描画法(drawing test)
○描画法
被検者のパーソナリティ、行動様式、知的水準、対人関係、家族関係などを理解するために絵を描いてもらい、分析することで性格特徴を把握しようとする投影法の一種。
言語表出が困難な年齢や症状をもつ対象に実施可能。
絵を描く行為自体が自己表現につながり、心理療法としての効果が望める。
投影法の欠点の多くは描画法にも当てはまり、分析者の主観的解釈が含まれるため、一義的な解釈は危険。
テストバッテリーの1つとして使用されやすい。
○バウムテスト (baum Test)
コッホ(Koch.K., 1949)が開発した。
描かれた木の大きさ、形、バランスなどから被検者の性格を推測する検査。
A4用紙に「実のなる木を1本描いてください」と教示する。
○HTPテスト (house tree person test)
バックが開発した。
家、木、人の順にそれぞれ別のB5用紙に描かせる検査。
家に家庭環境、木に無意識的な自己像、人に現実に認識している自己像が反映されやすい。
描画終了後に、PDI(Post-Drawing-Interrogation)とよばれる描いた絵に ついて、64の質問を行う。
描画の非言語な側面とPDIの言語的側面からのアプローチ。
○動的家族画(kinetic family drawings; KFD)
バーンズが開発した。
A4用紙に家族が何かをしているところを描く。
個人のパーソナリティだけでなく、家族間の関係性や対人関係の態度が投影されると考える。
○風景構成法(landscape montage technique)
中井久夫が1969年に考案した。
統合失調症者と言語的交流を補うための、心理療法的な接近を重視した描画法。
・A4用紙に「川、山、田、道、家、木、人、花、動物、石」を順番に描き、1つの風景を完成させる。
・2人で描画を眺める。
・季節、時刻、天候、川の流れの方向について質問して語り合う。
・連想したことについて語り合う
・裏面に日付と名前を記入して完成させる。