ヒューリスティックーシステマティックモデル
○ヒューリスティックーシステマティックモデル(Heuristic - Systematic Model; HSM)
チェイクン(Chaiken, S.)による説得的メッセージに対して、ヒューリスティック手がかりとシステマティック処理の2つのプロセスが同時生起して態度決定がなされるモデル。
説得情報を受けて判断を下す際に、「このくらいなら大丈夫」という判断の望まれる確信度があり、十分閾(sufficiency threshold)と呼ばれる。
A 説得情報を勘案する動機づけが弱いときは、ヒューリスティック手がかりだけで判断を行おうとし、望まれる確信度(十分閾)に到達していれば、ヒューリスティック処理だけに基づく判断が形成される。
B 望まれる確信度が高く、得られたヒューリスティック手がかりだけでは、十分閾に到達しない場合は、システマティック処理を加えて十分閾に到達するように情報処理を行う。
十分原理(sufficiency principle)と呼ばれる。
精緻化見込みモデルとの相違点
精緻化見込みモデル(ELM)が説得メッセージの内容に十分な注意が払われる中心的ルートと、それ以外の要素に注意が向けられる周辺的ルートに区別しているのに対して、HSMでは、情報処理の精緻さ、入念さに主眼がおかれ、メッセージ内容以外の要因についても入念な情報処理が行われることもある。
ELMが「中心的・周辺的のどちらのルートに入るか」といった二分法的な比較で説得効果をとらえようとしたのに対し、HSMではヒューリスティック処理とシステマティック処理が並行して行われることによる加算効果や、片方が他方に影響するといった相互作用が考えられている。