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学校写真。

少し前に、学校写真をやっている弟から、ちょっと愚痴を聞いてくれ、と言われ、面白いというかびっくりな話を聞いた。
高校を中心に何校か受け持っているのだが、やはり繁忙期になると行事が重なるので、誰かに助っ人をお願いすることになる。(実を云うとホントにどうしようもない場合には私も駆り出されるが、もう歳も歳なので動きが悪く、あまり役に立たない。)で、いつもお願いしている人が数人いるそうだが、この前はどうにも手が足らず、知り合いに頼んで新規に紹介してもらったそうだ。いちおう初心者向けカメラ講座の講師をやっているという触れ込みに安心して、ある行事の撮影をお願いした。けっこう若い人で、人当たりは良く、口もたつので安心していたらしい。
 ところが後日納品されたデータを見てのけぞったそうな。露出はバラツキが多く、それも飛び気味が大半。5、6名の集合、半数は日の当たるところで残りが影の中。ストロボも炊くわけでなく、暗いほうへ露出を持って行ってるので日の当たった顔は飛んでしまっている。スナップでは、余白が多過ぎたり少なすぎたり、傾いていたり、顔がこちらを向いてない、と言った具合。
使える写真が少なく、あまりの事に、露出の不具合ならばと、元データ、RAWがあるならそれを持って来てほしいと告げ、RAWデータから、アンダーは持ち上げ、逆は下げて対処し、他のもフォトショップでいろいろ触りまくってこんな風なデータが欲しいんですよ、と目の前でやって見せた。そしたら、そんなことができるんですか!とのたまったらしい。もう、すっかり怒る気も失せて、もうちょっと頑張って勉強してね、と言って帰したそうだ。

仕事が重なると、学校系では日程も決まっているし、どこも似たような日になるし、こちらの都合では如何ともですね。私の場合は、日が重なると、どんなにギャラの良い、美味しい仕事でも、その日はダメなんです、って丁重に断る。それでも時々、この日しかないので、どなたかいませんか、と言われることもあり、他の人を紹介したりはするが、良く知っている、それ相応の技量のある方にしか頼めない。雑誌の頃は、あとでギャラのいい仕事が入ったからと言って、すでに受けていた仕事を簡単に断ってしまうカメラマンも居た。ギリギリになって頼んでくるので、どうしたのかと聞いたら、そういう事だと。私にはありえない話。先に受けたら後でどんなにいい話が来ても、お断りするのが筋ってもんです。ちょっと脱線したかな。

弟曰く、まあ、それなりの人が、普通にそれなりに撮ってくれたら問題ない。別にあれやこれやライティングやレンズなんかに凝ってもらわなくても、露出とピントがあってて、場面の分かるもの、こっちを向いてて、可能なら表情の良いもの、雰囲気の良いもの、なんていう写真が、全部とは言わない、時々あれば、OKな世界なのにね、そんなに高い要求かな、と言ってたが、こちらも少しもやもやした。昨今はデジタルになり、全てオートであれば、猫がシャッターに触ってもピントと露出は、きちんとあったものが写ってしまう。ひと声かけてこちらを向いてもらう、背景や日当たり加減の良いところへ移動してもらう、なんならコミュニケーションをとる、いろいろあるでしょうけど、そんな、撮影技術云々以前の、当たり前のスキルもない人が、カメラマンでござい、って言えて、仕事にありつけるって、なんだかなあ、です。
で、件の彼、当初の話、正確には初心者向けのカメラ講座の「アシスタント」をしたことがある、って話でした。

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