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集団規範(group norm)

○集団規範

 集団の成員に共有されている思考や行動の基準。
 法律や校則のように成文化されたものもあれば、成員間で暗黙のうちに共有されているものもある。
 集団規範の存在は、他の成員の行動や考え方の理解、予測を容易にし、 集団内のコミュニケーションを促進させる効果がある。
 一方で、ひとたび集団規範ができあがると、集団は様々なコミュニケーションを媒体として成員が規範から逸脱しないように圧力をかけるようになる。
 周囲からの圧力には、忠告や罰といった明示的なものもあれば、周囲からのコミュニケーションが減少したり、無視されたりといった暗示的な形をとることもある。

 シェリフ (Sherif. M., 1935)による古典的研究では、「光点の自動運動」とよばれる現象を利用して、集団規範が形成される過程を例証した。
 2人あるいは3人の実験参加者に「光点が何インチ動いたと思うか」を一定時間ごとに繰り返し尋ねると、実験初期では個人差で参加者の推定値に大きなばらつきがあった。
 しかし、回を重ねるごとに推定値が次第に収束してゆく傾向が見られた。
 さらに集団のメンバーを入れ替えてみると、新しく加入した者も、ただちに集団の基準を採用して推定値を判断し始めた。
 「第1世代」で偶然できあがった基準が独り歩きして残り、人が入れ替わっても基準だけは後世まで伝えられることが示された。

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