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内言と外言(inner speech and outer speech)

○ピアジェ(Piaget、J.)は、3歳頃の前操作期の幼児は、他者の視点をもつことができず(自己中心性)、幼児の発話が他者とのコミュニケーションという性質をもたず、ひとりごとのように聞こえる自己中心語があらわれると考えた。

○内言

 声に出さずに頭の中で思考の道具として用いられる言語。

○外言

 声に出して他者とのコミュニケーションの道具として用いられる言語。

 発達心理学者ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)は、言語はまずコミュニケーションの道具(外言)として発生するが、人間の成長・発達の過程で思考の道具(内言) の働きを獲得すると考えた。
 外言から内言に派生する過程で、外言の形をとりながらも機能としては内言の働きをする「独り言」のような発話が3歳から 6歳頃にかけて頻繁に出現する。
 内言は外言として発生した言語が自己中心的言語の時期に思考の働きと出会い、思考の道具としての働きを獲得したものと考えられる。

○ピアジェニヴィゴツキー論争

① 幼児の言語は他者とのコミュニケーションの性質を…
ピアジェ⇒備えていない
ヴィゴツキー ⇒備えている

② 独り言の消滅はどのようにして起こるのか…
ピアジェ⇒他者の視点をもつことで、他者への伝達を意識した発話が 行えるようになる(脱中心化) 。
ヴィゴツキー⇒内言の獲得。思考の道具として言語を発話せず、内容として用いる。

○ サピア=ウォーフ仮説(言語相対性仮説:Sapir-Whorf hypothesis theory of linguistic relativity)

 言語において名称や表現がはじめに作られ、 それを話す人々の概念やカテゴリーを規定して認識や知覚を決定する。
 認知や思考は、母国語に規定され、言語が違えば認識や思考、知覚が違ってくる。

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