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保険診療で相性のいい心理しの探し方

はじめに

あたしをフォローしてるような人はお薬だけで治るような病態ではない事がほとんどではないでしょうか?
虐待体験やそれに近い心的外傷を持っている場合が多く、心理職によるカウンセリングがないと治療できない場合がほとんどと思います。
本当はトラウマ治療技法を習得した心理しを探したほうが良いのですが、あたしはまずは「相性のいい心理し」を探すことに重点を置いた方がいいと思います(※後述)。

かつ、虐待サバイバーはお金にも貧窮していることが多く、自費診療だと1回5千円〜2万円ほどかかる心理しがいる病院・開業カウンセリングルームなどは得策ではありません。「カウンセリング 心理士」「心理療法 心理師」などと検索すると、開業カウンセリングルームばかりが出てきて、保険適応で病院・クリニックで働く心理しの情報は全くと言っていいほど出てきません。
カウンセリングは値段で決まる事は絶対にないので、可能ならば保険適応の心理しを探した方が得策です。

私が実践した、【保険診療で相性の良い心理し】のカウンセリングが受けられる病院・クリニックに受診する方法を紹介します。
初動はかなり大変ですが、相性の良い心理しが見つかればグンと生きるのが楽になるはずなので、一緒に頑張りましょう。


【私が実践した方法】

①近隣の精神科・心療内科のある病院をリスト化する

まず病院は“通院が続けられること“が大前提です。「毎週通うことが可能だ」と思う範囲の精神科・心療内科をGoogleマップなどで調べて、紙にリスト化します。この時おすすめは紙です。この後通話中スマホを使うので紙にリストアップしてください。
毎週通える距離はそれぞれ違いますが、おすすめは車、徒歩に限らず【30分以内】です。

紙にはこう書きます
A病院 電話番号
1   2   3
B病院 電話番号
1   2   3
C病院 電話番号
1   2   3
1はQ心理しが病院に居るか、何人居るか?
2はQ心理しによるカウンセリングは保険適応か?
3はQ心理しのカウンセリングは毎週で50分程度受けられるか?(ここは月1でもいいです。ニーズに合わせて変えて下さい)

これを何と、A病院から最後の病院まで1件1件電話をかけて、質問していくという方法です。(もう無理めんどう過ぎます。)

精神科病院には必ず心理しがいるわけではありませんし、HPに心理しの有無が必ず記載されているわけでもありません。【電話して聞かなければ分からない】のです。なんて面倒くさいのでしょう!
でも、やれば終わります。必ず相性のいい心理しを見つけましょう。

②病院に電話をかける

先程のメモとペンを持ってA病院に電話します。この時診療時間内であることを確認してから電話します。
言うことはこうです。

「通院先を探しています。【3つ】教えていただきたいことがあるのですが、教えていただけますか?」
→予想される病院の【理想的な】返答『はい、分かりました』

「1つめ、そちらに心理しはいらっしゃいますか?いらっしゃれば何人ですか?」
→病院『はい、心理しおりますよ。2名です』

「2つめ、心理しのカウンセリングは保険適応となりますでしょうか?」
→病院『はい、保険適応となります』

「3つめ、(医師の指示がないとカウンセリングが受けられないことは承知ですが)心理しのカウンセリングは毎週で50分程度受けられますしょうか?」
→病院『確認致しますのでお待ち下さい』『お待たせ致しました。患者さんの希望と医師の指示によりますが、毎週50分で心理しのカウンセリングを受けてらっしゃる患者さんもおります』

「ありがとうございます。では、初診の予約をお願いしたいのですが、できますか?」→『はい、お名前をフルネームでお願いします』『生年月日をお願いします』『来月、○月○日〇曜日の午後〇時はいかがでしょうか?』『ではお待ちしております。保険証をお忘れなくお持ちください』

これで病院との通話は終了。
さて無事に予約はできました。単に心理しがいる病院を探しているだけならこれ以上電話する必要はないし、初診に進めば良いのですが、
今回探しているのは【相性のいい心理し】です。A病院の心理し2人と話して、相性の良いほうの心理しにかかるのも手です。1人目の心理しとの相性が奇跡的にバッチリで恩人ともなるような巡り合いをする可能性もあるのです。
しかし、私の経験上ではそう上手くいきません。5人から10人くらいの心理しと話してみないと、【相性の良い心理し】との巡り合わせはないのです。
私がこの方法を実践したのは7年くらい前で、当時は複雑性PTSDは名前すら知られてませんでした。だから今のほうがまだ相性の良い心理しと出会う確率は上がっているかも知れませんが、そう上手くいかないのが心理し探しなんです…。

なお、A病院のように理想的な返答のある病院ばかりでなく、1『心理しはおりません』で、もう聞くことがなくなる場合も多いです。その場合は「そうなんですね。失礼いたしました。お時間ありがとうございました」で電話を切っていいです。地域によりますが、私の体感では精神科病院10件中、全ての条件に当てはまるのは2-3件しかありません。

③病院に行き、医師の診察を受ける。

複数の病院に初診の予約が取れたら、指定日時に病院に行く。可能ならば主訴や困っていることをリスト化して持って行くと緊張せずに受け答えができます。
通常、初診で心理しによるカウンセリングが受けられることは少ないです。予診(医師が診察する前の情報収集のようなもの)を心理しがすることがありますが、体感では病院全体の1割くらいです。

まず、医師の診察でカウンセリングの依頼をします。
この時に、「私は人との相性がとても難しいので、当院の心理し全員と1回づつ話してみたい」と依頼します。ダメだと断られるかも知れないが、私は断られた事はありません。
許可が出れば心理しのカウンセリングの予約ができます。
注意される可能性はなくはないですが「相性の良い心理しをどうしても探しているんです」と素直に言えば分かってくれる病院にしか行かない方が良いです。ある意味病院をふるいにかけることにもなります。

④複数の心理しと話す

この時、簡単で良いので自分の生育歴と症状を紙に書いて行くといいでしょう。
【生育歴】
・虐待があった
・家族が宗教に入っていた
・〇歳頃いじめがあった
・不登校の時期がある
・精神科受診歴の有無
・現在の生活状況(職業や金銭面等)
など

【症状や困っていること】
「男の人が怖い」とか「家を出るのが怖い」とか簡単な事でいいです。

(この例は複雑性PTSDの症状)
・フラッシュバック(何度も記憶が思い出される)
・回避または過剰な適応
・過覚醒・過緊張(過剰な警戒心など)
・感情調節の困難(過剰または乏しさ)
・否定的自己概念(恥や希死念慮)
・対人関係の困難
など

【病院に通うことで、どうなりたいか】
・症状を減らしたい。楽に生きられるようになりたい。
など

他にはこういうところに注意してほしいなどあれば何でも書くと良いけれど、全部の分量がA4で1枚に収まるようにするのが望ましいです。
(※この内容をどのように書くか、有料にはなりますがサイコビッチがご相談に乗れます。よければ一緒に考えていきましょう)

良い心理しは往々にして質問も上手いので、上手く聞き取りしてくれる人に当たると会話が楽にできます。

最初の「この人合うなぁ」という感覚、直感を大切にしてほしいです。その人のところへ決めるといいと思います。

けれども、世の中に完璧な心理しは居ません。
初回の印象が良くても、だんだん評価が下がる事もあります。
逆に最初の印象はイマイチでも、だんだんと話してるうちに良い治療同盟が結べる場合もあります。
なので複数の心理しと話したら、お名前と一緒にこっそり3段階くらいで評価をメモしておくのが良いと思います。

⑤心理しを決めたらすること

・他の病院に連絡する
「合う心理しが見つかりましたので、大変ご迷惑をおかけしましたが、そちらの病院にはご縁がありましたらまたうかがいます。その時はよろしくお願い致します。失礼します」と、丁寧な連絡をする。予約枠を空けとくにも他の患者さんに迷惑をかけていることにはなるので、必ずしっかりお詫びをする事が望ましいです。

・自立支援医療制度の利用について受付に聞く。
自立支援医療制度とは、通常3割負担の医療費が、1割又は0割になる素晴らしい制度です。医師が「通院の必要性がある」と判断すれば、初診でも診断書を書いてくれます。病院により申請方法が違うので、必ず受付に手順を聞くこと。
登録出来るのは1件の病院と、1件の薬局だけなので注意が必要です。

【注意点】

この方法は普通思い付いてもしない人がほとんどだと思います。
理由は

*エネルギーが大量に必要。
短期間でたくさんの医師と心理しと会わなくてはいけません。日程調整や手紙からして大変なのに、繰り返し同じ話をしなくてはなりません。困った顔をされることがあってもそれに耐えるエネルギーが必要になります。うつ状態が酷い時にする方法でなく、エネルギーがある時にだけ実践できる方法であることを理解しておいた方が良いでしょう。

*病院に嫌がられる可能性がある。
1、2回だけ病院に来てすぐに転院する患者は、病院側に嫌がられる可能性がある。入れていた予約枠には他の患者が入れたかも知れないのに…という状態なのです。病院に少しばかり迷惑をかける方法です。
しかし、迷惑をかけることは、あなたのよい治療を受ける権利を阻害することにはならないと思います。

*心理しに嫌味を言われるかもしれない。
高齢の男性心理しに私が言われたのは「あなたは1回話したくらいで良い心理しが分かるんですか?」というもの。「少なくともあなたじゃないからご心配なく。時間早いですけど終わりましょうか」と返せばいいと今なら思います(╹◡╹)ニコニコ

*薬の処方
複数の病院から薬をもらうのはダメ。OD目的と思われるからです。A病院で薬をもらった場合、B病院以降では事情を素直に話して「薬は今は要りません。病院をどこにするか決まったら、お願いします」とはっきり断る方がいいです。

*こういう心理しは避けた方がいい。
・話しにくい人
・心理しが主役だと思ってる人(主役はクライアント)
・ただ相槌を打つだけの人
・距離感が下手くそな人
・感情を尊重してくれない人

【補足】
*保険適応でなくとも安い所で自分が負担なく出せる金額ならokだと思います。

*学生の場合は、必ず学生相談室を利用しましょう。カウンセリングが無料で受けられますし、病院の必要性があれば情報を持っていて、上記のような手間を代わりに担ってくれる場合もあるでしょう。とにかく頼れる所には頼りましょう。

【「相性のいい心理し」とは】

さて、冒頭で話した
〈トラウマ治療技法を持った心理しを探したほうが良いのですが、あたしはまずは「相性のいい心理し」を探すことに重点を置いた方がいいと思います(※後述)〉
についてです。
PTSDの治療は特殊な技法を含みます。眼球運動やタッピングによるトラウマ処理(フラッシュバックを減らす治療)などをする必要があります。

でも、私はそれより前にすべき治療があると思っています。それは「信頼できる人間がいる」と感じとれることです。カウンセリングは心理しと患者の2人だけの世界になります。その時間、あなたの世界は心理しによって成立します。世界=心理しと言っても過言でない。それは母子関係と同じくらい重要なことです。

本当に相性の良い心理しはあなたにたくさんの信頼できる要素をくれると思います。例えトラウマに関して最初は無知でも、あなたのためにハーマンやコークを読み、勉強してくれると思います。あなたがどうしたいかを確認し、あなたの味方になり、あなたが涙したらティッシュを差し出して、あなたは1人でないこと、あなたは間違ってないこと、あなたはおかしくないこと、あなたは十分苦しんで来たことを認め、これから一緒に、あなたが少しでも楽に生きられる方法を探してくれるはずです。

トラウマ治療をしてくれる心理しを探すのは「信頼に足る人がいるんだ」「世の中捨てたもんじゃないんだ」と感じられてからでもいいと思います。相性の良い心理しは、きっと、一緒に、トラウマ治療が出来る心理しを探してくれると思います。

これだけのステップで病院探し、心理し探しをすることは、大変だと思います。
治療開始後、いつか振り返った時に、「自分のためにこれだけ頑張った」「私は自分を助けようとしているんだ」と、自分を労ってあげられますように、心から祈っています。

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