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帰属(attribution).

帰属とは、周囲で起こる出来事や人の行動の原因を推論し、因果的な解釈を行うこと。
 ハイダー(Heider, F.)は、能力、性格などの自身の内的要因に帰属することを内的帰属(internal attribution)、周囲の状況などの外的要因に帰属することを外的帰属(external attribution)と分類した。

○統制の所在(locus of control)

  ロッター(Rotter、J.)が提唱した。
 行動の結果をコントロールするのは自分の力か、外部の力か、どちらの帰属が行われやすいかには個人差があることを示したもの。
 内的帰属をしやすい人は、自分自身の能力や努力によって、価値ある報酬を得たり、罰を避けたりできるという感覚(統制感・コントロール感)が強い。
 外的帰属をしやすい人は、行動の結果を偶然や運、外部の力によるものと みなすことが多く、統制感が弱い。

帰属の誤り・バイアス(attribution bias)


○根本的な帰属の誤り (fundamental attribution error)

 ロス(Ross. L.)は、一般に観察された行為の原因を行為者の内部属性に帰する傾向が強く見られると報告。
 観察者にとっては行為者が「図」となって目立ち、状況的要因は背景に押しやられることが原因とみられる。

○行為者一観察者バイアス

 観察者が行為の原因を行為者の内部に求めようとするのとは対照的に、 行為者自身は自分の行為の原因を外部に求める傾向。
 行為者は様々な状況における自分の行動について知識をもっているため、外的帰属が行われやすく、自分の姿を見ることができず周囲に注意が向きやすい。
 観察者にとって行為者は際立った存在としてみなされる。

○利己的な帰属のバイアス(self-serving bias)

 自分が成功をおさめた場合には原因が自分の内部(能力・努力)にあると考え、失敗した場合には原因を外部(難易度・連)に求める傾向。
 自尊心を維持・向上しようとする動機の影響によると考えられる。

○合意性過大視バイアス(false consensus bias)

 自分の態度や行動を典型的なものと考え、同じ状況であれば他者も自分と 同じ選択や行動をするという推測をする傾向。
 自分と同じ信念をもち、同じような行動をすると考えれば、自分の行動は「良い、適切な、典型的なもの」とみなすことができ、自尊心の維持につながる。
 自分の考え・行動を支持する事例を多く思い出しやすい利用可能性ヒューリスティクスが過大視の手がかりになる。
 また、自己の能力など肯定的な特性に関しては、自分と同じ特性をもつ人が少ないと認知する逆の傾向がみられる(フォールズ・ユニークネス効果)

○統制の過大評価(Illusion of control)

 偶然に左右される事象であっても自分の統制力を過大に見積もり、統制できるか のように振舞う。
 ランガー(Langer, E., 1975)は、賞金50ドルのくじを1枚1ドルで買ってもらった。
 半数の人には自分でくじを選んでもらい、残り半数の人には実験者が選んで手渡した。
 抽選日当日に実験者が買い戻そうとすると、くじを手渡された人は平均1.96ドルの値をつけたのに対して、自分でくじを選んだ人は平均8.67ドルの値をつけた。
 「選択」という統制可能な状況に含まれる要素をつけ加えることによって、統制感を過大評価するように導くことができる。

○錯誤帰属(misattribution)

 何らかの刺激によって生じた生理的喚起やそれに伴う行動の原因を、別の刺激が原因であると誤って帰属すること。
 運動によって生じた興奮が他者に対する攻撃行動につながることがある。  ダットンとアロン(Dutton & Aron, 1974)は、不安定な吊り橋を渡った直後に魅力的な女性からインタビューを受けた男性は、安定した石橋を渡った男性に比べてその女性に対して魅力を感じることを明らかにした。
 別の原因によって生じた生理的喚起を、眼前の女性によって起こされたものと誤って帰属したと解釈できる。




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