臨界期(critical period)
発達に大きな影響を及ぼす出生直後の特殊な経験を初期経験(early experience) とよび、初期経験が成立する出生直後のごくわずかな時期を臨界期という。
臨界期を過ぎると初期経験は成立しない。
○刻印づけ(imprinting)
動物行動学者ローレンツ(Lorenz.K.)が発見した鳥類および哺乳類の一部にみられる生涯の特定時期に急速に行われる特殊な形の学習。
アヒル、カモなどの雛は、孵化して最初に見た動く対象に対して愛着行動ないし追尾行動を示す。孵化直後の36時間前後しか起こらないとされている。
愛着理論を構築したボウルビー(Bowlby, J.)は、インプリンティングに注目し、人間の乳児にも親との接近を維持し、危険から身を守るのに役立つ行動が存在することを主張した。
刷り込みは、餌のような強化を与えなくても生じ、いったん刷り込みが生じると修正が困難になり可塑性(plasticity)は低い。
しかし、その後の研究では、 臨界期は単に特定の刺激作用の影響を受けやすい期間ということに過ぎず、 臨界期を逃しても学習が成立する可能性があること、いったん刷り込まれた後でも多少の修正が効くことなどから敏感期(sensitive period)と呼んだほうが適切であることが指摘されている。
○定位行動(orientational behavior)
乳児が人の動きを目や耳で追って、人の位置を特定しようとする行動。
○信号行動(signaling behavior)
泣き、微笑、発声など生得的に乳児に備わっている母親を自分へ引き寄せる効果をもつ行動。
乳児は生得的に人を志向しており、志向的行動に対して適切に反応する 養育者にアタッチメントを形成させる。