
大学・専門学校の実習で何も得られない時代?1 実習を考える
今は収まっているが福祉系大学、学部の増設ラッシュがありました。
私の時代は首都圏だと、大正大学、日本女子大学、日本社会事業大学、上智大学、東洋大学、淑徳大学くらいしか独立した学科はなく、社会学部や文学部の専攻に立教大学や駒澤大学あったくらいでした。ボランティアに行くと他大学の福祉学生と会い、ライバル心をもちながら情報交換をしたものです。
福祉人材の不足によって多くの大学が新設されたり、学部学科が新設されたりと福祉系大学、学部が増えた。さらに専門学校も増えました。
そこで教員や実習先の争奪戦みたいになり、指導者も実習先も適当な大学が増えたように感じます。
私の大学は実習に命をかけている感じがありました。専任の実習担当と実習担当の教授が立てられていた。事前指導と実習先訪問、事後指導といった感じで非常に熱を入っていた感じでした。
そんな中でも児童養護施設や福祉事務所に実習に行った学生は途中でドロップあうとすることもありました。ある福祉事務所は実習時間以外に勉強会などの居残りがあり、そこで体調を崩してしまうことがあったり、緊迫したケースに遭遇してショックでメンタルが病むこともありました。児童養護施設の場合は「キャンディーキャンディー」をイメージして実習を希望して、いきなり入所している児童・生徒に「姉ちゃんやったことあるのか?」と性体験の話をきかれてショックを受けて実習中止というケースもありました。
大学は一生懸命フォローしていましたが、これで「卒業だけ」ということや退学をしてしまうこともありました。社会福祉士の資格取得や福祉職に就かなくなります。
また、児童養護施設や福祉事務所は介護がからまないため排泄介助をしたくない学生が選ぶこともありました。こういった根幹が甘いのだと思います。
私は、生活困窮の方の施設実習は失敗しましたが、知的障がい者更生施設(当時)で実習をしてよかったと今でも思います。指導者の意識が高く実習指導のシステムの確立していました。最初は「見学」、次に「補助的」なことをして、最後は一人立ちをさせるという実習でした。
制度の活用や調べ方に関してもインターネットがない時代に「白書」を読んで、わからなかったら官庁の部署に直接問い合わせるといったことをするように教わり、実際に厚生労働省に電話をして「実践」してくれました。
利用者さんさんとの関係でいろいろありました。何であの利用者さんさんが嫌われるのか?私が利用者さんさんから受け入れられないのか?自分で考えさせるようなことも教わり問題解決能力をつけてもらいました。
しかし、この施設は私の大学出身者の職員がが3人いました。私は実習指導者を派遣のバイトであらかじめ知っていて語ったことがあったので「指名」をしました。これが気に食わなかったのか、ワザと利用者さんさんが粗相をすると放送で呼ばれてその処理をさせられました。私は嫌がらせだとわかっていましたが、自分から率先してやりました。このことで利用者さんさんとの信頼関係も早く構築できました。私の指導者はどう立ち回るかを見ていたのでしょう。私の対応をみて感激して学長あてに実習での態度の良さを文書で書いて送ってくれました。
こういった指導者に恵まれれば実習は大学に戻ってから生きるし、将来にも生きてくるのです。