【感情】『泣くから悲しい』
今回は、感情を語る上では外せない『James-Lange説』について簡単に書いてみるよ。
感情がどのようにして生起するかについてはいくつかの仮説と理論があるんだけど、その最も古典的なものがこの『James-Lange説』なんだ。
見てわかる通り、この仮説の名前は、この考え方を提唱した二人の学者んの名前を合わせてつけられたものなんだけど、その中でも今回のタイトルにもした『泣くから悲しい』という有名な言葉を残したのはWilliam Jamesだ。
現代の一般常識では、感情を感じてkら身体的な反応だったり行動が起きると思われているよね。
例えば、『悲しいから泣くんだ』とか『怖いから震えるんだ』とか『怒りを感じたから叫ぶ』みたいな感じで、感情ファーストな考え方が一般的だよね。
だけど、William Jamesはその全く逆の仮説を提唱したんだ。
つまり、『泣くから悲しい』し、『震えるから怖い』し、また『叫ぶから怒りが生まれる』ってことだよね。
こっちも現代では結構受け入れられつつあるんだよ。
特に精神疾患の治療やカウンセリングなんかでは、クライエントの行動や姿勢、身体的反応を故意に引き起こすことである特定の感情を感じさせると言うアプローチもよく見られるんだ。
なんだけど、William Jamesがこの仮説を提唱した1884年時点では、かなり画期的な仮説だったんだよね。
この仮説は『感情の抹消説』とも言われているんだ。
なんでそう言われているかっていうと、体の抹消、つまり手足だったり内臓だったりの働きや変化を脳が感じ取ることによって感情は生まれると言うふうに考えたからなんだ。
つまり、まず脳が感情を作ってからそれ用の身体的反応を起こさせるんじゃなくて、まず刺激を受けると体が反応して、その反応を脳が感じ取ることによって感情が生起するという考えなんだ。
その当時、今でもそうなのかもしれないけど、感情における脳の働きについての仮説は2種類あって、一つ目は、感情だけを司っている部位があって、何かしらの刺激を受けることでその部位が反応して感情を引き起こすと言う考え方と、
もう一つが、すでに機能が特定されている脳の部位の働きによって感情が引き起こされていると言う考え方なんだ。
つまり、感情を引き起こす特別な脳の部位が存在するのかどうかってところで議論が分かれていたんだね。
ちなみにJamesは後者で、感情に特別な脳機能なんて存在しないと思っていたんだ。
だから、外的な刺激を受けて引き起こされた身体的反応を感じることを僕たちが『感情』と呼んでいるだけだと考えたんだね。
Jamesは、脳と脊髄以外の体の抹消期間と言われる部位のことを『反響板』と呼んでいたんだけど、脳の興奮が抹消器官に伝わり、その抹消器官の変化を改めて脳が受容することで感情が生まれるってのもよくよく考えると、理に適ってはいるよね。
Jamesは、1884年に発表した "What is an emotion?" という論文の中で、こんな有名な一文を残している。
つまり、あなたが何かしらの感情を感じた時、例えば、あなたが強い怒りを感じた時、手が震えたり顔に力が入ったり、耳が熱くなったり、心拍数が上がったり、いろんな身体的な変化を感じるだろう。
けど、もしそれらの体の反応を全て取り除いたら?
あなたはどうやって自分が怒っていることを認識する?
体は至って平穏でなんの変化もないんだ。そんな状態でどうやったら『今私は怒っている』と認識することができるんだろうか?
それがJamesの抹消説の主張なんだよね。
つまり、感情の生起には体の反応が必ず必要で、ただそれだけではなく、体の反応が起きることによってそれが感情として脳に感じられるってことなんだね。
実は、この仮説は現代では間違いであることが分かっている。
その後に別の有名な理論が2つくらい提唱されるんだけど、そっちの方が有力だと言われてるんだよね。
ただ、細かい批判を書こうとすると結構専門的な知識が必要になりそうだから今回は割愛するけど、興味がある人は調べてみて。
たとえ間違っていたとはいえ、この理論は感情心理学や感情神経科学において非常に大きな影響を与えた理論なんだ。
あ、ちなみに理論名の片方にもなっているLangeってのは、カール・ランゲっていうデンマークの神経学者の名前から来てるんだけど、この人もJamesとは全く別で彼と似たような理論を発表したんだ。
だから、二人は別に共同研究者とかではない。ただ、二人が提唱した仮説が似ていたってことでまとめられたんだよね。
なんだけど、もちろん何でもかんでも一緒ってわけじゃなくて、もちろんこの二人の説の間にも違いはあるんだ。
James-Lange説についてや、この二人の説の違いについては次回、もう少し詳しく書いてみようと思う。
『泣くから悲しい』
最後まで呼んでいただきありがとうございました。
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