【精神病理】『いじめっ子』を生み出すもの
もしかしたら精神病理とは少し違うかもなんだけど、今日は『いじめっ子』について話してみたいと思うんだ。
いじめをしてしまういじめっ子と精神病理が全く関係ないとも言えないと思うからね。
僕はいじめたこともいじめられたこともないと、自分自身では思っている。
少なくとも、僕がいじめられたと思った経験はこれまでになかったから、もしどこかで僕にいじめられたと思ってる人がいるならば、ここで謝罪しておかないといけないね。
メディアやドラマなどでもいじめられる側をフォーカスされることってよくあるよね。
著名人が昔いじめられていたという経験を告白して、現在いじめられている人たちに勇気を与えるのを聞いたことがある人も多いと思う。
だけど、いじめる側にフォーカスが当てられることってほとんどないんだよね。
まぁどんな理由や背景があれ、いじめは良くないことだから、問答無用でダメと思われてしまいやすい。
それはそうなんだけど、本当にいじめをなくしたいんだったら、どうして人が他人をいじめるのかをきちんと考えてみるべきだと思うんだよ。
実際、心理学の世界ではそれなりに研究はなされていて、いじめと環境や性格、考え方や家庭環境などとの関係も明らかになりつつあるんだ。
例えば、いじめっ子の多くは自分に自信がない子が多い。
常に劣等感や孤独感を感じていて自尊心も低い。そんな劣等感や孤独感を紛らわせるためにいじめをするって子も多いんだよね。
あ、ちなみに性格で言うと、ただただ他人を攻撃したり痛めつけたり、いじめることが楽しいって子もいるだろうし、いじめることで自分が得られるものに快感を覚える子もいるんだ。
だから、その辺はわかりやすいんだけど、厄介なのはいじめっ子すらも被害者の場合だ。
学校で起きるいじめの多くは家庭に問題があることが多いらしいんだ。
海外の研究ではあるんだけど、その研究によると、子育てのスタイルがいじめに大きく関わっているってことがわかっているんだ。
いじめる側になりやすい子が育つ子育てスタイルと、いじめられっ子になりやすい子が育つ子育てスタイルがあるってことだね。
子育ての仕方でそんなに変わるってのは少し驚きだよね。
その研究で分かったことは、いじめっ子になりやすい家庭では『独裁的子育てスタイル』ってのが多かったんだんて。
『独裁的子育てスタイル』ってのは、親が独裁者のように子供を支配し、行動をコントロールしようとしてしまう子育てスタイルのことなんだ。
だから、その子は小さな頃から不必要なまでに厳しく育てられて、良くないことをしたり、少しでも上手くできないことがあると強く叱られて育つんだ。
そのくせ、親は子供に高い期待だけはするんだよ。で、子供は純粋だから親の期待には応えようと頑張るんだよね。
だけど、このタイプの親は子供が何かを頑張っても決して誉めないんだ。
例え、学校のテストで98点を取ってきても『あと2点がどうして取れないんだ』と叱るんだ。
そうやって育てられると、当然だけど、自信をどんどん失ってっちゃうよね。
『自分はダメな人間だ』『何をやっても上手くできない』と自分を責めるようになっちゃうんだよ。
それが大きくなっても残っちゃうんだけど、だからこそ、自分の力で成長しようとすることがなくなっていっちゃうんだよ。
その代わりに周りの子達よりも自分が上の立場にいると思えるとそれだけで安心できるんだよね。
だから、そういう子供たちは自分より小さくて弱そうな子をいじめ始めるんだよ。
明らかな力関係を誇示することで、自分の劣等感や自信のなさをどこか覆い隠して安心しようとするんだよね。
そして、周りの子達も自分が標的になるのが怖いから、いじめる側に回って合わせちゃうんだよね。
それを『自分はみんなの中心にいる』とか『周りの子達も従えている』と勘違いしちゃうんだよ。
そうすることで、家庭内では埋まらない孤独感を埋めることができるんだ。
こんな感じで、いじめっていうのは多くの場合、いじめる側の劣等感や孤独感、不安感などを埋め合わせるために行われることが多い。
だとすると、教育者と言われる人たちがすべきはいじめる側のケアなのかもしれないよね。
『いじめは良くないから、どんな事情があれ、いじめた奴は悪者だ』と切り捨ててしまってはいじめは一生無くならないだろうと思うんだ。
もちろん、そういった劣等感や孤独感を埋める方法はいじめだけじゃないから、それでいじめっ子の行動が正当化されるのかと言われるとそういうことではないんだけど、少なくともいじめっ子の方だって救われるべきなんじゃないかと思うわけさ。
別にいじめる必要がなくなれば、いじめなんてしなくていいんだから。
そして、そうすれば、いじめられっ子がいじめられる必要も無くなるんだ。
いじめっ子は悪い子なんじゃなくて、『可哀想な子』なのかもしれないね。
『いじめっ子』を生み出すもの。
最後まで読んでいただきありがとうございました。