190B。
30数年前のある日、兄貴先生に呼び出され、撮影の打ち合わせのあと、三脚の話になった。35用に、ロケ用に買ったんだと見せてくれたのが、マンフロットの190Bという三脚。畳むと50センチ足らず、三段で延ばすと1.5mほど。足の付け根にレバーがあって、押し込むと足が二段階に開いてローアングルになる。センターポールは、逆に差せば、地面すれすれにセットも出来る。しかも当時にしたらとても軽い。雲台には小さめの自由雲台が乗ってた。これ軽くて良いよ、と勧められて、帰りのその足で、機材屋さんへ。たしか2万もしなかったが、もらったギャラで買った。以来、部品取りに同じものを中古で手に入れ、壊れたところと入れ替えながら、今もまだずっと使っている。ただ機内持ち込みサイズを数センチ、越えるのが玉に瑕ではある。
インタビュー撮影と聞いて、照明用にスタンドは持ち込むが、重いので三脚は持って行かないことが多い。でも、稀に話の流れで、これ撮っときたい、というのが現れる。小さなブツ関係なら良いが、暗い部屋にある医療関係の大きな装置の時はちょっと困った。そんな時に活躍してくれたのが、コレ。
ストロボのオスダボの部分と同じ形状のものを、知り合いにアルミの丸棒から削り出してもらった。上は細ネジの穴を切ってある。これを自由雲台に付けてライトスタンドに載せれば、簡易三脚の出来上がり。軽いので少し不安定だが、何とかなる。小さい物なので、カバンの隅に入れて持って行く。一度、すごく高いところから撮影するのに、脚立や三脚では届かず、持参していたやたら高くなるライトスタンドの上にこれを入れ、そこへカメラを載せて、無線でタブレットと繋いで撮影したこともある。3mちょいまで上げたかな。今どきの軽いデジタルだから出来た。
三脚はジッツオやカーボンのほかに、形見分けでいただいた、初期型(アメリカ製)のハスキーがあるけど、重いし脚の締まりがイマイチだったり、指を挟んだりするのであまり使わない。またハスキーにはハイボーイというやたら高くまで上がるのがあって、一番延ばすと2.5m近くあったが、古かったせいかもしれないけど、そこへ4x5を積むと揺れるというか捻じれるというか、安定が悪かったのを思い出す。ただし、雲台はハスキーの雲台が好きで、どの脚にもこれを使っている。この3Dヘッド、どの方向にもほんの少し動かしたいときに、ホントにほんの少しだけ動かせて、しかも軽く締まってズレたり動かない優れもの。動きが渋くなってきたら、ばらして、グリスアップしたりというのも簡単(スナップリングプライヤーと言うのが必要だけど)。てことで雲台はとても具合良いので気にっている。
このハスキー、今でも使う方が多いようで、お願いする若い方でも時々見かけます。今でも基本同じ形状で、あらゆる部品がでて、リペアしながらいつまでも使える、というのはありがたい話ですね。いずれにしろ、ジッツオもハスキーも、一度買えば死ぬまでどころか、100年くらい先まで使えそうですけど。