を超えることが必要でした。
これらをすべてパスし、ようやくトレーナーとして認定されたというわけです・・・。今振り返っても、本当に長い道のりでした。
ちなみに、ここまでは、最低限のプログラムのトレーナーとしての認定なので、追加のプログラムのトレーナーとなるためには、その都度認定が必要なので、それらもしました(例えば、セミナートリプルPのトレーナーなど)。
認定されたあとも、続く・・・!
認定されたあとも、私の養成講座に参加された皆様からの評価がクイーンズランド大学の定める基準を上回る必要があり、かつ、決められた時間数のトリプルPの活動(例:世界のトレーナーたちとの月次ミーティングへの参加や、トリプルPの保護者への実施、文献の学習、動画視聴などなど)を行うことで、2年ごとに更新がかなう仕組みになっています。
さすが、エビデンスに基づくプログラムということで、プログラムの効果測定だけではなく、トレーナーの質保証にも、非常に力を入れています。
非常に長くなってしまいましたが、これまでを振り返ると、こんな感じです。現在子育て中の方、いつか子育てしたいなあと考えている方、そして、子育てを支えている方々に少しでもこのエビデンスに基づくプログラムを届けられるよう、頑張ります。
3月17日、トリプルP紹介オンラインセミナーを行います(見逃し配信あり)!
世界で効果が認められているプログラム
前向き子育てプログラムTriple Pを知ろう
前向き子育てプログラムTriple Pは、オーストラリアのクイーンズランド大学で開発され、世界中で実施・効果が認められている子育てプログラムです。
このセミナーでは、クイーンズランド大学に認定されたTriple Pトレーナーが、このプログラムについて紹介します。
【内容】
・前向き子育てプログラムTriple P の概要
・プログラムの基礎になっている理論の紹介
・効果に関する研究の紹介
・ほかのペアレントトレーニングとの違い
・トリプルPを受けるには
・トリプルPを保護者向けに実施するには(養成講座の紹介)
・質疑応答(チャットを使用します)
などの内容を含む予定です。
【日時】
2024年3月17日(日)20:00~21:30(質疑応答含む)
【対象】
・トリプルPに関心のある保護者の方
・トリプルPに関心のある専門職(心理職・教員・保育士・医師など)の方
・地域にトリプルP導入を考えておられる行政担当の方など
【参加費】
980円(税込)
【お申込み・詳しくはこちら】