見出し画像

カメラ位置。

例えば、そのままでは立たないような形状のブツを、立てて撮影するとなったら、どうにかして立てないといけません。
今は、適当になにかつっかえ棒をして立たせて、その棒が写ってもフォトショで消せばOK、出来上がりですが、昔は見えないように工夫して、撮影しました。
 バイクや自転車はスタンド無しでは自立しないので、様々な方法で立ててました。勤めていたスタジオには、バイクメーカーのカタログ撮影をしていた方が、自転車の撮影で時々来られていたので、その装置を見ましたが、細いタイヤの影に隠してしまえる小さな固定装置でなかなかよく出来た代物でした。バイクはどうしていたか、一つ教えてもらったのは、タンクなどの裏に細長い棒、ポールの先端を張り付けて、反対側はバック紙に穴をあけて、固定、見えないようにしていたそうです。外ならやはりポールを使えば、タンクとエンジンの後ろの隠せる位置にポールを固定したら自立させられますね。

バック紙に穴が開きます。もっと小さい物でもこの方法はよく使いました。


もう少し小さなものを、簡単に自立させるのなら、細いテグスを使うのもありです。風に揺らぐバスタオルなんかもテグスで四方から吊って表現したり、高級な素材のハンドバッグの取っ手など、固定にテープを貼れない場合、テグスでやりました。ライトでテカるようなら、黒のマジックで塗ると結構消えます。小さなものには見えてしまうので、向きませんが、マジックで使う細い糸も使えます。昔、撮影したプロのマジシャンから聞いた話ですが、医療用の糸のとっても細いのがとても良い、ってことでした。
あと、小さなリングやアクセサリーなどで、背景から少し浮かせたい、空中に浮いているようにしたい、と言うときはナングレアという板ガラスを使ってました。反射防止の加工がしてあって、位置にもよりますが、反射を防いでくれます。これ、そのガラス板に立てるのには、指輪やイヤリングだと、グルーガンを使ったり、モノによっては接着力のある粘土のような素材も使いました。今はもっと便利なものがあるのかもしれませんが、絶対に商品を傷つけない、ってのが肝心です。

スリガラスではないですが、少し離すと、うまくボケてもくれます。

パイプにしろ、テグス、グルーガン、ナングレアガラスでも、重要なのは必ずカメラ位置から見ること、です。カメラから見てブツで隠れて見えない位置を探し、そこにパイプやアルミワイヤーだったり、細いプラ板を仕込んでテープやグルーガンなりで固定、立てて撮ります。カメラ位置が動くとバレるので、とても重要です。テグスはブツと同じ平面上にあるとピントが来るので、少しはずれるようにするのがポイントです。仕込んだ「ブツ」も、透明なものならさほど影響は有りませんが、太目の針金や乳白のフィルムケースなどを仕込むと背景にもよりますが、その影がうっすら出ます。これも位置を工夫するか、黒紙などであえて影を作って不自然にならないようにするか、もう一工夫です。まあ、今なら簡単に消してしまいますけど。あとで消すほうが早ければ、そのまま。模様とか複雑で面倒な背景の時は、事前に隠して撮るほうが楽な場合も。

いいなと思ったら応援しよう!