5 人生の目的、意義
5 人生の目的、意義
輪廻転生・再生は、人生の意義・目的に対して、大きな哲学的根拠を提供します。
霊界の賢者の意見を以下に記します。
アラン・カルデック『霊の書』より
Q 霊が肉体をとって誕生する目的は何ですか。
A 「霊それぞれを完全へと導くために、神は霊を再び肉体に宿らせた(Re-incarnation)。ある霊にとっては罪の償い、ある霊にとっては使命。完全へと到達するには、霊それぞれは、肉体をまといあらゆる栄枯盛衰の体験をしなければならない。その体験には、償いの意味もこめられているが、霊が肉体に宿ること(Incarnation)には、もっと別の意味もある。それは、創造の仕事に参加できるような力をつけることである。この目的のために、霊たちは、誕生した世界の物的環境に相応しい肉体をまとい、使命(the orders of God)を実行する。このように、霊たちは、神の創造に貢献しつつ進歩を遂げる」
Q 初めから正しい道を歩いてきた霊にも物質界への誕生が必要ですか。
A 「すべての霊は、素朴で無知の状態で創造された。そして物的生活での苦難と闘争を通じて教訓を得る。神は公正である。苦闘、苦労なくして至福になるようなことはない」
Q 正道を歩んでも、物的生活の苦難を免れないないならば、正道を歩むことに、どんな恩恵があるのでしょうか。
A 「正道を歩めば、より早くゴールに到達する。さらに人生の苦難は、多くはその霊の不完全性に原因がある。より浄化されれば、受ける苦しみも少ない。妬み、羨望、強欲、野心などがない霊は、その欠点の少なさゆえ、耐えねばならない苦しみも少ない」
『霊の書』(上)アラン・カルデック編 桑原啓善訳(P63、64)
=なぜ生まれてきたか=
「肉体に宿る前、地上で何を為すべきかを魂自身は知っています。霊は何も知らずに肉体に宿るのではありません。霊は、どういう環境の組み合わせが、自身にとって必要な向上進化を促進するために、最も効果的であるのかと判断して、その乗り物(注:肉体のこと)を選びます。一度肉体に宿ってしまうと、その肉体の鈍重さのために誕生前の自覚が奥に潜んだまま、通常意識に上がって来ないのです。
あなた方、地上の人間にとっての大きな問題点は、やむを得ないことかもしれませんが、人生を間違った視点から観ているということです。つまり、人生の地上的、物質的側面のみを観ています。人生は、地上的、物質的な側面だけではありません。それは、霊的であり永遠です。地上的期間で永遠を判断することはできません。地上的なことだけで判断をすれば、その判断は不完全なものになります。大霊の子すべてに、埋め合わせ(注:霊界で埋め合わせが行われる)がなされるのですが、その要素すべてを無視してしまうからです。
人生には計画があります。しかしその計画は、それに参加する者が操り人形でしかないような融通のきかないものではありません。あなた方は、糸で踊らされるだけの人形ではありません。あなたには、神聖な霊の一部が吹き込まれています。あなたには、無限の創造の過程を共有する機会があるのです。ですから、あなたには個的存在としての責任と自由意志があります。しかし、その自由意志は、大自然の法則の働きを阻止できるほど大きくはありません。限られた範囲内で、あなたには選択する権利があります。あなたの究極の運命は定まっています。しかし、あなたの持っている計画の中でどれだけあなたの潜在的な神性を発揮するかは、あなた次第です。
あなたは、その計画を自覚すらしていないかもしれません。しかし、魂は神聖なものであって、常に活動を求め、自己表現を求めて波のようにうねります。時に、それが悲嘆、無念、苦悩、病苦などの形をとって、無気力状態のあなたに渇を入れ、あなたを目覚めさせます。もしも大霊が、あなたを創造活動へ参加させ、そうすることによって潜在的神性を開発させることを望まなかったならば、あなたがこの世に生まれた意味はなかったでしょう。自身に潜在する天賦の才能を利用して発達させ、それらを芽生えさせ、自身の特性を伸ばすかどうか、あなたは、霊と肉体との両立を図らねばなりません。
二つの工程がはたらいています。衝撃は外側からやって来るだけではなく、内側からも来ます。あなたの魂の内に閉じ込められたものは、大霊の一部でもあるので物質界のいかなるものよりも大きな力を秘めています。霊なくして生命は存在しません。なぜなら生命は霊そのものだからです。物質は影にすぎません。霊という実在の殻にすぎません。この二つの力をどこまで活用できるかは、あなたの自覚にかかっています」
『シルバーバーチの霊訓1』アン・ドゥーリー編 近藤千雄訳(P38~40)
『Guidance From Silver Birch』Edited by Anne Dooley(P28、29)
「人生の目的は至って単純です。霊の世界から物質の世界へ来て、再び霊の世界へ戻る時に、あなたを待ちうけている仕事と楽しみに備えるために、さまざまな体験を積むということです。この地上で身支度を整えるのです。この地上という場所で教訓を学び死後の生活の準備をするのです。その教訓を学ばずに終われば、身支度できなかったということであり、次の段階への準備ができていないことになります。これは地上で真実であるだけでなく、私たち霊の世界でも真実です(注:人間は誰しも、その肉体の死を迎える。霊そのものは、肉体が滅びても存在するが、その霊自身の準備が整っていなければ、肉体の束縛がない霊となっても、その霊の世界でしっかり生活できるのではない。死んだら自動的に霊的生活が営めるわけではなく、その準備が必要なのである。様々な霊信で、地上にいるときに霊的なことを学んでおいた方がよいと霊界の者は忠告している)」
『シルバーバーチの霊訓1』アン・ドゥーリー編 近藤千雄訳(P45)
『Guidance From Silver Birch』Edited by Anne Dooley(P31、32)
「あなた方は、内に潜在している完全性を顕現させようと奮闘する不完全な存在です。あなた方の生活では、物質と霊との間に常に葛藤があるため、あなたは当然のことながら罪(過ちともいいます。私は、過ちと言う方を好みます)を犯します。もしもあなた方が過ちを犯さなかったなら、あなた方は完全だったということになるでしょう。そして地上にも私たちの世界にも誰もいないことでしょう。大霊があなた方を地上に置いた理由は、霊的な力と物質的な力の作用と反作用の相互作用において内部の神性を発揮することを修得させるためなのです」
『シルバーバーチの霊訓1』アン・ドゥーリー編 近藤千雄訳(P46)
『Guidance From Silver Birch』Edited by Anne Dooley(P32)
「時として、人生が不公平に思えることがあります。ある者は苦労も苦痛も心配もない人生を送り、ある
者は光を求めながら生涯を暗闇の中で生きているように思えることがあります。しかし、その見方は物語の全体を捉えていません。まだまだ未知の要素があることに気がついていません。私はあなた方よりも遥かに長い年月を生き、その結果、摂理のはたらき方に少しだけ精通していますが、その摂理がその通りにはたらかなかった例を一つとして知りません。私は、その摂理に対していつも敬意を表しています。
こちらへ来た魂で“私は両方の世界を体験したが不公平だ”と言うことができるような不当な扱いを受けた者に、私は出会ったことがありません。大霊は、誤りを犯しません。もしも誤りを犯すことがあれば、宇宙は明日も覚束ないことになります。あなた方が誕生する遥か以前から地球は存在し、あなた方が去った後もずっと存在し続けます。遠い昔、まだ地上に何一つ生物が存在しなかった時から太陽は地球を照らし続け、人間が誰一人としていない時からエネルギーをふんだんに放射し続け、そのおかげで石炭その他の太陽エネルギーの貯蔵物を燃料とすることができるのです。何と悠長な忍耐の教訓でしょう。
苛立ちや憤慨はいけません。せっかくの目的を台無しにします。あなたに顕現する力は静穏な環境を必要とします。ある一定のパターンがあり、そのパターンにのみ沿って自然の摂理がはたらくのです。大霊は、その摂理から外れてはたらくことはできません。あなたが導きと援助を求める時には、導きと援助がやって来るような状態でいなければなりません。あなたは、魂の永遠で唯一の所有物、魂を築き上げてきた経験を用いなくてはなりません。あなたに生命を与えた力があなたを支えるのだという自信を持たなくてはなりません。なぜなら、あなたはその力の一部であり、その力は、あなた自身に内在するからです。あなたが、自身を適切な状態に整えたならば、あなたの内に存する神聖な力は、大霊から引き継いだ兵器庫として、人生の闘いすべてに必要なあらゆる武器をあなたに与えてくれます。しかし、苛立ちと憤慨は、その神聖な力の自由闊達な流れを妨げてしまいます。
ですから、あなたは常にリラックスし、受容的で冷静で受身的で穏やかで平静で、しかも奥に自信を秘めた状態であらねばなりません。その状態にある限り万事がうまくいき、必要とするもの全てが揃うとの確信を持つべきです。人生において安易なことからは功績は得られません。困難なことからのみ功績は得られます。大霊は、決してあなた方を見捨てません。あなた方が大霊を見捨てるのです。困難に直面した時、その神聖な力を結集し、必ず道は開けるのだという自信を持つことです。不動の信念があれば、道は必ず開けます。これは、長年、私が説いてきたことです。真実だからです。実践してみればその通りであることを知ります。物質は霊の従僕です。霊は物質の従僕ではないのです。身体が一人で呼吸し動いているのではありません。霊がいなかったら身体は生きていられません。現に、霊が去れば身体は朽ち果てるのみです。
霊性を悟ることは容易なことではありません。もし容易であれば価値はありません。その道に近道はありません。王道はないのです。各自が自分で努力し自分で苦労をしなくてはなりません。しかし同時にそれは登るにつれて喜びの増す、素晴らしい霊的冒険でもあるのです」
『シルバーバーチの霊訓1』アン・ドゥーリー編 近藤千雄訳(P47~49)
『Guidance From Silver Birch』Edited by Anne Dooley(P33、34)
Q この世に生きる目的は、霊的なものを制約するものを排除し、霊的本性が肉体を通して、より多く顕現するようにすることだと私は理解しておりますが・・・・・・。
A「その通りです。地上生活の目的はそれに尽きます。そうすることによって自分とは何かを悟っていくことです。自分を単なる肉体であり他の何ものでもないと思いこんでいる人は、大きな幻影の中で生活しており、いつかは厳然とした真実に目覚める日が来ます。その日は、地上生活中に訪れるかもしれないし、こちらへ来てからになるかもしれません。地上にいるうちの方がはるかに有利です。なぜなら地上には魂の成長と進化と顕現のための条件が全部そろっているからです。
人間は、地上生活中に身体機能ならびに霊的機能を存分に発揮するように意図されています。霊的なことのみにこだわり身体を具えた人間としての義務を怠ることは、身体上のことばかりに目を奪われて霊的存在としての責務を疎かにするのと同じく、間違っています。両者は完全なバランスが取れていなければなりません。その状態で初めて、この世にありながら俗世に染まない生き方ができることになります。つまり身体は神聖を帯びた霊の“宮”として大事にして管理し手入れをする。すると成長と進化の過程にある霊に、身体を通してその成長と進化の機会が与えられるのです」
『シルバーバーチの霊訓3』H・S・ホームサークル編 近藤千雄訳(P207、208)
『Wisdom of Silver Birch』(P121、122)
「私はあなたに、これからの人生が日向ばかりですと言うことはできません。きっと影で過ごす日もあります。ときには雨に打たれます。困難に出くわします。試練にも出会います。人生は一本調子のものではなく、色彩と変化に富むものです。きっと障害にも出会うことでしょう。すべてが順調に思えるよいときもあれば、すべてが絶望的に思えるときもあるでしょう。こうした人生を織り成すさまざまな体験の中であなたの人格は培われるのです。
もしも人生全体が容易なものであったなら、もしも克服すべき困難もなく、征服すべき試練もなく、乗り越えるべき障害もないとしたら、何の進歩もなかったことになります。競走は競い合うから価値があります。賞を受け取ることに価値があるのは、容易にではなく、それに値するための奮闘のあと受け取るからです。そういう価値のある人間になりなさい。あなたが打ち負かせない心配事はありません。心配してはいけません。あなたが克服できない困難はないのです。あなたの力で乗り越えられないような出来事は、何一つとしてあなたの人生にはやって来ないのです。一つ一つの経験から教訓を学ぶのです。難しいと思った時は、怯まず自分にムチ打つのです。そうすればそれだけ前より強い人間となります。あなたは、身体を通して顕現する霊であり、そして永遠であるあなたの霊を害したり損なったりする出来事は、何一つ起きることはないということを、いつでも心得ておくのです。あなたは、あなた自身にこう言わねばなりません。“私は、大霊の一部なのだ。私の内には神性さが宿っている。その神性な力を、私は欲するときに自在に使うことができる”と。弱り果てたときに、その力を求めるのです。きっと、あなたを助けることでしょう。
世間でいう成功者になるかならないかはどうでもよいことです。この世的な成功によって手に入れたものは、そのうちあっさりと価値を失います。大切なことは、自分の霊性の最高のものに対して忠実であること、これこそ真実であると分かっていることを決して否定しないこと、ほんとうの自分自身に誠実であること、あなたの良心に従うことです。そうすれば、世間がどう考えようと、あなたは、あなたとして最善を尽くしたのだということが分かるでしょう。そして、地上生活に別れを告げる時が来たとき、あなたを待ち受けているものに対して準備ができていることが分かるでしょう。これが私からのアドバイスです」
『シルバーバーチの霊訓7』シルビア・バーバネル編 近藤千雄訳(P154~156)
『More Wisdom of Silver Birch』Edited by Sylvia Barbanell(P104)
『The Seed of Truth』Compiled by Tony Ortzen(P53、54)
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